駐車場で「ドアパンチ」されたのに“相手を確認”できず…! 修理代「10万円」は“自腹で払う”べき? 翌年の保険料アップでも“車両保険”を使うほうが安い? それぞれの負担額を確認
本記事では、ドアパンチの修理費の相場、車両保険を使う場合と自腹で払う場合の損得、そして被害を防ぐ駐車のコツまでを分かりやすく紹介します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
ドアパンチされた場合の修理費はいくら?
ドアパンチの修理費は、傷の状態によって5000円ほどから30万円超まで大きく開きがあるため、まずは状態別の目安を具体的に押さえておきましょう。
もっとも軽い被害は、相手の車の塗料がうっすら移った白い線傷です。表面を磨くだけで目立たなくなるケースが多く、コンパウンドによる仕上げで5000円前後から直せます。また、量販店の定額メニューだと、例えば大手カー用品チェーンでは、15センチ四方ほどのドア・フェンダーの擦りキズが税込3万7400円から提示されています。
へこみはあるものの塗装が剥がれていない場合は、専用工具で裏側から押し出すデントリペアが使え、1万円前後で収まるケースが多いでしょう。
ただ、へこみに加えて塗装まではがれていると、下地処理から塗り直す板金塗装が必要になり、相場は2万5000円ほどから、範囲が広がれば3万円から5万円程度に上がります。修理期間は擦り傷なら2〜3日、損傷が大きいと4〜5日が目安です。
もっとも高額になるのがドア交換で、部品代と工賃を合わせて国産車で15万円から20万円、輸入車では30万円近くに達する可能性もあります。
車両保険を使うのと自腹修理、どちらが損?
修理費が10万円前後で収まるのであれば、多くのケースでは自己負担で支払うほうが結果的に負担は軽くなります。ドアパンチの修理に車両保険を使うと、翌年の等級が3つ下がり、割引率の低い事故有係数適用期間が3年間続くため、保険料が大きく跳ね上がるからです。
どれほどの差になるかを、大手損保会社の例で試算してみましょう。そこでは15等級の割引率が53%(無事故の場合)ですが、事故を起こして3等級下がった場合は12等級(22%)まで割引率が減額されます。
割引適用前の基本保険料が年間15万円と仮定すると、15等級の人が車両保険を使って修理をすると保険料は年7万500円(15等級)から年11万7000円(12等級)へ上がり、無事故を続けた場合と比べて年4万6500円、3年間の合計では13万9500円もの負担増となります(※初年度の差額を基準とした単純計算の目安です)。
つまり、修理代がおよそ13万円までであれば、保険を使わず自己負担で直したほうが家計の出費は小さく収まる計算です。10万円の修理なら差はさらに開き、自腹のほうが有利になる可能性が高いと言えます。
加えて、見落としやすいのが免責金額で、契約に5万円の自己負担が設定されていれば、10万円の修理でも保険から受け取れるのは差額の5万円だけになり、保険を使う利点はいっそう薄れます。
さらに、保険料への影響は3年で終わるとは限りません。事故ありの割引率が解消されても、等級そのものが下がっているため、無事故を続けて等級を戻すには相応の年数がかかります。
また、「もらい事故だから等級が下がらない車両無過失事故特約になるのでは」と思う人もいるかもしれませんが、相手が分からないドアパンチの被害には適用されない会社が多く、過信は禁物です。
なお、相手を特定できない被害では、補償範囲の狭いエコノミー型だと保険そのものを使えない会社もあるため、自分の契約が一般型かどうかを先に確かめておくと安心でしょう。
最終的な損得は等級や免責金額、契約内容によって変わりますので、独断で決めず、保険会社に保険料を試算してもらったうえで判断するとよいでしょう。
ドアパンチを防ぐための予防策
ドアパンチを完全に防ぐ方法はありませんが、駐車位置の工夫と防止グッズの併用で被害リスクは大きく下げられます。なかでも手軽なのが駐車場所の選び方で、片側が壁や柱に接する端のスペースに停めれば、となりからぶつけられる確率はおよそ半分まで減らせることになります。
両側に車が並ぶ枠しか空いていないときは、左右どちらにも寄せず枠の中央に停め、となりとの間隔をできるだけ広く取りましょう。愛車を物理的に守りたいなら、マグネット式のドアガードを駐車中だけ貼り付けておく方法も有効でしょう。
まとめ
ドアパンチの修理費は、軽い擦り傷の数千円からドア交換の15万円以上まで、損傷の程度によって大きく開きがあります。修理費が10万円前後であれば、3等級ダウンで保険料が3年間上がる影響をふまえると、自腹で払うほうが負担を抑えられるケースが多くなります。
保険を使うかどうかは感情で決めず、まず保険会社に保険料を試算してもらってから判断すると、納得して選べるでしょう。また、ドアパンチの相手が見つからない場合も、現場を離れずに警察や駐車場の管理者へ必ず届け出ましょう。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
