その「がん保険」で家計は大丈夫?!FPによるがん保険チェックポイント
配信日: 2017.10.30 更新日: 2019.01.10
世帯加入率91.7%という『医療保険』に対し、がん保険は60.7%と、加入率的には医療保険に及びませんが、その病気が家計に及ぼす影響の大きさから、ファイナンシャルプランナーとしては、医療保険よりも、がん保険の必要性を強調したいところです。(加入率は、生命保険文化センター平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」結果による)
今や、何かしら備えたほうが望ましいとされるがん保険ですが、保険会社各社、様々な商品がありますので、なかなか選ぶのが難しいのが現状です。
そこで、様々な商品の保障詳細まで比較するケースが多いファイナンシャルプランナーの一人して、がん保険のチェックポイントをまとめてみたいと思います。特に『がん』という病気の家計に及ぼすリスクに注視してみましょう。ポイントは3つです。
Text:平田純子(ひらた じゅんこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター
大阪市立大学・生活科学部・住居学科卒業。電機メーカーで商品企画の仕事を経て、好きが高じて、株式会社良品計画に中途入社。無印良品の店舗にて、家具やカーテン、照明のコーディネート提案を得意とする店長として10年以上勤務。しかしある時、お金に無計画・無頓着に過ごした自身のこれまでの人生を振り返り、後悔の念。豊かな人生を送るために、ライフプランニングの必要性を痛感。その必要性をより多くの人に伝えたいとの思いで、ファイナンシャルプランナーを志す。
現在、ファイナンシャルプランナーとして、ライフプランとキャッシュフロー分析・アドバイスを個別相談で行う傍ら、セミナー講師,や執筆も行う。得意分野はライフプラン(資金計画)、生命保険見直し、資産形成・運用。お金の相談に加えて、インテリア計画や片付け、収納計画についても、ご要望に応じて相談を承っている。
https://hataraku-okane.com/
一時金はもらえる?いつ、どんなときに?
がん保険のトレンドとして、近年【一時金】【複数回】は、いわば当たり前になってきています。この2つのポイントだけであれば、各社のがん保険が概ね該当します。
がんは、見つかってしまったら長いお付き合いになる病気です。みつかる時期、部位、その人によって治療方法や治療期間、症状も様々。
しかし、共通しているのは、宣告された全員の頭によぎるのが、治るのか?次に、お金はいくら必要なのか?だそうです。
医学の進歩とともに、治る可能性が高まる半面、その治療や薬の費用は高額になります。そして、体力的に精神的に、そして、就業環境的に働き続けることができるかどうか?つまりは、収入は維持できるのだろうか?など、経済的な不安に襲われるそうです。加えて、長期化、再発、転移など、時間が経てば経つほど、その経済的リスクが大きくなってくるのです。
だからこそ、1日入院していくらという保障よりも、その使用用途が自由な一時金、しかも複数回が必要なのです。
しかし、その支払い要件に注意が必要です。ここに各保険会社、違いがあります。初回の【一時金】は、ほぼ全社、契約後一定の免責期間の後、『がんと確定診断されたとき』です。実は2回目以降に違いがあるのです。
大きな違いは、初回の【一時金】が支払われた後、一定期間(概ね2年が主流ですが、1年の保険会社もあり)を経て、2回目の【一時金】が支払われる要件が、『入院』か『通院』かです。
近年の、がんの治療のトレンドが『入院』から『通院』にシフトしている現状を踏まえると、どちらがベストか?!明らかですね。あなたの、その《がん保険》はどちらですか?
『通院』のみ!『手術』なし!に備えられてる?
前項で少し触れましたが、医学の進歩とともに、がんの治療方法は『入院』から『通院』へ、『手術』から『放射線』や『抗がん剤』へと近年シフトしています。加入すべき、加入して価値のある《がん保険》は、その保障内容がこの治療のトレンドに則しているものです。
つまり、則していないと、せっかく貴重なお金(保険料)を毎月払って保険に入っていても、いざお金を必要とするときに保険会社から支払ってもらえないという最悪の事態になりかねないからです。
若い時に加入したから保険料は安くても、毎月毎月、毎年毎年払い続けると、何十万円、何百万円という金額になります。なのに、いざというときにその保険が役に立たないことほど悲しいことはありません。
ならば、そのお金を貯金しておいたほうが、いくらかマシかもしれません。
だからこそ、保険で備えるなら、価値ある保険をしっかり吟味しましょう。
あなたのそのがん保険は、入院していくら、手術をしていくらという、従来型の保障内容になっていないですか?通院だけでも、手術はしなくても、経済的リスクを補ってくれますか?
治療をしながら、保険料を払うって?!
最後に3つ目のポイントです。今まで散々、『がん』という病気に罹ってしまった時の経済的リスクについてお話してきました。くどいようですが、『がん』は、見つかってしまったら長いお付き合いになる病気です。
しかも、その病状によって個人差が大きく、経済的な不安は計り知れません。だからこそ、私たちは医療保険とは別に、がん保険で万が一の時に備えているのです。
しかし、世の中のがん保険の中には、そのような状況(がんがみつかって、一時金や各給付金の支払い対象になった)後も、終身の保障を維持するためには、継続的に保険料を支払い続けなければならないがん保険がまだ一定数あるのです。つまり、保険会社から保険金を受け取りながら、その受け取った保険金で保険会社に保険料を支払うということです。
『がん』は、他の病気に比べ、再発や転移などの可能性がある病気であるがために、大きな経済的リスクを抱えた病気です。私なら、「私、がんになっちゃったんだから助けてよ!保険料の支払いを免除してよ!」て、単純に思います。あなたはどうですか?
あなたのそのがん保険は、がんになったら、保険料支払いを免除してくれますか?
以上、ファイナンシャルプランナー目線で、がんという病気から家計を守るという観点から、がん保険のチェックポイントをまとめてきました。
がん保険に限りませんが、「保険は入ったら、それで安心」はあり得ません。定期的に、現在の治療トレンドに則しているか、自身のライフプランに則しているかをチェックしてみることをお勧めします。備えるなら価値ある保険を低コストで。ぜひ、あなたの『がん保険』をチェックしてみてください。
Text:平田 純子(ひらた じゅんこ)
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター