介護保険料は「40歳」になると給料から引かれますが、もし自分が介護認定を受けずに亡くなったら、払い損になるのでしょうか?
今回は、介護保険制度導入の経緯と介護保険の仕組みについて詳しく解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
介護保険制度導入の経緯と仕組み
1. 介護保険制度導入の経緯
高齢化が進むわが国では、要介護高齢者が増加するとともに、介護期間の長期化などにより介護ニーズが増大しています。一方で、核家族化が進み、介護を担う家族の状況にも変化がみられるようになりました。
そこで、従来は家族が担っていた高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして、介護保険制度が2000年4月に導入されました。
そして、おおむね40歳頃から、自らが初老期における認知症や脳卒中によって要介護状態になる可能性が高まることに加え、自らの親も介護を要する状態となる可能性が高くなることから、40歳以上を介護保険の被保険者とし、世代間の支え合いによって介護を支える制度とされました(※1)。
2. 介護保険制度の仕組み
介護保険は、市区町村が保険者となって運営しています。被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40~64歳までの第2号被保険者に区分されています。また、介護保険は、国と地方自治体が負担する公費と、被保険者が納付する保険料によって運営されています。
介護保険を利用するためには、介護認定を受けなければなりません。認定区分は、要支援1・2、要介護1~5の7段階および非該当です。要介護認定を受けると、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を負担することで、介護度に応じた介護サービスを利用できます(※2)。
介護保険は介護を必要とする親とその子の制度
65歳以上の第1号被保険者は、要介護になった理由を問わず、要介護認定を受ければ、費用の一部を自己負担することで介護度に応じた介護サービスを利用することができます。
一方、要介護状態となった親の子どもは、介護保険料を支払うことで、自分自身の介護負担を軽減し、仕事や生活への支障を抑えながら、親に必要な介護サービスを受けさせることができます。
これが、介護保険制度創設の目的である、「高齢者の介護を社会全体で支える」という考え方です。
自分自身が介護保険を利用するには
40歳以上65歳未満の第2号被保険者が、がん(末期)や脳血管疾患など16種類の特定疾病により要介護状態と認定された場合は、費用の1割を負担することで、要介護度に応じた介護サービスを利用することができます(※2)。
なお、交通事故で要介護状態になった場合は、第1号被保険者は介護保険を利用できますが、第2号被保険者は特定疾病が原因ではないため、介護保険を利用することはできません。
まとめ
介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして導入されました。そして、40歳以上の者が被保険者として保険料を支払い、要介護状態となった高齢者に必要な介護サービスを費用の1~3割負担で提供しています。
したがって、自分自身が要介護状態とならなかったとしても、自分自身や配偶者の両親などが要介護状態となった場合、介護保険制度によって必要な介護サービスを利用できるため、自分自身の仕事や生活への支障を抑えることができるのです。
出典
(※1)厚生労働省 介護保険制度の概要
(※2)厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護保険の解説
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
