高額なガン治療に月額約100円で備える「先進医療特約」は必要か
配信日: 2017.12.02 更新日: 2019.01.10
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会)、企業年金管理士(確定拠出年金)。
大学卒業後、旅行会社、外資系生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。
「老後資金の不安をゼロにする」特に中小零細企業の退職金を大企業、公務員並みの2000万円以上にするというミッションのもと、マネーセミナーや個別相談、中小企業に確定拠出年金の導入支援を行っている。金融商品は出口が大事。「一生のお付き合い」がモットー。
FP事務所 くるみ企画
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特約で加入するのが基本
先進医療とは、簡単に言うと厚生労働省が定める高度な医療技術を用いた治療をいい技術料が全額自己負担になる治療のことです。国(厚生労働大臣)が定める大学病院や特定の医療施設などで行われる場合に限られます。また、先進医療に該当するかなど項目は定期的に見直しが行われ、現在104種類の先進医療があります。
(平成29年11月1日現在、厚生労働省ホームページより)
先進医療といえば、皆さんもよくご存知であろうガン治療の重粒子線や陽子線治療があげられます。治療すれば約300万円かかる高額な治療です。
また、先進医療の中で一番高い治療が1型糖尿病に対する先進医療でランゲルハンス島の移植手術です。かかる費用は約1,300万円と言われています。一方、高額な治療費がかかる治療がある中で比較的安価な先進医療の治療もあります。治療によってかなりの幅があることになります。
なお、技術料(1件当たり平均額)は、先進医療総額から年間の実施件数を割り算で筆者が試算。
※1 樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法
※2 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術
※3 CYP2C19遺伝子多型検査に基づくテーラーメイドのヘリコバクター・ピロリ除菌療法
基本は、この先進医療は医療保険やガン保険などの主契約に特約として加入することで先進医療の治療を受けた際にかかった技術料が全額保障される特約です。通算支払限度額は2000万円など限度があります。
また、先進医療の給付金以外に先進医療の治療を受けた場合、一時金が払われる場合もあります。同一の保険会社では医療保険とガン保険など複数の先進医療特約を契約することはできません。
しかし、会社が異なる場合は、複数の先進入医療特約を契約することは可能です。
高額な治療をすれば先進医療特約はありがたい!
先進医療特約は、ガンなどの重粒子線治療など高額な治療をした場合に、全額かかった技術料を保障してくれる(通算の支払限度はあります)ので、ないよりはあった方が安心かと思います。月100円前後の保険料で大きな保障を得られるのは魅力です。
ただ上記の表でもご案内したように、1万円前後で治療ができる先進医療もあるので、すべての先進医療に保険で備えておくことが有効かといえばそうでもない場合もありそうです。発生頻度は低いかもしれませんが、経済的な補てんをしてくれるのが保険ですから、個人の考えにもよりますが、少ない保険料で大きな保障を得られるという意味では先進医療特約はあった方がいいと考えます。
もし不要なら先進医療特約を省くことも可能です。また、今の契約している保険についていなければ先進医療特約のみ付加できるかどうか保険会社に確認してみてください。(詳細は保険会社によって異なります)
付け加えておきますと、A社、B社でどちらでも先進医療特約の契約があれば両方の保険会社から給付がされます。ここは損害保険と違うところです。
定期な情報収集と契約内容の確認を!
医療技術も日進月歩で発展しているのでそれに伴い保険商品も同じく改定など時代にあった商品に進化していきます。先進医療においても以前は該当していた治療が今は該当せず、健康保険が適用になった治療もあります。
ですから定期的な情報収集と契約内容の確認は必要かと思います。必要性がある場合可能ならば見直しなどを行い最新の保険商品をもつことでより安心した保障を持つことが可能になります。
Text/末次祐治 (すえつぐ・ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
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