更新日: 2019.01.10 その他暮らし
酔った訪日外国人旅行者に殴られた、物を壊された。損害賠償請求ってできるの?
訪日外国人旅行者とけんかになって怪我を負わされたり、物を壊されたりした場合、どうすればいいのでしょう。
もし相手が帰国してしまったとしても、損害賠償を請求することは可能なのでしょうか?
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士
開成高校卒、東京大学法学部卒。弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。どんな相談に対しても「わからない」とは言わないことをスタンスに、日々クライアントのために奮闘中。
【東京桜橋法律事務所】
外国人訪問者数ランキング。日本は世界16位
「世界各国、地域への外国人訪問者数ランキング」によると、2016年に日本を訪れた外国人の数は2403万9000人。世界で16位にランクインしました。
ちなみに、1位はフランスの8260万人。以下、米国、スペイン、中国、イタリアと続きました。ヨーロッパ諸国が根強い人気を誇る中、タイ(10位)やマレーシア(12位)、香港(13位)、そして日本と、アジアの国々も外国人観光客を増やしています。
参考URL:JNTO日本政府観光局「世界各国、地域への外国人訪問者数ランキング」
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_statistics.html
最も多い訪日外国人は韓国人。東アジアからが7割以上
2017年11月の訪日外国人の数は、237万8000人。前年の同月と比べても26.8%増しです。急激に増えていますが、どのような人が日本を訪れているのでしょうか。
2017年11月の訪日外国人を国別に見てみると、最も多いのは韓国人です。62.3万人が日本を訪れました。次いで中国で56.7万人。その後は多い順に台湾、香港、タイと続きました。
東アジア諸国からの訪日外国人が全体の7割以上を占めています。やはり、距離が近く、行きやすいことが理由のひとつなのかもしれません。
参考URL:JNTO日本政府観光局「平成29年 訪日外客数・出国日本人数」
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/171220_monthly.pdf
訪日外国人の検挙件数は減少しつつある
訪日外国人が増えると、治安が悪くなるのではないかと心配する人も多いかと思います。しかし、訪日外国人の検挙件数は平成17年、検挙人員は平成16年をピークにそれぞれ減少してきています。
平成26年の検挙状況を見てみると、刑法犯は全体の70%近くを窃盗犯が占めています。また、特別法犯では全体の70%近くが入国管理法違反であるようです。
参考URL:警視庁「来日外国人犯罪の検挙状況」(平成26年)
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kokusaisousa/kokusai/H26_rainichi.pdf#search=%27%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%97%85%E8%A1%8C%E5%AE%A2+%E7%8A%AF%E7%BD%AA%27
酔っ払っている訪日外国人ともめて、怪我を負わされた。もしくは、自転車を運転している訪日外国人と接触し、所持品を壊された。このように、外国人旅行者とのトラブルに巻き込まれた場合、外国在住の人に損害賠償を請求することはできるのでしょうか?
訪日外国人旅行者とトラブルになった時の損害賠償について、弁護士の豊田先生にお伺いしました。
訪日外国人とトラブルになった時の対処法
まず、相手方が訪日外国人であろうとも、日本人に対してと同じく損害賠償請求することはできます。問題は、現実に賠償を受けることができるかです。
実は訪日外国人旅行者の多くはそれなりの資産を持っているため、きちんと請求すれば支払ってもらえることが多いです。
トラブルが起きたら、まずは警察を呼ぶことをおすすめします。警察の方で、相手の身元確認をしてもらえます。
警察が来る前に、外国人旅行者がどこかに行ってしまいそうになったら、最低でも相手のパスポートで身元を確認したいところです。スマホなどで本人の顔やパスポートの写真を撮っておくのもひとつの手です。
高額な賠償を請求したいのに、相手が帰国してしまったような場合、訴訟を提起して損害賠償を請求することも可能です。日本でのトラブルなら、原則として日本の裁判所で訴訟を起こすことができます。
相手の本国住所が分かれば、そこに訴状を送ることになります。訴状が到達後に裁判が始まります。
ただし、日本の裁判所で首尾よく勝訴判決をとっても、日本の裁判所の判決でいきなり相手の本国にある資産を差し押さえることはできません。まずは、その国の管轄裁判所でいわゆる執行判決をもらう(日本の裁判所の判決を認証してもらう)流れになります。
相手の本国で通用する執行判決があれば、相手の国の法律に従って強制執行することが可能になります。
現実には、外国在住の外国人を相手に訴訟を起こして強制執行まで進める場合、訴状や証拠の翻訳や相手の国の弁護士とのやり取りがかなり大変です。期間が長くかかる点もネックです。
訴状が相手に到達するまでで6か月程度かかることが多いので、全体の期間では最短でも1年、長いと数年程度はかかると思った方がよいです。
TEXT:ファイナンシャルフィールド編集部
監修:豊田 賢治 (とよた けんじ)弁護士
東京桜橋法律事務所 所長 http://tksb.jp/
弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。
現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。