親が“老人ホーム”に入り、実家が「空き家」に…火災保険料「年3万円」のはずが、更新時「3倍の年9万円です」と言われショック! 空き家とバレなければ“安いまま”ですか? FPがリスクを解説
人が住まなくなっただけで、なぜ保険料がそこまで上がるのでしょうか。本記事では、空き家の火災保険が高額になる理由と、「高いから解約しよう」と無保険状態にしてしまうリスク、そして正しい保険の見直し方についてFPが解説します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
空き家は「住宅」ではない!? 保険料が3倍になる理由
これまで年間3万円で済んでいた実家の火災保険。それは、親が生活の拠点として住んでいる「住宅物件」として契約していたからです。
しかし、親が施設に入り「長期間誰も住まない状態(空き家)」になると、保険会社における建物の扱いが変わります。人が常駐していない建物は、「住宅物件」の適用から外れ、店舗や倉庫などと同じ「一般物件」という分類に変更されるケースがほとんどです。
人が住んでいない空き家は、放火の標的になりやすく、漏電による出火や水漏れが起きても発見が遅れ、被害が広がりやすいというリスクがあります。そのため、一般物件扱いに変わった途端に保険料が2~3倍に上がり、建物の老朽化が進んでいる場合は更新自体を断られることも珍しくありません。
「高いから解約する」は危険! 無保険で火事を起こすリスク
年9万円という保険料を提示されると、「誰も住んでいないし、燃えても困らないから解約しよう」と考える人がいます。しかし、これは避けたほうが良い選択です。日本には「失火責任法」という法律があり、万一自宅から出火して隣家を燃やしてしまっても、原則として損害賠償責任は負いません。
ただし、「重過失(重大な落ち度)」があった場合は例外とされています。無保険のまま空き家を放置し、庭にゴミが散乱したり雑草が生い茂ったりして「放火されやすい状態」を作っていた結果、実際に火事が起きたとします。
この場合、管理責任を問われて「重過失」と認定されると、隣家への数千万円規模の損害賠償を実費で支払う事態になりかねません。また、燃え残った実家の解体・撤去費用(数百万円)も、全額自己負担になります。
実家を重荷にしないための「正しい保険の見直し方」
空き家の火災保険料の負担を抑えながらリスクを回避するには、以下のステップで対処しましょう。
1. 「空き家になったこと」を速やかに保険会社へ伝える
最も避けるべきは、空き家になった事実を隠したまま安い「住宅物件」として契約を続けることです。これは「通知義務違反」となり、いざ火事が起きた際に保険金がおりない可能性があります。まずは正直に状況を申告することが大切です。
2. 補償内容を絞って保険料を下げる
「一般物件」になって保険料が上がるのは避けられませんが、補償内容を絞ることで負担を減らせます。空き家であれば「家財の補償」は不要になりますし、水災や盗難の補償を外して「火災・風災・賠償責任」といった最低限の補償に絞り込むことで、年9万円の提示額を下げられるケースがあります。
3. 「売却」か「解体」という根本的な解決を検討する
保険の見直しは、あくまで一時的な対処です。誰も住まない実家を持ち続ける限り、高額な火災保険料や固定資産税の負担は毎年続きます。親の意向を確認しながら、早い段階で売却や解体・更地化などの選択肢を家族で話し合っておくことをお勧めします。
まとめ
親が老人ホームに入り実家が空き家になると、建物の用途が「住宅」から「一般物件」に変わり、火災保険料が2~3倍に上がるという現実があります。
「もったいないから」と無保険にするのは、数千万円の損害賠償リスクを抱える行為です。まずは保険会社に相談して補償内容を最小限に絞り込み、空き家専用の保険なども比較検討しながら、実家を手放すまでの間を安全につなぐようにしてください。
出典
損害保険料率算出機構 火災保険参考純率
e-Gov法令検索 明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
