夫が退職して失業保険をもらいながら職業訓練へ! 子ども2人の扶養はどこに入れるのが一番安い?任意継続・国保・妻の社保で悩んでいます。
健康保険に加入している夫が退職し、しばらく再就職しない場合、夫の公的医療保険は(1)健康保険を任意継続する、(2)国民健康保険に切り替える、(3)妻の健康保険の扶養に入る、のいずれかになります。
そこで本記事では、本事例を基に「健康保険を任意継続すると保険料はどうなるか?」「国民健康保険に切り替えると保険料はどうなるか?」「妻の健康保険の扶養に入ると保険料はどうなるか?」について解説します。
なお、本事例において、夫は「40歳以上65歳未満」「退職時の年収480万円」、妻は「健康保険の被保険者」、子ども2人は「18歳未満」「収入なし」、家族は東京都世田谷区在住と仮定します。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
健康保険を任意継続すると保険料はどうなるか?
任意継続の保険料(月額)は、以下の計算式によって算出し、原則として2年間変わりません。
保険料=退職時の標準報酬月額×住んでいる都道府県の保険料率
「退職時の標準報酬月額」には上限があります。例えば協会けんぽの場合、令和8年度の健康保険の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は32万円です。
保険料率は都道府県ごとに異なり、保険料は被保険者が住んでいる都道府県の保険料率を乗じて算出します。東京都の場合、令和8年3月分からの保険料率は、健康保険料が9.85%、介護保険料が1.62%です。
また、令和8年4月分からは子ども・子育て支援金0.23%が加わります。これらの保険料率を前掲の計算式に当てはめると、以下のように表すことができます。
保険料=退職時の標準報酬月額×11.7%
年収480万円であれば、「標準報酬月額」は上限の32万円を超えると考えられます。このとき、任意継続保険料は3万7440円(=32万円×11.7%)と計算できます。
また、健康保険の任意継続は、要件を満たせば子ども2人を扶養に入れることができます。このとき、子どもの保険料は発生しません。ただし、任意継続の加入期間は最長2年間であるため、期間満了後は別の公的医療保険に加入する必要があります。
国民健康保険に切り替えると保険料はどうなるか?
国民健康保険料は、(1)医療分、(2)後期高齢者支援金分、(3)介護分、(4)子ども・子育て支援金分で構成されており、それぞれに所得割額と均等割額があります。
ただし、介護分は40歳以上65歳未満、子ども・子育て支援金は18歳以上の加入者のみ負担する保険料です。なお、国民健康保険には「扶養」という考え方はなく、それまで扶養に入っていた子どもも国民健康保険に加入し、保険料を支払う必要があります。
所得割額(年額)は、以下のように計算します。なお、計算を簡単にするために、加入月数・該当月数を12月とし、計算式の一部を省略しております。
所得割額=加入者(対象者)全員の賦課基準額の合計額×各区分の保険料率
賦課基準額は、前年の所得額を基に算出します。保険料率は市区町村により異なります。令和8年度における東京都世田谷区の保険料率は、医療分7.51%、後期高齢者支援金分2.8%、介護分2.43%、子ども・子育て支援金分0.27%です。
これらの保険料率を前掲の計算式に当てはめると、以下のように表すことができます。
所得割額=加入者(対象者)全員の賦課基準額の合計額×13.01%
本事例における「加入者(対象者)全員の賦課基準額の合計額」は297万円(=年収480万円-給与所得控除140万円-住民税基礎控除43万円)となるため、所得割額は38万6397円と計算できます。
均等割額(年額)は、以下のように計算します。なお、計算を簡単にするために、加入月数・該当月数を12月とし、計算式の一部を省略しております。
均等割額=加入者数×各区分の均等割額
均等割額は市区町村により異なります。令和8年度における東京都世田谷区の均等割額は、医療分4万7600円、後期高齢者支援金分1万7600円、介護分1万7800円、子ども・子育て支援金分1873円です。
これらの均等割額を前掲の計算式に当てはめると、以下のように表すことができます。
(1)均等割額=40歳以上65歳未満の加入者数×8万4873円
(2)均等割額=18歳未満の加入者数×6万5200円
本事例では「40歳以上65歳未満の加入者数」が1人、「18歳未満の加入者数」が2人となるため、均等割額は21万5273円と計算できます。先に計算した所得割額38万6397円と合わせると、国民健康保険料は60万1670円(月額約5万140円)となります。
妻の収入が夫の失業保険よりも多い場合は、子ども2人を妻の扶養に入ることを検討しましょう。このとき、国民健康保険料は47万1270円(月額約3万9273円)となります。
妻の健康保険の扶養に入ると保険料はどうなるか?
夫が退職後、妻の健康保険の扶養に入れば、保険料はかかりません。同様に、子どもも扶養に入れば、保険料はかかりません。
ただし、扶養に入るためには(1)収入要件、(2)同一世帯の条件を満たさなければなりません。夫や子どもの場合、(2)については問題ありません。しかし、(1)には注意が必要です。
収入要件を満たすためには、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)、かつ同居の場合は収入が被扶養者の半分未満(別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満)である必要があります。
なお、年間収入には失業保険の給付も含まれるため、扶養に入るには給付日額が3611円以下である必要があります。
まとめ
本記事では、本事例を基に「健康保険を任意継続すると保険料はどうなるか?」「国民健康保険に切り替えると保険料はどうなるか?」「妻の健康保険の扶養に入ると保険料はどうなるか?」について解説しました。
まとめると、以下のとおりです。
・夫が健康保険を任意継続し、子ども2人が夫の扶養に入るなら、保険料は月額3万7440円
・夫が国民健康保険に切り替え、子ども2人も国民健康保険に加入すると、保険料は月額約5万140円
・夫が国民健康保険に切り替え、子ども2人が妻の扶養に入ると、保険料は月額約3万9273円
・夫も子ども2人も妻の健康保険の扶養に入るなら、保険料はかからない
本記事で退職後の保険料を試算した結果、一番安いのは「夫も子ども2人も妻の健康保険の扶養に入る」ことです。夫が被保険者になるのであれば、「夫が健康保険を任意継続し、子ども2人が夫の扶養に入る」ことです。
とはいえ、健康保険の保険料は退職前の所得を、国民健康保険の保険料は前年の所得を基礎に算出し、また、健康保険の保険料率や国民健康保険の保険料率・均等割額は住んでいる地域によって異なります。
本記事はあくまで仕組みを理解する上で役立てていただき、より具体的に知りたいという方は、担当窓口でご相談されることをおすすめします。
出典
協会けんぽ 健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について
世田谷区 保険料の計算方法
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー