子どもの入院費が“月8万円”かかり驚いています。小児でも高額療養費は適用されるのでしょうか? 世帯合算とは何ですか?
本記事では、高額療養費制度の基本的な仕組みを整理したうえで、小児医療費との関係や「世帯合算」の考え方について解説します。
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小児でも高額療養費制度は適用される
高額療養費制度は、年齢を問わず公的医療保険に加入している被保険者・被扶養者であれば利用できる制度です。そのため、子どもであっても、健康保険に加入している限り、高額療養費制度の対象になります。
制度の概要としては、1ヶ月(月の初めから終わりまで)に支払った医療費の自己負担額が、年齢や所得区分ごとに定められた上限額を超えた場合、その超過分が後日支給される仕組みです。子どもの医療費であっても、自己負担額が一定額を超えれば、高額療養費として軽減されます。
なお、自治体による乳幼児医療費助成などがある場合、保険診療の自己負担分が助成によりほとんど生じず、高額療養費として支給されるほどの自己負担額に達しないケースもあります。一方で、年齢が上がって自治体の助成対象から外れた場合などには、高額療養費制度が医療費負担の軽減に重要な役割を果たすことがあります。
高額療養費の自己負担上限額の考え方
高額療養費制度の自己負担上限額は、加入者の年齢や所得水準に応じて区分されています。会社員や公務員が加入する被用者保険、または国民健康保険など、保険の種類にかかわらず、基本的な計算方法は共通です。
厚生労働省によれば、例えば、標準的な所得区分に該当する世帯(年収約370万円~約770万円)では、1ヶ月あたりの自己負担上限額は「8万100円+(医療費-26万7000)×1%」で計算され、多くの場合8万円前後となります。
今回のように「月8万円程度の自己負担額」が発生している場合、所得区分によっては上限額を超える部分が高額療養費制度によって調整され、それ以上の自己負担は生じません。
また、同じ医療機関での支払いだけでなく、同月内に複数の医療機関を受診している場合でも、条件を満たせば合算の対象となります。
「世帯合算」とは何か
高額療養費制度の特徴のひとつが、「世帯合算」という仕組みです。世帯合算とは、同一の医療保険に加入している家族(被保険者とその被扶養者)が、同じ月に支払った自己負担額を合算できる制度を指します。
具体的には、同一医療保険に加入する家族(被保険者と被扶養者)の自己負担額を合算し、その合計額が上限額を超えた場合に高額療養費として支給されます。69歳以下の方については、2万1000円以上の自己負担額のみ合算の対象となります。
ただし、世帯合算が認められるのは、同じ健康保険制度に加入している家族に限られる点には注意が必要です。別々の保険に加入している場合は、原則として合算できません。
窓口での負担を抑える方法もある
高額療養費制度は、原則として後から支給される仕組みですが、医療費が高額になることが事前に分かっている場合には、「限度額適用認定証」を利用することで、窓口での支払いを自己負担上限額までに抑えることができます。これにより、いったん多額の医療費を立て替える必要がなくなります。
また、「マイナ保険証」を利用して医療機関を受診する場合には、原則として「限度額適用認定証」の事前申請は不要とされています。医療機関がオンライン資格確認を行うことで、患者の自己負担限度額情報を確認できるため、窓口での支払いが自動的に上限額までに抑えられる仕組みです。
子どもの入院が予定されている場合には、マイナ保険証が利用できるかどうかも含め、加入している健康保険や医療機関に事前に確認しておくと安心でしょう。
まとめ
高額療養費制度は、子どもを含むすべての被保険者・被扶養者が利用できる制度であり、小児の入院費であっても原則として適用されます。月8万円程度の自己負担が生じている場合、加入者の年齢や所得区分によっては、これ以上の自己負担が軽減される可能性があります。
また、同じ健康保険に加入する家族の医療費を合算できる「世帯合算」を活用すれば、高額療養費の対象となる範囲が広がるケースもあります。
さらに、「限度額適用認定証」やマイナ保険証を活用することで、医療費の立て替え負担を抑えることも可能です。子どもの医療費は突発的に発生しやすいため、制度を正しく理解し、事前に備えておくことが家計を守るポイントといえるでしょう。
出典
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)(5ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
