更新日: 2019.01.10 その他暮らし

通学定期代の補助があるのをご存知ですか?キーワードは「地元」「県外」「学生」

執筆者 : 新美昌也

通学定期代の補助があるのをご存知ですか?キーワードは「地元」「県外」「学生」
東京など市外や県外への大学等へ進学しても地元に残ってもらおうと、一部の市(町)が通学定期券代を補助する取り組みが最近広がっています。
 
「県外の大学等に進学したけれどひとり暮らしは不安」「ひとり暮らしとなると経済的な負担が増える」など心配な人も多いはず。
 
自治体の通学定期代の補助制度について紹介します。
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

下宿生の1カ月の生活費ってどのくらいかかるの?

大学生協などの資料によると、東京でひとり暮らしをする場合、1カ月の生活費は10~13万円程度が相場です。支出のうち、住居費が最も大きな割合を占めています。家賃は月5~6万円代が多いようです。
 
例えば関東なら、住んでいる市(町)によっては、東京など県外の大学へ通学ができないこともありません。新幹線などを利用すれば、静岡市などからも、片道2時間程度で通学することは可能です。
 
ひとり暮らしか、自宅通学か迷っている方は、お住いの市(町)に通学定期代の補助制度がないか調べてみましょう。
 

自治体の通学定期代補助の背景

首都圏を中心にした県外の大学等へ地元の若者が転出すると、卒業後も県外で就職する可能性があり、若者の人口減少が問題になっています。
 
自宅から県外の大学等へ通学する場合、通学定期代の負担が大きいと、自宅通学よりも下宿を選択する可能性があります。
 
そこで、進学を理由に市(町)外に転出する若者を抑制し、定住を促すために通学定期代を補助する自治体の動きが広まっています。
 

通学定期代補助をする自治体

通学定期代補助をする自治体のいくつかを紹介します。返還免除付きの貸与型と返還の必要のない給付型(補助)があります。
 
静岡県静岡市では、市内の自宅から県外の大学等へ進学する30歳未満の学生を対象に、新幹線通学定期代の一部を無利子で貸与し、卒業後返還期間に相当する期間、本市に居住し、市民税の所得割を完納した場合、返還免除になります。
 
貸与金額は、新幹線通学定期券(1カ月当たり)の額の3分の1または3万円のいずれか低い額となっています。
 
長泉町では、新幹線通学費の補助として、JR三島駅から新幹線鉄道営業キロが片道 100km以上の区間では1カ月あたり2万円、JR三島駅からJR新横浜駅までの区間では1カ月あたり1万7000円を補助します。
 
町内で実施される地域活動等に参加することができる、などが補助の条件となっています。
 
山梨県では、大学等への進学を契機とした転出抑制に向けて、鉄道通学定期券の購入費用を支援する市町村を助成しています。
 
同県の試算によると、県内から東京方面へ鉄道を利用して通学した場合には、ひとり暮らしをした場合の費用に比べ、年間50万円以上の削減が可能とのことです。
 
以下のように、甲府市、山梨市、甲斐市、笛吹市、甲州市、韮崎市、北杜市が通学定期代の補助をしています。
 
甲府市では通学定期券購入費の2分の1の額(月額上限1万円)。
甲斐市では通学定期券購入費の2分の1以内(月額上限1万円)。
山梨市では通学定期券購入費の2分の1の額(月額上限2万円)。
笛吹市では通学定期券購入費の2分の1の額(月額上限1万円)。
甲州市では通学定期券購入費の2分の1の額(月額上限1万円)。
韮崎市では通学定期券購入費の2分の1の額(月額上限1万円)。
北杜市では通学定期券購入費の2分の1の額(月額上限1万円)。
 
栃木県栃木市では、東武鉄道により東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県へ通学する、大学・短大・専修学校生に対し、1年度につき最大2万円を補助します。千葉県・埼玉県は対象地域が限られますのでご確認ください。
 
茨城県石岡市では、JR石岡駅,JR高浜駅,JR羽鳥駅,JR神立駅から鉄道を利用して通学する学生等で、石岡駅を基準として算出した1カ月あたりの通学定期券代が9000円以上の場合が補助対象となります。
 
通学定期券購入費補助は月額上限3000円、特急券購入費補助は月額上限1万6000円です。通学定期券購入費補助と特急券購入費補助の両方利用が可能です。
 
新潟県上越市では、市外の大学等に公共交通機関を利用して通学する30歳未満の学生に対し、通学定期券購入費の合計額(月額上限5万円)を貸与します。
 
返還期間中に市内に居住しながら就職先へ通勤する場合は、返還額の3分の2に相当する額の返還が免除されます。
 
糸魚川市では、JR糸魚川駅から大学等に進学する市内の学生に対し、新幹線通学定期券購入費の2分の1(年間上限50万円)を補助します。
 
富山県高岡市では、北陸新幹線を利用して通学する学生に通学定期券購入費を補助します。補助額は1カ月定期券1万円、3カ月定期券3万円です。
 
上記以外にも通学定期代の補助をする自治体はありますので、お住いの市町村のホームページで調べてみましょう。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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