《健康保険法》の改正で、下がる健康保険料はたった「ペットボトル1本分」!? それなのにいざ入院した時の窓口負担は数万円も増えるって本当でしょうか?

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《健康保険法》の改正で、下がる健康保険料はたった「ペットボトル1本分」!? それなのにいざ入院した時の窓口負担は数万円も増えるって本当でしょうか?
毎月のお給料から天引きされる健康保険料や、病院にかかった際に支払う窓口負担は、私たちの家計にとって避けにくい出費です。
 
ふだんは大きく意識していなくても、入院や手術が必要になったときには、医療費の負担が家計に重くのしかかることがあります。
 
第221回国会では、「健康保険法等の一部を改正する法律案」が成立しました。この法律によって、今後の医療費事情はどう変わっていくのでしょうか。毎月の保険料や、いざというときの窓口負担への影響を中心に解説します。
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健康保険法改正の背景には現役世代の負担軽減がある

日本の医療費は、高齢化の進展や高額な医薬品の使用増加などにより、年々増えています。医療を支えるためには財源が必要ですが、その負担は現役世代の保険料にも影響します。
 
会社員の場合、健康保険料は毎月の給与から天引きされます。金額は給与水準や加入している健康保険によって変わりますが、厚生年金保険料などと合わせると、手取りを大きく左右する項目です。
 
政府は、医療保険制度を将来も続けていくことと、現役世代を中心とした保険料負担を軽くすることを目的に、今回の健康保険法改正を行いました。その中でも注目されているのが、高額療養費制度の自己負担限度額の見直しです。
 
高額療養費制度とは、1ヶ月に医療機関で支払う自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。大きな病気やけがをしたときに、家計を守る重要なセーフティネットといえます。
 
ただし、今回の見直しでは、この自己負担限度額が段階的に引き上げられる予定です。制度を維持するための見直しとはいえ、患者側から見ると、病気になったときの持ち出しが増える可能性があります。
 

高額療養費制度の見直しで窓口負担は増える方向へ

今回の改正により、令和8年、つまり2026年8月から、高額療養費制度の月額の自己負担限度額が段階的に引き上げられることになります。引き上げ率は、一人あたり医療費の伸びを踏まえて設定される予定です。
 
さらに、令和9年、2027年8月以降は、所得区分がより細かく分けられる予定です。収入に応じた負担に近づける狙いがありますが、一定以上の収入がある世帯では、これまでより自己負担が増える可能性があります。
 
たとえば、一時的な入院や手術で高額療養費制度を使う場合、これまでは上限額で収まっていた自己負担が、今後は数万円増えるケースが出てくると見込まれます。厚生労働省が示している制度見直しの内容によれば、年収約650万〜約770万円の層では、現行の月額上限額から将来的に約3万円引き上げられる予定です。
 
家計にとって、急な3万円の出費は小さくありません。特に、子どもの教育費や住宅ローンを抱えている現役世代では、入院による収入減と医療費の負担増が同時に起きる可能性があります。
 
一方で、長期治療への配慮もあります。過去12ヶ月間に3回以上、自己負担上限に達した場合、4回目以降の上限が下がる「多数回該当」の仕組みがあります。
 
見直しでは、この多数回該当への配慮や、年間上限の新設も予定されています。がんや難病などで長く治療を続ける人には、負担を抑える仕組みも用意される見込みです。
 

保険料軽減の効果は大きく感じにくい可能性がある

窓口負担が増える一方で、今回の改正の目的には、現役世代の保険料負担の軽減があります。では、毎月の健康保険料はどれくらい安くなるのでしょうか。
 
国会審議の中では、高額療養費の限度額引き上げに伴う保険料の軽減効果は「ペットボトル1本分程度」にとどまるとの指摘も出ています
 
つまり、いざ病気になったときには数万円単位で自己負担が増える可能性がある一方で、毎月の手取りが大きく増えるほどの保険料軽減は実感しにくいと考えられます。
 
また、影響は現役世代だけではありません。70歳以上の高齢者に設けられている外来診療の自己負担限度額についても、引き上げが予定されています。今後は、一定の収入がある高齢者の窓口負担割合についても見直しが議論される可能性があります。
 
高齢の親がいる家庭では、親の医療費負担が増えた場合、親の年金や貯蓄だけでは足りず、子ども世代が援助することも考えられます。自分の医療費だけでなく、親の医療費や介護費も含めて、家計全体で備える必要が出てくるでしょう。
 
これからの医療費事情を考えるうえで大切なのは、「毎月の保険料が少し軽くなるかもしれない」ことより、「病気になったときの持ち出しが増える可能性がある」ことを意識しておくことです。
 

まとめ

今回の健康保険法改正では、医療保険制度を持続させ、現役世代の保険料負担を軽くすることが目的とされています。一方で、高額療養費制度の自己負担限度額が段階的に引き上げられるため、入院や手術をしたときの窓口負担は増える可能性があります。
 
保険料の軽減効果は、加入者一人あたり年間約1400円、月額では約117円とされており、手取りが大きく増えるほどの効果は感じにくいかもしれません。その一方で、急な病気のときには数万円単位の負担増が起こる可能性があります。
 
これからは、生活費とは別に医療費用の貯蓄を確保しておくことが大切です。あわせて、民間の医療保険やがん保険に加入している人は、入院日額や一時金でどこまでカバーできるかを確認しましょう。
 
何より、日ごろの健康管理も家計防衛の一つです。食事、運動、睡眠、健診を大切にし、国の制度変更を正しく理解しながら、急な医療費にもあわてない家計づくりを進めていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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