【独身税】50代で“子ども3人”育てたのに「年8000円超」の負担にモヤり…「ウチの子は苦労してるのに」「扶養配偶者は対象外なんて」制度が“独身税”と言われる理由とは
健康保険料に上乗せして拠出される仕組みのため、思っていたより手取りが減ると感じる人も出てくるのではないでしょうか。子育てが終わった世代にとっては、「自分の子どもを何とか育ててきたのに、これからもまだ負担が続くのか」と感じるのも無理はないかもしれません。
本記事では、実際の負担額を試算するとともに、制度の仕組みと違和感、受け止め方について整理します。
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
子育てが終わった世代も「独身税」負担に違和感
50代の会社員Bさんは、3人の子どもが社会人となり、長い子育て期間に一段落ついたところです。
Bさんの家庭では、奨学金の返済は子どもが負担していますが、一人暮らしの子どもの手取りは月20万円程度で、約2万円の奨学金を返済中です。今でも生活費の援助が必要なときがあり、経済的な負担は完全には終わってはいません。
Bさんは「3人の子育てをようやく終えましたが、まだ子どもへの支援は必要です。こうした状況でさらに負担が増えることには違和感があります」と言います。
また、共働き世帯のBさんは、扶養配偶者は負担の対象とならない点についても、複雑な思いを感じているといいます。
Bさんの負担額はどのくらいか
子ども・子育て支援金は、健康保険料に上乗せして拠出され、被用者保険の加入者の支援金率は、令和8年度の0.23%でスタートし、令和10年度には0.4%へと段階的に引き上げられる予定です。会社員の場合は、支援金額は労使折半となります。
年収700万円(標準報酬月額45万円、賞与80万円を年2回)のBさんの場合、令和8年度の負担額は年間約8056円となります。令和10年度に支援金率が0.4%となった場合、同条件で年間約1万4000円程度の負担となる見込みです。
扶養配偶者は対象外? 負担の仕組みを確認すると
制度の詳細について確認するため、こども家庭庁に問い合わせたところ、担当者からは、現行の仕組みでは扶養配偶者は負担対象とはならないと説明されました。
健康保険に加入している会社員の場合、この支援金は健康保険料に上乗せして徴収されるため、保険料を負担していない扶養配偶者からは制度上徴収されない仕組みです。
このため、
・共働き世帯は夫婦それぞれが負担
・扶養配偶者がいる世帯は実質1人分の負担
となり、世帯によって負担のあり方に差が生じます。
「独身税」と感じる理由はどこにあるのか
子ども・子育て支援金は、同じ負担率であっても、世帯構成や働きかたによって実質的な負担に差が生じるため、受け止めかたには違いが出ることでしょう。
特に、扶養配偶者が負担対象とならない仕組みについては、不公平と感じる人がいる一方で、制度の仕組みは、健康保険と同様の考えかたに基づくものといえます。
独身だから負担率が上がるということはありませんが、扶養配偶者の有無、収入状況、今から子育てか子育ては終わっているかによっても、負担の感じかたに差が生じる可能性があります。
「誰がどのように負担するのか」が問われる制度
子ども・子育て支援金は、少子化対策として社会全体で支えることを目的とした制度です。
少子化対策は社会全体の課題であり、子育てに対する支援は必要ではありますが、子育てを終えた世代や、奨学金の返済が続く世帯などにとっては、「負担が続く仕組み」として受け止められることもあります。
そのため、負担額の大きさだけでなく、誰がどのくらい負担する仕組みかという点も、制度への理解に影響するといえるでしょう。
まとめ
子ども・子育て支援金は、年収や加入している健康保険に応じて負担額が決まる仕組みです。一見すると一律の負担のように見えますが、世帯構成や働き方によって、実際の負担のあり方に違いが生じます。
また、制度自体はすでに始まっていますが、「いくら引かれるのか分かりにくい」といった声もあり、給与明細で初めて負担を実感する人も出てきそうです。
少子化対策として社会全体で支える必要性がある一方で、世帯ごとの状況によって受け止め方に差が出る制度ともいえます。どのように負担し合う仕組みが良いのか、今後もさまざまな意見が交わされていきそうです。
出典
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
東京実業健康保険組合 令和8年度より「子ども・子育て支援金」が始まります
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士