夫のボーナス「100万円」に喜んだのも束の間…社会保険料などで“約15万円”も引かれていて驚きました! 月給からも引かれているのに「賞与」にも“税金”がかかるのでしょうか?
今回は、賞与から徴収される社会保険料について解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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標準報酬月額と標準賞与額
1. 標準報酬月額
毎月の月給から徴収される社会保険料の計算には、実際の月給額ではなく、給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を用います(※1, 2, 3)。
厚生年金保険料の計算に用いられる標準報酬月額は、1等級の8万8000円から32等級の65万円までの32等級に分かれています。なお、給与が63万5000円以上の方は32等級の65万円となります。
また、健康保険料の計算に用いられる標準報酬月額は、1等級の5万8000円から50等級の139万円までの50等級に分かれています。なお、給与が135万5000円以上の方は50等級の139万円となります。
2. 標準賞与額
賞与から徴収される社会保険料の計算には、実際の税引き前の賞与額から1000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額が用いられます。なお、厚生年金保険の標準賞与額は月間150万円が上限となり、150万円を超えるときは150万円とされます(※1)。一方、健康保険、介護保険および子ども・子育て支援金の標準賞与額は、年度累計573万円が上限となります。
また、標準賞与額の対象となる賞与は、労働者が労働の対価として受け取る賞与(役員賞与を含む)、ボーナス、期末手当、勤勉手当、繁忙手当などのうち、年3回以下の回数で支給されるものです(※1)。
賞与の支給額と社会保険料
月給や賞与から徴収される社会保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に保険料率を乗じて算出されます。賞与の支給額に応じて徴収される社会保険料の額は、以下のとおり計算されます。
1. 厚生年金保険料
賞与から徴収される厚生年金保険料は、全国一律の保険料率18.3000%を乗じて下式により計算されます(※1, 2)。
厚生年金保険料=標準賞与額×18.300%÷2
2. 健康保険料
賞与から徴収される健康保険料は、標準賞与額に加入する健康保険組合ごとに設定された保険料率を乗じて計算されます。
多くの中小企業が加入する協会けんぽ(東京地区)を例にとると、保険料率は40歳未満の方が9.85%、40歳以上65歳未満の方は介護保険分が上乗せされ11.47%、それに令和8年4月分からは子ども・子育て支援金率0.23%が加算され、下式により計算されます。
健康保険料等(40歳未満)=標準賞与額×(9.85%+0.23%)÷2
健康保険料等(40歳以上65歳未満)=標準賞与額×(11.47%+0.23%)÷2
3. 賞与額と社会保険料額
標準賞与額が50万円、100万円、150万円を例に、具体的な社会保険料額を試算すると、図表1のとおりとなります。
図表1
《被保険者の年齢40歳未満》
| 標準賞与額 | 厚生年金保険料 | 健康保険料 | 子ども・ 子育て支援金 |
保険料合計 |
|---|---|---|---|---|
| 50万円 | 4万5750円 | 2万4625円 | 575円 | 7万950円 |
| 100万円 | 9万1500円 | 4万9250円 | 1150円 | 14万1900円 |
| 150万円 | 13万7250円 | 7万3875円 | 1725円 | 21万2850円 |
(※3を基に筆者作成)
《被保険者の年齢40歳以上65歳未満》
| 標準賞与額 | 厚生年金保険料 | 健康保険料 | 子ども・ 子育て支援金 |
保険料合計 |
|---|---|---|---|---|
| 50万円 | 4万5750円 | 2万8675円 | 575円 | 7万5000円 |
| 100万円 | 9万1500円 | 5万7350円 | 1150円 | 15万円 |
| 150万円 | 13万7250円 | 8万6025円 | 1725円 | 22万5000円 |
(※3を基に筆者作成)
まとめ
社会保険料は、月給のみならず賞与からも徴収されます。100万円の賞与から徴収される社会保険料の額は、40歳未満の方で約14万円、40歳以上65歳未満の方で約15万円となります。
社会保険料は給与だけでなく賞与にもかかるため、「ボーナスの額面=手取り額」ではありません。特に賞与額が大きいほど社会保険料の負担額も増えるため、想定していたより手取りが少ないと感じることもあるでしょう。ボーナス支給時には控除額も確認し、計画的な家計管理に役立てることが大切です。
出典
(※1)日本年金機構 厚生年金保険の保険料
(※2)日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和8年度版)
(※3)全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

