更新日: 2020.04.06 その他暮らし
2019年変わった教育資金贈与の非課税措置ってどんなもの?
既に利用されている方やこれから利用しようと思われている方も多いとおもいますが、こちらの非課税措置。2019年4月からこれまでとは若干内容が変わることになりました。どのように変わるのか、その気になる内容をチェックしてみましょう。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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教育資金贈与の非課税措置ってなに?
扶養義務者からの贈与において、「通常必要と認められる範囲」であり、かつ「必要な都度支払われる教育費用」については、贈与税がかかりません。しかし、「一括」で教育費の贈与を行った場合は、当然、贈与税がかかります。
「将来必要と見込まれる分を含めて、一括で贈与したい。でも、贈与税がかかるのは困る…」そんな方のために、教育資金贈与の非課税措置があります。この制度を利用すると、「一括」で教育費の贈与を行った場合でも、税金がかかりません。
ただし、非課税となるのは、父母や祖父母が30歳未満の子供や孫へ教育資金を贈与する場合で、贈与を受けた一人につき「1500万円」(学校等以外に支払われるものについては500万円)まで、とされています。さらに詳しい内容を見ていきましょう。
非課税措置を受けるメリットは?
生前贈与には、生前贈与後3年以内に相続が発生すると、贈与額が相続財産に加算されてしまう「3年内贈与加算」という決まりがあります。
ただし、教育資金贈与の非課税措置を利用すると、この決まりの対象外となります。相続の直前に教育資金贈与の非課税措置を利用しても、相続税の対象から除外することができますので、節税対策としても有効です。
また、一般的な贈与にあたる暦年贈与の基礎控除(年間110万円まで非課税)とも、重複適用することが可能です。
ただし、注意しなければならない点があります。教育資金贈与の非課税措置を利用して一括贈与した教育費は、受贈者(受け取った側)が使い切る前に贈与者(あげた側)に相続があった場合でも、使い残した分が相続財産に加算されることはありませんでした。
ところが、今回の税制改正大綱において、それが否定されました。以前と異なる点については確認が必要です。また、教育資金贈与の非課税措置にはこのようなメリットがあります。
非課税措置を受けることによるデメリットは?
教育資金贈与の非課税措置を利用するには、信託銀行などの金融機関に信託口座を開設し、所定の書類を提出する必要があります。さらに、その金融機関に、教育資金の領収書を提出しなければなりません。
つまり、専用の口座を用意し、「教育資金として使いました」という証拠を残すことが必要となります。
また、万が一、30歳になった時点で使い残しがあった場合には、贈与額が将来の教育資金の消費額を上回ったとみなされ、その上回った額について贈与税が課税されることとなります。ここはついつい見逃しがちなため、この制度を利用するうえで一番気を付けたいところです。
2019年4月から何が変わるの?
まず、受け取る側の所得制限が設けられることとなりました。今までは制限はありませんでしたが、来年度からは受け取る側の合計所得金額が1千万円を超える場合は制度の対象外となります。また、「教育資金」の適用範囲についても一部制限が設けられることとなりました。
具体的には、23歳以上の子や孫について、絵画などの習い事やボートなどレジャー用の免許取得に使うケースは非課税の対象外となることが決定したのです。これは、受け取った資金を子や孫の通う学校の入学金・授業料といった教育費以外に使えることが、これまでも度々問題視されていたことを受けての改正といえるでしょう。
この制度の対象となる「教育資金」については、文部科学省のサイト(※)で詳細に決められており、「学校に対して直接支払われるもの」と「それ以外のもの」に分けられています。今回の改正はこれまで曖昧だった「それ以外のもの」の規定をより明確化したことになります。
とはいえ、使い方によっては非常に効果的といえるこの制度。これから活用しようと思っておられる方は非課税措置として使える範囲をいま一度確認したうえで、納得のいく形で活用されることをお勧めします。
出典
(※)文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置 Q&A
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者
一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員