納車3ヶ月の「アルファード」が追突され“修理代80万円”! 相手が「保険で払う」と言ってくれましたが、売却時「事故車なので査定が100万円下がる」とのこと…この“格落ち分”も相手に請求できますか?
本記事では、事故で下がった車の価値「評価損(格落ち)」が認められる条件や金額の目安、保険会社に断られたときの対処法を解説します。
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
修理しても下がる車の価値「評価損(格落ち)」とは
車の骨格部分などを損傷すると、修理しても中古車市場では「修復歴あり」として扱われ、価格が下がることがあります。この下落分が評価損で、事故の損害賠償で請求できる費目の1つとされています。
かつては「修理で元に戻れば損害はない」とする見解もありましたが、現在は一定の場合に評価損を認める考え方が一般的です。ただし、相手の保険会社が自ら支払いを提示することは極めてまれで、被害者側から主張する必要があります。
裁判では修理費の「20~30%」が認められた例も
評価損が認められるかは、主に「初度登録からの期間」「走行距離」「損傷の程度」で判断され、新しくて走行距離が短い車や、骨格部分に損傷がある車ほど認められやすい傾向があります。
例えば、大阪地裁令和2年11月24日判決では、初度登録から約6ヶ月のレクサスについて、修理費の約30%にあたる130万円が認められました。
また、東京地裁令和6年6月12日判決では、初度登録から約1年5ヶ月のミニクーパーについて、修理費135万5860円の約2割にあたる27万円が認められています。
「査定100万円ダウン」がそのまま支払われるとは限らない
注意したいのは、査定額の下落分がそのまま支払われるわけではない点です。前記のミニクーパーの事例でも、中古車業者の査定書をもとにした50万円の請求は、算出方法が不明として退けられました。
修理費80万円に20~30%をあてはめると16万~24万円となり、査定の「100万円」とは大きな差があります。上記は試算であり、実際の評価損は車種や損傷の内容などによって異なります。
納車から3ヶ月のアルファードの場合は、認められやすい条件にあてはまりますが、「修復歴」はフレームやピラーなど骨格部分の修復を指すため、骨格部分の修理がない場合はハードルが上がります。
保険会社に断られたときの交渉材料と弁護士費用特約
保険会社に断られた場合は、車検証(初度登録年月)や走行距離の記録、骨格部分の修理が分かる修理明細書、損傷箇所の写真など、判断要素を裏付ける資料が交渉材料になります。
また、停車中の追突のように被害者に過失がない「もらい事故」では、被害者側の保険会社は弁護士法72条との関係で示談交渉を代行できません。そこで役立つのが、弁護士費用特約です。
例えば、SOMPOダイレクトの「おとなの自動車保険」では、1事故につき被保険者1名あたり弁護士費用など300万円を限度に補償され、特約のみの使用なら「ノーカウント事故」として等級に影響しません。なお、補償内容は、保険会社や契約によって異なります。
弁護士への依頼には一般的に数十万円以上かかるとされ、特約がなければ費用倒れになるおそれもあります。家族の保険契約に付いた特約が使える場合もあるため、まずは確認してみましょう。
まとめ
事故で下がった車の価値は、「評価損(格落ち)」として請求できる可能性がありますが、裁判例では修理費の20~30%程度にとどまり、査定の下落額がそのまま支払われるわけではありません。
評価損は、被害者から主張しなければ検討されにくい損害です。根拠となる資料をそろえ、弁護士費用特約の活用も検討しましょう。
執筆者 : 上野梓
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
