一度退職扱いとなり、その後再雇用に! このような場合、雇用保険の給付を受けることはできるのでしょうか?

配信日: 2026.05.24
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一度退職扱いとなり、その後再雇用に! このような場合、雇用保険の給付を受けることはできるのでしょうか?
60歳以降に定年などにより一度退職して再雇用された労働者に対する雇用保険の給付には、収入減少を補う高年齢雇用継続給付と、高齢の求職者に対する高年齢求職者給付があります。
 
今回は、高年齢雇用継続給付と高年齢求職者給付について詳しく解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

高年齢雇用継続給付とは

1.制度の概要と給付条件

高年齢雇用継続給付は、60歳到達時の時点に比べて賃金が低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の労働者に給付金が支給される制度で、雇用保険の基本手当を受給していない方を対象とした「高年齢雇用継続基本給付金」と、基本手当を受給し再就職した方を対象とする「高年齢再就職給付金」があります(※1)。
 
いずれの給付金を受給するためには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。
 

(1)60歳以上65歳未満の一般被保険者であること
(2)被保険者であった期間(注1)が5年以上であること
(3)原則として60歳到達時点と比較して、60歳以降の賃金(みなし賃金)が60歳時点の75%未満となっていること
(4)高年齢再就職給付金については、再就職の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること

 
注1:「被保険者であった期間」とは、雇用保険の被保険者として雇用されていたすべての期間を言います。なお、途中で離職し再就職する場合、被保険者期間が途切れる期間が1年以内であること、およびその間に求職者給付や就業促進手当を受けていないときは、被保険者期間が通算されます。
 

2.高年齢雇用継続基本給付金の支給対象者と支給期間

被保険者期間(基本手当を受給したことがある方は、受給後の期間)が通算して5年以上ある被保険者が、60歳到達後も継続して雇用され、60歳以降の各月に支払われる賃金が原則として60歳到達時の賃金月額の75%未満である場合に給付金が支給されます。
 
給付の対象となる期間は、60歳到達月から65歳到達月までの各歴月が対象です。
 
給付額は、下式で求められる「低下率」により判断されます。
 
低下率(%)=支給対象月に支払われた賃金額÷賃金月額(注2)×100
 
注2:「賃金月額」とは、原則として60歳に到達する前6ヵ月間の平均賃金
 
低下率が64%以下である場合は、支給対象月に支払われた賃金月額×10%の給付金が支給されます。なお、低下率が64%を超え75%未満である場合は、支給率が10%から0%まで調整されます。
 

3.高年齢再就職給付金の支給対象者と支給期間

基本手当を受給した後、60歳以降に再就職した方について、再就職後に支払われる賃金月額が、基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった場合に給付金が支払われます。
 
給付の対象となる期間は、60歳以降に再就職した月から65歳到達月までの間で、再就職した日の前日における基本手当の支給残日数により以下の期間となります。
 

支給残日数200日以上:再就職の翌日から2年間
支給残日数100日以上200日未満:再就職の翌日から1年間

 

4.高年齢雇用継続給付の支給額

給付金の額は、下式で求められる「低下率」により判断されます。
 
低下率(%)=支給対象月に支払われた賃金額÷賃金月額×100
 
「賃金月額」とは、原則として60歳に到達する前6ヵ月間の平均賃金をいいます。
 
低下率が64%以下である場合は、支給対象月に支払われた賃金月額×10%の給付金が支給されます。
 
なお、低下率が64%を超え75%未満である場合は、支給率が10%から0%まで調整されます。なお、賃金が低下した理由が被保険者自身や事業主に責任がある場合などの場合には、低下した部分も支払われたものとみなして賃金の低下があるか判断されます。
 
また、給付金には上限額と下限額が定められており、上限額を超える給付金と下限額を下回る給付金は支給されません。
 

高年齢求職者給付とは

1.制度の概要と給付条件

高年齢求職者給付とは、65歳以上の雇用保険の高年齢被保険者であった方が離職した場合に、1日も早く再就職できるよう給付金が一時金として支給される制度です(※2)。
 
給付の対象は、65歳以上で次の要件をすべて満たす方になります。
 

(1)離職の日以前1年間に、被保険者期間が6ヵ月以上あること
(2)就職したいという積極的な意思と、いつでも就職できる能力があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない失業の状態にあること

 
給付を受けるためには、ハローワークに求職の申込みをする必要があります。
 

2.高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金は、離職票を提出して求職の申込みをしてから7日間の待期期間(注3)が経過した後に支給が開始され、離職の日の翌日から1年間経過するまでの間に次表に掲げる日数分の基本手当に相当する額が一時金として支給されます(※2)。
 

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
高年齢求職者給付金 30日分 50日分

(※2を基に筆者作成)
 
注3:自己都合や懲戒解雇で離職した人は、7日の待期期間の経過後、離職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1ヵ月の給付制限があります。なお、同年3月31日以前である場合は原則2ヵ月、離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合または懲戒解雇された場合の給付制限期間は、離職日にかかわらず3ヵ月の給付制限があります。
 

まとめ

再雇用などで働く65歳未満の労働者の賃金月額が、60歳到達時点の賃金月額の75%未満に低下した場合、高年齢雇用継続給付により、賃金の低下率に応じて賃金月額の10~0%の給付金が65歳になるまでの一定期間支給されます。
 
また、65歳以上で退職した場合は、求職の申込み後の待期期間などの要件を満たせば、被保険者であった期間に応じて基本手当の30日分または50日分の高年齢求職者給付金が支給されます。
 

出典

(※1)厚生労働省 高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続きについて
(※2)厚生労働省 離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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