更新日: 2020.04.28 その他保険

お金が一時的に必要なとき、保険で利用できる契約者貸付制度とは

執筆者 : 小山英斗

お金が一時的に必要なとき、保険で利用できる契約者貸付制度とは
新型コロナウイルスの感染拡大防止により、世の中では経済活動が滞っています。外出自粛要請や休業などで、収入への影響もでている人もいるかと思います。
 
一時的にお金が必要な状況で、当面のお金を用意するために保険で利用できる契約者貸付制度があります。
 
また、各保険会社では新型コロナウイルスに関連して特別措置も取られているようです。今回はその制度についてみていきたいと思います。
 
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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保険で利用できる契約者貸付制度とは

保険で利用できる契約者貸付制度は、終身保険や養老保険、個人年金保険など解約すると「解約返戻金」がある保険について、その解約返戻金を担保にして保険会社から融資を受けられる制度です。そのため一般的には掛け捨てタイプの定期保険や無解約返戻金型保険では利用できません。
 
契約者貸付制度を利用する場合のためだけでなく、資産としても解約返戻金がいくらぐらいあるのか知っておくことは良いと思います。
 
私たちが支払っている保険料の内訳には、加入者が死亡した際に支払われる保険金の財源となる「死亡保険料」、保険会社の運営費用としての「付加保険料」、そして加入者が生存時に受け取れる保険金の財源となる「生存保険料」があります。
 
このうちの生存保険料からさまざまな経費が差し引かれて戻ってくるのが解約返戻金です。そのため、それまで支払った保険料総額よりも解約返戻金が少ない場合が多いですが、年数が経過すればするほど返戻率が上昇し、解約返戻金が保険料総額を上回る場合もあります。
 
契約者貸付制度では一般的に解約返戻金の7割から8割を上限として融資を受けることができます。貸付の申し込みは保険会社の窓口、コールセンター、インターネットなどからできます。融資を申し込み、早ければ翌営業日にも指定した口座に振り込まれる場合もあります。
 
返済については一般的なローンのような月々決まった日に返済していくのではなく、返したいときに返したい額を保険会社に連絡して返済します。返済元本に日割り計算したそれまでの利息を加算した額が実際の返済額になります。
 
利息に適用される金利は対象となる保険契約によって異なります。お宝保険といわれるような利率の高かった頃の保険が対象の場合、貸付金利も高くなります。複数の保険契約がある場合、金利の低い契約から融資を受けるようにするため、各契約の確認が必要です。

契約者貸付制度のメリット

契約者貸付制度のメリットには以下のようなものがあります。
 
・保険を解約せずにお金を用意することができるので保障も継続できる。
・契約者貸付制度に適用される金利は2%から6%程度で、カードローンといった金融商品に比べて金利が低い場合が多い。
・返済方法が一般的な定例返済(毎月決まった日、決まった額)とは違い自由度が高い。
・借入時に審査がない。
・貸付申し込みから貸付金入金までが比較的早い。

 
特に保険を解約せずにお金を用意できるメリットは大きいかと思います。保険は一度解約してしまうと、再度保険に加入したいときに健康上の問題で加入できなかったり、保険料が高くなってしまったりする可能性があります。
 
一時的にお金が必要な時期を乗り切った後でも必要な保障が継続しているのは安心ではないでしょうか。

契約者貸付制度を利用する際の注意点

契約者貸付制度は好きなときに返済できるメリットがある一方で、借りている間の利息は増えていきます。利息を返済しないでいると借入日から1年ごとに残った利息が借入元金に組み入れられ、その金額に対して新たに利息が発生しますので、利息が複利で増えていくことには注意が必要です。
 
そして、利息が増えることにより借入残高が解約返戻金の額を超えると保険会社から返済を求められたり、契約を解約されたりする可能性もあります。利息を含めた借入残高は定期的に確認するようにしましょう。
 
また契約者貸付制度を利用中に保険金の支払いを受けた場合には、保険金と借入金額が相殺されます。
 
そのため、例えば万が一のとき、残された家族に必要な保障が残らない可能性があることなどにも注意が必要です。また、生存給付金やお祝い金などの支払いも相殺される可能性があります。

新型コロナウイルスに関連する特別な取り扱い

新型コロナウイルスに関連して各保険会社は保険料払込の猶予や手続きの一部簡素化など特別措置をする動きがあります。その中で、契約者貸付制度についても金利を0%(利息の免除)としている場合があります。
 
利息の免除となる新規貸付の受付期間や免除される期間については各保険会社で異なりますので、詳細は契約している保険会社に確認が必要です。

まとめ

一時的にお金が必要なときに解約返戻金のある保険を持っている場合は、お金を用意する手段として契約者貸付制度は有効な手段のひとつです。特に新型コロナウイルスに関連する措置で利息が免除されている間は借りやすいのではないでしょうか?
 
契約者貸付制度は返済方法の自由度が高いですが、その分、返済計画をしっかり検討した上で利用することが大切です。
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)


 

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