定年後「月収60万→23万円」に減ったのに、保険料は「月9万円」のまま!? 8月に“新しい保険料”が反映されるまで「4割も払う」必要あるんですか? 負担を減らす「同日得喪手続き」とは

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
定年後「月収60万→23万円」に減ったのに、保険料は「月9万円」のまま!? 8月に“新しい保険料”が反映されるまで「4割も払う」必要あるんですか? 負担を減らす「同日得喪手続き」とは
定年後の再雇用では、給与が下がっても社会保険料がすぐに変わらず、手取り額が減ってしまうという問題があります。これは社会保険料の金額が決まる仕組みが関係していますが、実は「同日得喪(どうじつとくそう)」という手続きを利用すれば、再雇用当月から保険料の負担を軽減できます。
 
本記事では、社会保険料が決定する仕組みや同日得喪の概要、収入減に備えるための具体的な対策について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

社会保険料の金額が決まる仕組み

従業員が支払う社会保険料は、毎月の給与額に応じて変わります。その計算の土台となるのが「標準報酬月額」です。
 
標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険の保険料を算出するために用いられる基準の報酬額を指します。標準報酬月額は、原則として毎年4月から6月までの3ヶ月間に支給された給与の平均額をベースに、所定の等級表に当てはめて決定されます。
 
この標準報酬月額が決定するタイミングには、「定時決定」と「随時改定」の2つがあります。
 

定時決定と随時改定

定時決定は、年に1回定期的に社会保険料の基準を見直す手続きです。毎年4~6月の給与を基に算定され、その年の9月から翌年8月までの1年間使用される標準報酬月額が確定されます。
 
随時改定は、従業員の給与が大きく変動した際に、次の定時決定を待たずに標準報酬月額をタイムリーに変更するための仕組みです。ただし、随時改定が行われるのは、給与が大幅に変わった月を含めた継続する3ヶ月間の平均月収に基づきます。そのため、実際に標準報酬月額が改定されるのは、変動があった月から数えて4ヶ月目となります。
 
このルールを踏まえると、定年後に再雇用され、その年の4月から給与が大きく下がった場合、引き下げられた新しい保険料が適用されるのは7月分(実際の給与天引きは8月支給分)からになってしまいます。
 

再雇用後の保険料負担を軽減するための「同日得喪」とは

定年による再雇用後、下がった給与に対して高い社会保険料が差し引かれてしまう不利益を解消するために、「同日得喪」と呼ばれる手続きが用意されています。これは、60歳以上の人が定年などで一度退職し、1日のブランクもなく同じ会社に継続して再雇用される場合に、再雇用されたその月から標準報酬月額を即座に改定できる制度です。
 
同日得喪は任意の手続きですが、会社(事業主)を通じて、厚生年金保険被保険者の「資格喪失届」と「資格取得届」を同時に年金事務所へ提出することで利用できます。これにより、再雇用後の新しい給与に見合った標準報酬月額が、再雇用当月から適用されるようになります。
 
定年後に嘱託社員として雇用される人だけでなく、60歳以上で有期労働契約を結ぶ人や、厚生年金保険などの被保険者要件を満たしているパート・アルバイトでも、条件を満たせば同様に同日得喪の手続きが可能です。
 

定年後の収入減への対策

定年後の収入源によるお金の不安を解消するためには、以下のような方法が効果的です。
 

高年齢雇用継続給付を活用する

国の支援制度である「高年齢雇用継続給付」は、雇用保険から支給される給付金です。定年後も同じ会社で再雇用されて働き続ける人や、一度退職した後に別の会社へ再就職した人を対象としています。
 
高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2つの種類があります。前者の高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降の各月の賃金が、60歳時点の賃金と比較して75%未満にまで落ち込んでしまった場合に受け取れます。ただし、支給対象となるのは60歳以上65歳未満の人です。
 

資産運用にチャレンジする

老後の生活資金に不安があるなら、資産運用を始めるのも手段の1つです。年齢とともに体力が衰えていくことを考慮すると、自身が労働して稼ぐだけでなく、お金に働いてもらって資産を増やす視点を持つことが大切になります。
 
定年を迎えてから完全にリタイア生活に入るまでの期間を活用し、NISAなどの非課税制度を上手に利用しながらコツコツと積み立てていく方法がおすすめです。
 

支出を抑える工夫も必要

収入を補うことと同時に、現在の家計の支出を細かく把握し、見直すことも欠かせません。老後の生活を維持するために必要なお金の水準は、それぞれのライフスタイルによって異なります。自分がストレスを感じることなく、無理のない範囲で心豊かに暮らせる金額をしっかりと見極め、全体の支出をコントロールすることが大切です。
 
また、加入している保険の内容を現在の状況に合わせて見直したり、住宅ローンの繰り上げ返済をしたりするなど、家計の固定費や余計な出費を削減するための工夫もしましょう。
 

「同日得喪」をすれば社会保険料の負担が軽減される

定年後に再雇用される際は、給与の減少に伴って一時的に社会保険料の負担が重くなるリスクがあります。しかし、「同日得喪」の手続きをすれば、再雇用された月から新しい給与に応じた保険料に改定できます。
 
定年後にお金の不安がある場合は、高年齢雇用継続給付などの制度活用や資産運用、支出のコントロールが有効です。
 

出典

日本年金機構 60歳以上の厚生年金の被保険者が退職し、継続して再雇用される場合、どのような手続きが必要ですか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE