会社を辞めたので国民健康保険に加入しますが、専業主婦の妻や子どもの保険料も私が支払わなければなりませんか?
国民健康保険(以下、国保)には被扶養者という概念がありませんので、加入する人が個々に被保険者(加入者)として取り扱われます。したがって、国保では家族全員が保険料算定の対象です。本記事では、国保の保険料がどのように決まるのか解説します。
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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国民健康保険(国保)とは
日本では、すべての人が何らかの公的な医療保険に加入する必要があります(国民皆保険制度)。
退職等により健康保険から脱退した場合は、今まで加入していた健康保険に継続加入するか(任意継続)、家族の健康保険の扶養家族(被扶養者)になるか、国保に加入するかのいずれかの手続きが必要です。
会社員等が協会けんぽや健康保険組合を通じて加入するのが「健康保険」、自営業者等が加入するのが「国民健康保険」です。国民健康保険は、都道府県および市区町村、国民健康保険組合が運営しています。また、75歳以上の方や65~74歳までの一定の障害認定を受けた方が、加入するのが「後期高齢者医療制度」です。
国保の加入者がいる世帯では、世帯主が国保の加入者であるなしにかかわらず、世帯主が国保の保険料を納める義務があります。
国保の保険料はどのように決まるの?
国保の保険料は、医療給付費分、後期高齢者支援金等分、介護納付金分の合算額で、それぞれ、所得割、均等割、平等割を合わせた金額です。市区町村によっては、資産割が追加されているところもあります。
医療給付費分は、医療給付に充てるもの、後期高齢者支援金分は後期高齢者の支援金等に充てるもの、40歳以上65歳未満の方のみが負担する介護納付金分は介護給付に充てるものです。
医療給付費分、後期高齢者支援金等分、介護納付金分には課税上限額があり、令和8年度の課税限度額は、医療給付費分67万円、後期高齢者支援金等分26万円、介護納付分は17万円となっています。
所得割は、家族全員の所得合計額に応じて課される部分で、所得が多い人ほど負担が増えます。均等割は、世帯の加入者数に応じて課される部分で、家族が多いほど負担が増えるしくみです。平等割は、一世帯ごとに一定額を課すものです。資産割は、世帯の資産の固定資産税に応じて課される部分です。
国保の保険料は、自治体により大きな差があります。正確な試算をご希望の方は、役所(国保年金課)に出向き試算してもらいましょう。その際は、世帯主とすでに加入している方および新たに加入される方の源泉徴収票など前年中の所得が分かるものや、本人確認書類が必要になります。
国保の保険料の軽減
前年中の所得が基準額以下の世帯については、「均等割」「平等割」が軽減される制度があります。
所得に応じて、7割・5割・2割のいずれかが軽減されます。また、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児の均等割保険料を軽減する制度もあります。具体的には、未就学児に関わる均等割保険料の5割が公費により軽減されます。
軽減を受けるには申請は不要ですが、世帯内に誰か一人でも所得未申告の方がいると軽減されませんので、収入が少ない場合や非課税所得(障害年金や遺族年金等)だけの場合であっても、必ず所得の申告をしましょう。
計算例
本章では、埼玉県さいたま市で令和8年度の国保の保険料算出例を見てみましょう。
夫(42歳):営業所得300万円
妻(38歳):前年所得なし
子(5歳):前年所得なし
〇医療給付費分
・所得割額:(300万円-基礎控除43万円)×7.64%=19万6348円
・均等割額:4万3300円×3人=12万9900円
未就学児均等割軽減額:▲2万1650円
合計額(100円未満切り捨て):30万4500円
〇後期高齢者支援金等分
・所得割額:(300万円-基礎控除43万円)×2.73%=7万161円
・均等割額:1万4900円×3人=4万4700円
未就学児均等割軽減額:▲7450円
合計額(100円未満切り捨て):10万7400円
〇介護納付金分
・所得割額:(300万円-基礎控除43万円)×2.37%=6万909円
・均等割額:1万6100円×1人=1万4600円
未就学児均等割軽減額:対象外
合計額(100円未満切り捨て):7万7000円
〇子ども・子育て支援納付金分
・所得割額:(300万円-基礎控除43万円)×0.26%=6682円
・均等割額:1700円×2人=3400円
未就学児均等割軽減額:対象外
合計額(100円未満切り捨て):1万円
年間保険料額:医療給付費分30万4500円+後期高齢者支援金等分10万7400円+介護納付金分7万7000円+子ども・子育て支援納付金分1万円=49万8900円
※上記の数字は、埼玉県さいたま市「令和8年度 国民健康保険のしおり」より作成
まとめ
国保では、家族全員が保険料算定の対象です。国保の保険料は、医療給付費分、後期高齢者支援金等分、介護納付金分の合算額で、それぞれ、所得割、均等割、平等割を合わせた金額です。市区町村によっては、資産割が追加されているところもあります。保険料の軽減措置があり、申請は不要ですが所得の申告は必要です。
なお、国民健康保険および後期高齢者医療制度において、令和8年度から新たに、子ども・子育て支援納付金に関わる保険料が加わりますので、留意しておきましょう。
出典
厚生労働省 国民健康保険制度
さいたま市 令和8年度国民健康保険のしおり
厚生労働省 後期高齢者医療の保険料について
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー