70代の父は4月からの「独身税」に好意的ですが、独身会社員の私は“月450円”でも負担に感じます…。「子ども・子育て支援金」はなぜ世代間で負担感が違うのでしょうか?
本記事では、この制度の仕組みや、なぜ世代間で負担感の差が生まれるのかについて、具体的な数値を交えて解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
“独身税”とも噂された「子ども・子育て支援金」は4月から拠出開始
子ども・子育て支援金制度は少子化が加速していることから、社会全体で子ども・子育てを支えるため創設されました。2026年4月から拠出が開始され、私たちが加入している健康保険などの医療保険の仕組みを通じて徴収されます。
この制度は一部で「独身税」と呼ばれることがありますが、これは公式な名称ではありません。独身者に限定して課税されるわけではなく、子育て世帯を含むすべての医療保険加入者が広く負担する形をとっているためです。
金額は収入や加入している医療保険制度に応じて決まるため、一律定額ではないのが特徴です。こども家庭庁によれば、この支援金の導入により、子ども1人当たりの給付拡充効果は約146万円と試算されています。
現役世帯・老後世帯でどのくらい違う? 実収入への影響を算出
支援金は医療保険料に上乗せされるため、給与所得のある現役世代は収入に応じた負担が発生します。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の東京都における「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」および子ども・子育て支援金の料率(0.23%)をもとに試算すると、標準報酬月額139万円(50等級)の場合、子ども・子育て支援金は月額3197円(労使折半後は1598.5円)で、年間の最大負担額は約1万9000円になります。
厚生年金保険料は標準報酬月額65万円(32等級)が上限ですが、支援金はより高い報酬まで連動して増加するようです。
一方、こども家庭庁 こども未来戦略 「加速化プラン」 施策のポイントによると、後期高齢者の令和8年度の支援金額は「平均月額200円」と推計されています。また、健康保険組合の加入者は「平均月額550円」となる見込みです。
掲題のように月450円程度の負担であっても、平均額が低い高齢者世帯と比較すると、現役世代のほうが負担が相対的に大きく感じられる可能性があります。
保険料負担を相殺する「社会保険負担軽減」の取り組みも進行中
政府は、支援金の導入にあたって社会保険料全体の負担増を抑える方針を示しています。具体的には、既存の保険料負担の見直しや公費の投入により、実質的な負担増を緩和する取り組みが進められています。
こども家庭庁「こども未来戦略」における社会保険負担の軽減に向けた取り組みによると、令和5年度から8年度にかけて実施される歳出改革による負担軽減効果は、約0.6兆円です。支援金の拠出はこの範囲内に収まるよう調整されており、実質的な負担は生じないと説明されています。
わずかでも手取りが減るという実質的な影響は否定できませんが、現役世代が将来受け取る社会保障の持続可能性を高める施策としては、一定の妥当性がありそうです。
まとめ
子ども・子育て支援金制度は、将来の社会を担う子どもたちを社会全体で支えていくための重要な財源と位置づけられています。しかし現役世代と比較して、高齢者世帯は相対的に保険料水準が抑えられているため、世代間で「温度差」が生じてしまうこともあるでしょう。
月450円という金額は決して小さくありませんが、政府が掲げる「社会保険負担軽減」の取り組みがどの程度実質的な手取りに反映されるか、今後も注視していく必要があるでしょう。
出典
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
こども家庭庁 子ども・子育て支援金について(概要) こども未来戦略 「加速化プラン」 施策のポイント(8ページ)
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A 【その他】(1)社会保障の歳出改革って具体的に何をしたの?
こども家庭庁 「こども未来戦略」における社会保険負担の軽減に向けた取組
こども家庭庁 被用者保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合) 年収別の支援金額の試算(令和8年度)
全国健康保険協会
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー