同居の両親の“医療費・介護費”が「年84万円」に! 市役所の「お戻しします」の通知に期待してたのに、金額が「2万円だけ」であ然…正直“少なすぎる”と感じますが、本当に合ってますか? 計算方法を確認
同居する両親のために、1年で84万円を払った家庭のケースです。市役所から通知が届いたので期待して開けたところ、書かれていた額はたったの2万円でした。ここでは、高額医療・高額介護合算療養費で戻る額を計算式で確かめます。あわせて、いくら払っても合算に入らないお金と、申請の期限も見ていきましょう。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
医療費と介護費は8月から翌年7月までで区切って合算する
厚生労働省によれば、この制度は世帯のなかで後期高齢者医療制度に加入している人全員をまとめて数えます。1年間に払った医療保険と介護保険の自己負担を合計し、基準額を超えた分を払い戻す仕組みです。
区切りは1月から12月でも、4月から3月でもありません。東京都後期高齢者医療広域連合は、8月から翌年7月末までの1年間が対象だと案内しています。年をまたぐ区切りなので、領収書はこの単位でまとめておくと、あとで確かめやすいはずですでしょう。
もう1つ、足せるのは同じ医療保険に入っている人どうしという条件があります。父親が後期高齢者医療で母親が国民健康保険なら、同居していても合算はできません。両親が2人とも後期高齢者医療に入っていれば足せます。
84万円がまるごと対象になるわけではない
両親が払った84万円の中身を分けます。今回のケースでは、医療の窓口負担が34万円、介護サービスの自己負担が24万円、ショートステイの食費と居住費が26万円でした。
川崎市によると、入院や入所のときの食費と居住費、差額ベッド代、健康診査や予防接種のお金、住宅改修費などは合算に入りません。保険がきいた自己負担だけを足すという考え方です。さらに、月ごとの高額療養費や高額介護サービス費で戻った分は、先に引かれた額で数えます。
・84万円-26万円=58万円(合算の対象になる自己負担)
戻ってくるのは2万円だけになる
基準額は、年齢と所得で決まります。東京都後期高齢者医療広域連合の表では、1割負担の一般Ⅰ、2割負担の一般Ⅱともに年56万円です。
両親は84万円すべてが対象だと考えていました。そのつもりで計算すると、こうなります。
・84万円-56万円=28万円(すべてが対象だと思ったときの額)
実際に対象になるのは58万円なので、答えは次のようになります。
・58万円-56万円=2万円(戻ってくる額)
差の26万円は、制度の外にあるお金です。ここにいくら払っても、戻る額は増えません。施設で暮らす期間が長い人ほど、この差は大きくなります。
申請しなければ1円も戻らない
この制度は、申請して初めてお金が動きます。対象になりそうな人へ通知や申請書を送る自治体もありますが、必ず届くとはかぎりません。1年の途中で加入先が変わったときは、前の保険者が出す自己負担額証明書を自分でそろえなければなりません。
期限も決まっています。川崎市は、基準日である7月31日の翌日から2年以内に申請するよう案内しています。なお、超えた額が500円以下のときは支給されません。
実際に振り込まれるまでにも、時間がかかります。東京都後期高齢者医療広域連合は、支給までに3ヶ月から5ヶ月程度かかると案内しています。年をまたいで待つ形になるので、通知が来たら早めに出しておくとよいでしょう。
まとめ
高額医療・高額介護合算療養費は、8月から翌年7月までの自己負担を足して、基準額を超えた分が戻る制度です。ただし、食費や居住費は合算に入りません。
今回のケースでは、84万円のうち対象になるのは58万円でした。一般の基準額は年56万円です。ここを超えた2万円が戻ります。通知が届いたら中身をよく確かめて、2年の期限が来る前に申請しましょう。
出典
厚生労働省 高額介護合算療養費制度
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
