最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.07.18
暮らし

大部屋が良かったのに、空きが無くて仕方なく個室に。高齢者の入院時、差額ベッド代は要る?

1人暮らしの義母が目の手術で入院するというので付き添っていたCさん。
 
看護婦さんに病室を案内されたのですが……。
 

個室よりも大部屋を選ぶ

行き着いた所は4人部屋でした。「え? お義母さん、個室じゃないのですか?」
(お義母さんは、しっかり医療保険にも入っているし、差額ベッド代も十分カバーできるはずなのに、なぜ?)
 
謎は、退院後わかりました。
 
多くの人が大部屋を選び「個室に入れなくて大部屋を選択」ではなく、「大部屋に入れなくて個室しかない」現状。お金の問題もあるかもしれませんが、それよりも、入院中に話し相手がいるかどうかが問題なのです。
 
入院中に仲良くなって、退院時には連絡先を交換し、退院後にまた会うことも楽しみだとうれしそうに義母は話してくれました。大部屋に入れなかった人が、大部屋の人のところに遊びに来て、長いこと雑談をしていくということもあったそうです。
 
すると、その大部屋に入りたくても入れなかった人の場合は、差額ベッド代が掛かるのでしょうか?
 
「特別療養環境室」とは、以下の要件を満たしている必要があります。

・ベッド数が4床以下
・病室の免責は1人あたり6.4平方メートル以上
・病床のプライバシーを確保するための設備があること
・少なくとも「個人用の私物の収納設備」「個人用の照明」「小机等及び椅子」の設備があること
この要件を満たせば、ベッドの数が4つでも、「特別療養環境室」となります。ところで、「特別療養環境室」に入る場合は、すべて差額ベッド代が掛かると思われますが、実はそうではありません。
 

空き部屋がないから個室、差額ベッド代はかかる?

この、大部屋でおしゃべりしていた人のように、大部屋を希望していたのに満室で入れなかった場合は、差額ベッド代がかかるのでしょうか?
 
平成30年3月5日の厚生労働省通知には、「特別療養環境室」の差額ベッド代を患者に求めてはいけないケースを3つ上げています。
 
1)同意書を取っていない(同意書に室料の記載がない、患者さんの署名がない等、内容が不十分である場合を含む)
2)治療上必要であるために特別療養環境室に入室した場合
3)病棟管理に必要性により特別療養環境室に入室、患者の意志とはまったく関係ない場合(感染症の患者であるため、本人の選択によらずと認められるもの。ほかの部屋が満室という理由で特別療養環境室に入った場合等)
 
「特別療養環境室」に差額ベッド代が発生するのは、患者が良い環境を求め自ら選んで入ることが原則です。
例えば、差額ベッド代を払ってでも、一人静かに入院したいという場合もあるでしょう。ほかの人のいびきがうるさいから個室を希望するなど、その場合は差額ベッド代がかかります。
 

高額療養費

同一月にかかった医療費の自己負担分が、高額療養費算定基準額を超えたら、後で払い戻しされます。
 
手術等で高額になることがわかっている場合には「限度額適用認定証」の発行を受けておけば、病院の窓口で限度額以上の負担は生じません。「限度額適用認定証」は加入している健康保険の窓口へ申請します(国民健康保険は市役所の国保・年金課)。
 
限度額は年齢・所得によって違います。
例えば70歳未満の場合、年収が370万円未満の自己負担限度額5万7600円、1年間に3回以上あった場合(多数該当の場合)4回目からは4万4400円。
住民税非課税者は自己負担限度額3万5000円、多数該当の場合は2万4600円が上限になります。
 
70歳以上で一般的な所得区分の場合、自己負担限度額は、外来(個人ごと)1万4400円(年間14万4000円が限度)、入院も含めると5万7600円(世帯で)が上限になり、多数該当は4万4400円です。
 
低所得者の場合は、外来(個人)の上限が8000円、入院(世帯)上限2万4600円、必要経費を抜いたら所得ゼロの場合は入院(世帯)の上限が1万5000円です。
 
特定疾患で長期にわたって高額な医療費が必要となる場合は、特例で自己負担限度額が1万円、(人工透析を要する70歳未満の上位所得者、その被扶養者は2万円)が限度額になります。

※この場合の特定疾患とは、慢性腎不全、先天性血液凝固題Ⅷ因子障害等、後天性免疫不全症候群が定められています。
 
入院すると、1日平均1万5000円ほどかかるといわれています。しかし、高額療養費の自己負担上限があり、一般の所得の高齢者(70歳以上75歳未満)は、1カ月の自己負担は上限5万7500円。1日平均約2000円。それに、食事負担360円×3食=1080円加えて3080円。
 
まだ、これに細々としたものがついて、最低限だと5000円。大部屋を選びたい人は、このくらい見ておけば良いのではないでしょうか。
 
高齢になるにつれて、負担が軽くなるように設計されているのが日本の健康保険制度。まずは制度を知って、そのうえで不足するものを貯蓄や民間の保険で補いましょう。
 
詳しい制度につきましては、厚生労働省の ホームページをご覧ください。
 
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP®認定者
相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP

林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。



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