更新日: 2020.11.24 自動車保険

【自動車保険の落とし穴】事故に遭ったのに示談交渉サービスが使えない場合とは?

【自動車保険の落とし穴】事故に遭ったのに示談交渉サービスが使えない場合とは?
交通事故の被害者になってしまった場合、自分の自動車保険についている「示談交渉サービス」が使えないケースがあることをご存じでしょうか。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

https://babaeri.com/

自動車保険の「示談交渉サービス」って?

示談交渉サービスとは、事故を起こしてしまった場合に、自分と事故の相手方との間に保険会社の担当者が入って、損害賠償額などの交渉を取りまとめてくれるサービスのことです。
 
ある日突然、事故を起こして対応が必要な状態になったら、慣れておらず焦ってしまう方も多いと思います。示談交渉サービスは自動車保険(任意保険)の多くに自動的に付帯されていて、相手方と折り合いがつかずトラブルになってしまうような事態を避けることができるので安心です。

「もらい事故」は示談交渉サービスの対象外!

ただ、そんな心強い示談交渉サービスですが、「対象外」となってしまうケースもあります。
 
それは、自分の車が正しく停車しているところに後ろから激突された場合など、自分にまったく非がなく過失割合が0:10となるような、いわゆる「もらい事故」に該当するときです。
 
示談交渉サービスの詳細をよく確認すると、対象になるのは「法律上の損害賠償責任が発生した場合」などと記載されています。自分にまったく過失がない場合は、法律上の損害賠償責任は発生しません。
 
つまり、相手から受ける損害賠償額については自力で交渉する必要があるということです。

示談交渉で困らないようにするためには

そうはいっても「自力で示談交渉をするなんて難しそう……」という方もいるでしょう。
 
保険会社によっては、示談交渉サービスとは別に「もらい事故相談サービス」や「示談交渉支援」などとして、間に入って交渉することはできなくても、どう交渉すればいいかのアドバイスをくれるところもあります。
 
そういったサポートを受けながらであっても、自分で交渉するのが難しいと感じる場合は、弁護士に依頼するという手もあります。
 
法律上の損害賠償責任が発生しない場合の交渉代行は、保険会社が行うと弁護士法に抵触してしまうためできないのですが、弁護士であればもちろん可能です。もらい事故の場合でも、自分と相手の間に立って交渉を進めてもらうことができます。
 
多くの保険会社では、そのような事態に備えて「弁護士費用特約」のような特約を用意しています。これはもらい事故などの場合に、弁護士に依頼するための費用や訴訟費用などを補償してくれるものです。
 
特約(オプション)として用意されているものなので、備えるには追加の保険料がかかります。でも、自分で交渉するのは怖い、身近に頼れる人もいない、弁護士に頼む費用も心配という方にとっては非常に頼れる存在でしょう。

保険の契約内容はよく確認しよう!

保険は、一般的にはなかなか理解しがたく、一つひとつの特約を吟味して加入している方は多くないかもしれません。しかし、何年も保険料を払い続けてきて、実際に事故に遭ったり困ったりしてから「補償されると思っていたのに対象外だった!」と後悔してしまうのは悲しいことです。
 
また、なかには補償の対象になる事態が発生しているのに、そのことに気付かずに保険金を受け取るチャンスを逃している方もいます。
 
何かあったときに本当に保険を役立てるためには、自分の保険についている特約とその内容を、ざっくりとでもよいので知っておくことが大切ですよ。
 
(出典)
日本損害保険協会「損害保険Q&A「示談交渉サービスは、どのようなことをしてもらえるのですか。」」
ソニー損保「自動車保険のよくある質問「『もらい事故』でも相手方と示談交渉をやってくれますか」」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表


 

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