更新日: 2021.06.23 その他保険

資産形成の選択肢として「外貨建て保険」ってどうなの? メリットとデメリットを解説

資産形成の選択肢として「外貨建て保険」ってどうなの? メリットとデメリットを解説
昔は保険で資産運用を考える方も多くいました。現在のような低金利時代では、保険でも、以前のような利回りが期待できないと感じている方もおられるかと思います。
 
また、昔は「子どもが生まれたら学資保険」というくらい、保険商品でお金を増やすことができていました。しかし、保険商品の場合はコストがかかっているため、効率よく運用できるとは限りません。
 
しかし、利回りが円建ての商品に比べて良いために、外貨建ての保険に資産形成として加入される方もおられるようです。外貨建て保険のメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
 
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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不安に思うのは為替リスク

外貨建ての保険の話をするとき、多くの方が不安に思われるのは「為替リスク」だと思います。
 
為替リスクは、対象の外貨と円とのレートが変わってしまうことによって、支払う保険料が日本円で換算した場合に高くなったり、受け取る保険金や解約返戻金などが(円高になった場合に円で受け取る際には)少なくなったりしてしまうことです。
 
日本では、1949年から続いた1ドル=360円の固定レートが、1973年2月から現在の変動相場制となりました。
 
日本銀行のホームページに掲載されている1989年1月からの月末の為替レートでみるともっとも円安になったのは、1990年4月の1ドル=158円50銭で、もっとも円高になったのは2011年10月の1ドル=76円72銭でした。これをみると、倍近くの円安になる可能性もあることが分かります。
 
こうやって考えるとやはり、為替リスクは怖いのかも分かりませんね。保険金300万円を考えていたとして、1990年4月に300万円の保険金の準備として加入したものが、2011年10月に保険金を受け取った場合、150万円以下になってしまいます(※)。
 
※1990年の1ドル=158円の時に300万円相当を米ドルに交換し、1990年のドル=76円の時に米ドル建ての満期金を円に換算したら
 

保険として考えた場合

ただ、保険は万が一のときに保険金を受け取ることが目的です。外貨建ての保険商品の場合では、日本円建ての保険商品よりも利率が良いために保険金に対する保険料は少なくて済みます。
 
前述の例では、もっとも最悪なケースでの保険金を考えましたが、保険料とあわせて考えた場合をみてみたいと思います。
 
国内でも外貨建ての生命保険を販売している保険会社は複数社あります。某保険会社の外貨建て終身保険では、30歳男性が保険金3万ドル(現在の1ドル=106円での円換算約318万円)の保険に、60歳まで保険料を支払うという契約で加入した場合、保険料は45ドルとなります。
 
よって45ドル×12×30年=1万6200ドルが保険料の総額となります。ドルベースでみてみても、保険料に比べ約1.85倍の保障があることになります。ただ、毎月払う保険料も為替レートによって変動してしまうのですが、日銀の発表している過去の為替レートの平均をみると1ドル=111円59銭となっています。
 
為替変動があっても平均で考えると1万6200ドル×111円59銭=180万7758円とリスクを抑えられたことが分かります。
 

万が一のときに円高になっていた場合

前述の例で60歳を超えている場合、保険料の払い込みは済んでいるので、保険料の負担はありません。しかし、為替が極端に円高になってしまった場合に、保険金は少なくなってしまいます。
 
では、もっと円高になって1989年1月からのもっとも高い円高よりも高い1ドル=70円になった場合は、3万ドル×70円=210万円と、1ドル=70円になっても保険に加入していて良かったという数字になります。
 
ちなみに1ドル=60円26銭になった場合には、保険金と円貨での保険料総額が同額となってしまう可能性があります。円安になった場合は円での保険料は高くなってしまいますが、保障額も増えますね
 

まとめ

こう考えると、保険で資産形成を考えるのはリスクが大きくなりますが、保障を準備すると考えた場合には、外貨建ての保険もメリットは大きいのではないでしょうか。
 
ただ、円を外貨に換えるときには為替手数料がかかります。この為替手数料は保険会社によって違いがありますので、表面的なメリットだけではなく、為替手数料などもしっかり考えた保険選びが大切ですね。
 
出典 日本銀行 主要時系列統計データ表
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
 

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