どうしよう、家族が自転車で事故を起こした!知っておきたい対応と事前の備えのこと
配信日: 2020.12.24
今回は、万一自転車事故を起こしてしまったらどうしたらいいのか、またそのような場合に備えるための自転車保険について、どのように考えたら良いかお伝えします。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
自転車事故で高額賠償請求も!
自転車による事故では、被害者になる場合もあれば加害者になる場合もあります。近年、自転車事故で歩行者が大きなけがをした、といったニュースを聞くことが増えていますね。
自転車は子どもでも乗ることができる乗り物ですが、道路交通法上では軽車両にあたります。ルールを守らず事故を起こしてしまったら、高額な損害賠償額を請求される可能性もあります。
過去に、小学生が自転車で高齢の女性に衝突し障害状態にさせてしまった事故で、その母親が責任を問われ9500万円以上の損害賠償を請求されたという判決もあります。未成年者の事故は、親の責任になる可能性があるのです。
自転車で事故を起こしたらどうする?
万一、自分を含め家族が自転車を運転中に事故を起こしてしまったらどうしたら良いのでしょうか。車で事故を起こした時と同じように、まずは警察に連絡をしましょう。また、相手がけがをしている場合には救急車を呼び、応急手当てをするのも自動車事故の場合と同じです。
その後は、相手のけがの状態や持ち物の破損等の有無を聞いて、被害額の分の補償をどうするかなど、示談を進めていくという流れになるかと思われます。相手の仕事に支障が出た場合には、その分の損害賠償を請求される可能性もあります。
話し合いがうまく進まない場合には「自転車ADRセンター」という、自転車事故による紛争を解決の調停を行う機関を利用する方法もあります。場合によっては、国が設立した法的トラブル解決のための案内所である「法テラス」や、弁護士に相談する必要が出てくるかもしれません。
自転車保険って入ったほうが良い? 入るにはどうすれば良い?
自転車事故では、自分がけがをするリスクはもちろんですが、相手にけがをさせてしまった場合のリスクに備えておく必要があります。
高額な損害賠償額を請求される可能性もあることから、自転車保険の加入を義務付ける自治体も増えています。2015年に兵庫県で義務化されたのをはじめ、大阪府、京都府、神奈川県などでも義務化が進み、2020年4月には東京都も加わりました。
自治体が加入を義務化している自転車保険は、自転車利用中に他人にけがをさせてしまったり死亡させてしまったりした場合の賠償責任に備えるもので、「個人賠償責任保険」という保険です。補償限度額は1億円~無制限を目安にしておくと安心です。
この保険は、火災保険や自動車保険、傷害保険などに「特約」として加入する場合がほとんどです。1つの契約で同居の家族と別居の未婚の子(自宅外通学の学生などを想定)まで補償されます。わが家で加入している保険に、個人賠償責任特約が付帯されているかを確認しましょう。
また、学校に通う子どもが加入募集を受けるPTA保険や会社員が勤務先を通じて加入する団体保険商品などで、個人賠償責任特約が付帯できるものもあります。
また、「自転車向け保険」として、民間の保険会社が販売する傷害保険でも対応可能です。自転車向け保険では、パンクした際にロードサービスや自転車事故に遭った場合の示談サービスなどが付帯している商品もあります。
家族がどのくらい自転車を利用する頻度や、移動する距離によって必要な備えは異なります。万一の自転車事故に備え、保険の加入を確認、検討してみると良いでしょう。
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー