夫が急に入院することになり、医療費が不安です…。頼りにしていた「高額療養費制度」も改正で自己負担上限が“最大38%”引き上げられると聞きましたが、わが家の負担はどれくらい増えるのでしょうか?
しかし、改正内容の全体像や実際の負担額については分かりにくく、今回の見直しが家計にとってどのような影響を与えるのか判断しづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、高額療養費制度の概要や見直しの内容、医療費負担が増えるとされる背景について解説します。
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目次
令和8年から高額療養費制度はどう変わる? 「自己負担上限」見直しへ
高額療養費制度とは家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が自己負担上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。厚生労働省によると、今回の改正によって、自己負担上限額の計算に用いる算定基準額が2段階にわたり引き上げられます。
現行の制度では、一般的な所得層(年収約370万〜770万円)の場合、1ヶ月あたりの算定基準額は8万100円ですが、令和8年8月に1ヶ月あたりの算定基準額が8万5800円に引き上げられます。
また、令和9年8月以降は、70歳未満の所得区分が現行の5区分から13区分へ細分化される予定です。掲題の「38パーセント」は、年収「約650万〜770万円」の区分で、自己負担上限額の計算に用いる算定基準額が8万100円から11万400円へ引き上げられることを指します。
高額療養費制度は“改悪”なの? 医療費負担が増えると言われる理由
算定基準額が引き上げられることによって、実際の自己負担額にどのくらい影響があるのでしょうか。高額療養費制度を利用した場合、一定の所得がある方の自己負担額は以下の計算式で求められます。
・自己負担額=算定基準額+(医療費-算定基準額÷0.3)×1%
掲題の夫を60代男性・年収700万円と仮定して、医療費100万円の手術を受けた場合の自己負担額は表1の通りです。
表1
| 制度時期 | 自己負担額 |
|---|---|
| 令和8年7月まで | 8万7430円 |
| 令和8年8月以降 | 9万2940円 |
| 令和9年8月以降 | 11万6720円 |
※筆者作成
表1によると、令和8年8月以降は5510円、令和9年8月以降は2万9290円の負担増となります。算定基準額が引き上げられると実際の自己負担額が高くなるため、高額療養費制度が改悪されるといえるかもしれません。
長期治療や低所得世帯はどうなる? 「年間上限」や「多数回該当」は維持
多数回該当とは、直近12ヶ月以内に3回以上高額療養費の上限に達した場合、4回目以降の月額上限がさらに引き下げられる仕組みです。
前記したように、短期療養者の負担が増える一方で、長期療養者への多数回該当の金額は据え置きされるだけでなく、令和8年8月から新たに年間上限(年単位の上限額)が設けられます。年収700万円の方の場合、令和8年8月以降の多数回該当が4万4400円のままで、53万円の年間上限が設けられます。
また、令和9年8月から低所得者への配慮の観点から、年収200万円未満の課税世帯における多数回該当の金額が4万4400円から3万4500円に引き下げられる予定です。
まとめ
高額療養費制度は、令和8年8月以降に自己負担上限額の計算に用いる算定基準額が引き上げられる予定です。
掲題のケースであれば、改定前は医療費100万円に対して自己負担額が8万7430円ですが、令和9年8月以降は11万6720円に増える計算となります。算定基準額が引き上げられると、自己負担額が増えることから、高額療養費制度の改正により家計への影響が大きくなる可能性があります。
出典
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
