8月から「高額療養費」が変わると聞いたのですが、負担は増えるのでしょうか? 新設される「年間上限額」の仕組みを解説

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8月から「高額療養費」が変わると聞いたのですが、負担は増えるのでしょうか? 新設される「年間上限額」の仕組みを解説
今年8月から、高額療養費制度の月額上限額が段階的に引き上げられ負担が増えます。一方で年間の上限額が新設されることになりました。その仕組みを知れば、自分の加入している医療保険の見直しに役立つかもしれません。
宮﨑真紀子

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

高額療養費制度の仕組み

高額医療費制度とは、医療費の家計負担が重くならないように、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が決められた上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。上限額は年齢や所得に応じて区分され、1ヶ月(当該月の1日から末日)単位で決められています。現行の制度は図表1のとおりです。
 
(図表1)

図表1

 
例えば、69歳以下で年収が370~770万円で窓口負担が3割の場合を考えます。医療費が100万円かかったら、窓口での支払いは30万円です。ですが図表の算式に当てはめると、8万100円+(医療費100万円-26万7000)×1%=8万7430円となります。
 
本来ならば30万円の支払いですが、8万7430円の負担ですむ仕組みです。1ヶ月ごとに計算されますので、支払いが月をまたぐ場合は注意が必要です。1回の入院でも医療費が当月・翌月50万円ずつになった場合は8万100円+(50万円-26万7000円)×1%=8万2430円この金額の2回分となります。
 

年単位の上限額が新設

厚生労働省ホームページによると、8月からは、この計算式が図表2のように変更されます。
 
(図表2)

図表2

 
図表1と比べると、負担額の上限が増えていることが分かります。冒頭で“段階的に”と書いたように来年8月からは所得区分が細分化され、金額はさらに引き上げられる予定です。
 
高齢化が進み医療保険がひっぱくしていることは誰もが知るところですが、自分が病気になり長期療養することになった場合の不安は募ります。長期療養に関しては、年に4回以上高額療養費に該当した時は自己負担を軽減する仕組み(多数回該当)があります。
 
例えば年収500万円の人の場合、3回目までは計算式で求められた金額ですが4回目以降は4万4400円の負担ですみます。これは改正の前後で金額に変更はありません。
 
8月からの改正で、年単位の上限額が新設されました。これにより医療負担が軽くなる例として、2つの場合を考えてみます。
 

(1) これまで多数回該当に当てはまらなかった場合

年収500万円の人で考えます。毎月8万円の医療費の自己負担額を支払っている場合、高額療養費制度を利用できずに高額な負担となっていました。今回年単位の上限額が設定されたことで、年間53万円の自己負担ですむことになります。
 

(2) 極めて高額な医療を受けた場合

高額な治療、例えば総医療費が5000万円かかった場合を試算してみます。
 
年収500万円の区分で計算すると(図表1にあてはめる)
8万100円+(5000万円-26万7000円)×1%=57万7430円
 
こちらが現行の負担額です。年間上限額があることで53万円に軽減されます。
 
病気になって治療を受ける時、やはり経済的な不安は大きいです。「治療が長期になったらどうしよう」「高額な治療を受けることになったら支払いは大丈夫か」等々の不安が少なくなれば、治療に専念できます。
 
さて最後に、これらを踏まえて加入されている医療保険の見直しをお勧めしたいと思います。健康保険で手厚くカバーしてもらえるのなら、個人で加入する医療保険は不要では?と考える方も出てきそうです。
 
ですが高額療養費制度の支給の対象となるのは、保険適用される診療に対し、患者が支払った自己負担額です。
 
医療にかからない場合でも必要となる「食費」「居住費」、患者の希望によってサービスを受ける「差額ベッド代」「先進医療にかかる費用」等は、高額療養費の支給の対象とはされていません。あくまで治療費だけで、伴う諸費用は自己負担で賄う必要があります。
 
この機会にご自身が加入している医療保険の内容を確認し、その保障内容とほしい内容を照合してください。すぐに引き出せる預貯金の形で、ある程度の資金を確保しておくことも大切です。
 

出典

厚生労働省 患者負担割合及び高額療養費自己負担限度額(令和8年8月~令和9年7月)
厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて
厚生労働省 現在検討している医療保険制度改革についての考え方
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 高額療養費制度に関する参考資料
 
執筆者 : 宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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