突然の入院で「自己負担」が激増するって本当!? 『高額療養費制度』見直しで、損をするのはどんな人でしょうか?

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突然の入院で「自己負担」が激増するって本当!? 『高額療養費制度』見直しで、損をするのはどんな人でしょうか?
大きな病気やけがで入院や手術をしたとき、日本の公的医療保険には「高額療養費制度」という心強い仕組みがあります。これは、1ヶ月に医療機関の窓口で支払う医療費が一定の上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。
 
現在、この制度の見直し方針が政府から公表されており、令和8年8月および令和9年8月からの段階的な実施が予定されています。一人当たりの医療費の伸びなどを踏まえて月ごとの自己負担限度額が引き上げられるため、急な病気やけがの際に一時的に必要な現金が増える可能性があります。
 
一方で、治療が長期にわたる方への配慮として新たに「年間上限」が設けられるなど、結果として負担が軽くなるケースも示されています。
 
今回の制度変更が私たちの家計にどのような影響を与えるのか、医療費への備え方とあわせて解説します。
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高額療養費制度の見直しで患者負担が増える可能性がある

高額療養費制度は、医療費の自己負担が重くなりすぎないようにするための制度です。たとえば、手術や入院で医療費が高額になっても、年齢や所得に応じて1ヶ月の自己負担上限が決められています。上限を超えた分は後から払い戻されるため、医療費の不安を抑える役割があります。
 
一方で、政府は制度の持続可能性や世代間の負担の公平性を保つため、自己負担限度額を段階的に引き上げる方針を決めました。医療費が増え続ける中で、制度を維持するには見直しが必要という考え方です。
 
しかし、自己負担限度額が上がると、患者側の負担は増えます。特に現役世代ががんや難病などで治療を受ける場合、医療費だけでなく、休職や時短勤務による収入減も重なることがあります。教育費や住宅ローンを抱えている家庭では、数万円の負担増でも家計に大きく響くでしょう。
 
こうした懸念を受け、第221回国会では、中道改革連合などの野党が「全ての国民が安心して医療を受けられる環境の整備を図るための高額療養費等の制度の在り方に係る措置に関する法律案」を衆議院に提出しました。生活実態に合った制度設計を政府に求める内容です。
 

政府案では月額上限の引き上げと年間上限の新設が予定されている

政府が予定している見直しは、大きく2段階で進む予定です。
 
第一段階は、令和8年、つまり2026年8月からです。一人あたりの医療費の伸びに合わせて、月額の自己負担限度額が引き上げられます。引き上げ率は約7.1%に抑えられる予定です。
 
一方で、長期療養者への配慮もあります。過去12ヶ月間に3回以上、自己負担上限に達した場合、4回目以降の限度額が下がる「多数回該当」という仕組みがあります。この多数回該当の金額は据え置かれる予定です。
 
さらに、新たに「年間上限」が設けられます。月ごとの上限には届かない月が続いても、1年間の自己負担額が一定額に達した後は、それ以上の医療費が還付される仕組みです。長期間治療を続ける人にとっては、年間の負担を抑える効果が期待されます。
 
第二段階は、令和9年、つまり2027年8月からです。所得区分が細かく分けられ、より収入に応じた負担額が設定される予定です。低所得者への配慮として、住民税非課税ラインを少し上回る年収200万円未満の世帯については、多数回該当の限度額が25%引き下げられます。
 

一時的な入院では負担増、長期治療では負担軽減になる場合もある

では、今回の見直しで負担増となるのは、どのような人でしょうか? 影響の大きさは、医療機関にかかる頻度によって変わります。
 
一時的な病気やけがで、年に1〜3回程度だけ高額療養費制度を使う人は、負担が増える可能性があります。月額の自己負担限度額が引き上げられるため、入院や手術をした月の持ち出しが増えやすくなるからです。
 
たとえば、年収650万〜770万円程度の所得区分では、現行の限度額8万100円から、将来的に11万400円へ上がるという試算があります。この場合、1ヶ月あたり約3万円の負担増です。突然の入院でこの差が出ると、家計にとっては小さくありません。
 
一方で、がんや難病などで継続的な治療が必要な人は、必ずしも負担増だけとは限りません。多数回該当の金額が据え置かれることや、年間上限が新設されることで、年間の医療費負担が現状維持、または軽くなる可能性があります。
 
つまり、短期間だけ制度を使う人には厳しく、長期療養者には一定の配慮がある見直しといえます。ただし、病気になる時期や治療内容は自分で選べません。どちらのケースにも対応できるよう、家計に余裕を持たせておくことが重要です。
 

まとめ

「全ての国民が安心して医療を受けられる環境の整備を図るための高額療養費等の制度の在り方に係る措置に関する法律案」は、現時点では成立していません。
 
衆議院の公式議案情報によると、この法律案は衆法第7号として令和8年4月20日に提出され、厚生労働委員会に付託されました。翌21日には委員会で法案の趣旨説明や参考人質疑が行われたものの、その後は委員会や本会議での採決が行われておらず、参議院への送付はなされていない状況です。
 
高額療養費制度は、入院や手術などで医療費が高額になったときに、自己負担を一定額に抑えてくれる大切な制度です。しかし、政府の見直し案では、月額の自己負担限度額が段階的に引き上げられる予定です。
 
一時的な病気やけがで制度を使う人は、これまでより月々の持ち出しが増える可能性があります。一方で、長期治療が必要な人には、多数回該当の据え置きや年間上限の新設など、負担を抑える仕組みも用意される見込みです。
 
これからは、急な医療費に備えて、生活費とは別に数十万円程度の医療費用・生活防衛資金を確保しておくことが大切です。あわせて、民間の医療保険やがん保険の保障内容も確認しましょう。国の制度を正しく理解し、急な出費にも慌てない家計づくりを進めていくことが、これからの医療費対策になります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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