更新日: 2019.06.28 その他暮らし

「値段は同じだけど、中身が減っている!」こんな“実質値上げ”に対して意識しておきたい3つのポイント

執筆者 : 上野慎一

「値段は同じだけど、中身が減っている!」こんな“実質値上げ”に対して意識しておきたい3つのポイント
先日、ある主婦の方がこんな話をしていました。
 
「スーパーで油揚げを買って、餅きんちゃくを作ろうとしたの。いつもの切り餅を中に入れようとしたら、きつくて入らない。おかしいなと思ったら、実は油揚げがいつの間にか少し小さめになっていたのよ。値段はいつもと同じだったのに……」
 
これは、商品の値段は変わっていないけれど量が減らされているのですから“実質値上げ”なのでしょう。食品や日用品などでよく話題になったりしますね。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

インフレ見通しは弱まる一方なのに、進んでいる「シュリンクフレーション」

このような現象は「シュリンクフレーション」と呼ばれることがあります。英語のshrink(縮む)とinflation(物価上昇)を組み合わせた造語で、まさに量を減らして値上げすることなのです。
 
日本の物価の動きはどうなのでしょう。参考として、日本銀行の物価上昇(インフレ)率の見通しについて、2018年 7月時点 → 10月時点 → 2019年1月時点の、各公表時点で発表された数値を比べてみます。
 
2019年度の物価上昇率の見通し[1.5% → 1.4% → 0.9%]
2020年度の物価上昇率の見通し[1.6% → 1.5% → 1.4%]
 
いずれもインフレの見通しは、弱含みに見直しされています。それでも、個別の商品では実質値上げの動きは進んでいるように思われます。
 

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実質値上げをする理由、そして人の心理面で見ると……

商品が値上げされるのは原材料・人件費・物流費などのコスト増が主な原因でしょうが、景気動向や市況によっては、ダイレクトに値上げしてしまうと販売量(売上げ)が減ってしまう懸念もあります。
 
そのため、見た目の値段は変えずに量を減らして、実質的な値上げを確保するケースがあとを絶たないのでしょう。
 
人の心理面で見ても、「値段」には敏感で値上げには痛みを大きく感じます。一方で「量」の変化は値段ほど気にならないといわれています。今までの商品の値段が上がるのは避けたいけれど、値段が変わらなければ量が少々減ったとしてもあまり気にならないようなのです。
 

意識しておきたい3つのポイントとは?

こうした実質値上げですが、次の3点は意識しておきたいところです。
 

(1)わずかな減量でもかなりの値上げ率になる

 ・例えば【500ミリリットルで500円の食品が、値段据え置きで450ミリリットルに減量された】ケースを考えてみましょう。
 ・「量が10%減った」といわれても大きくは気にならないかもしれません。しかし、「同じ500ミリリットルで比べるとこれまでの500円が555円に値上げされた」とか「1ミリリットルあたり単価では11%以上も値上げされた」といわれたらどうでしょうか。
 ・以前と同量に換算した場合の値上げ額やその値上げ率をチェックしてみると、値上げの“正体”が実感できます。
 

(2)値上げと気付かせない値上げがある

 ・2016年にある牛乳の新商品が発売されましたが、それまでの1リットルパックが900ミリリットルに減らされて値段はほぼ同じでした。
 ・しかし、メーカー側は、パックを小さく持ちやすくしたりキャップを新設して注ぎやすくしたり、お客さまの飲用実態の変化に合わせて最後までムダなくおいしく飲むことができる内容量に変更したと説明し、実質的な値上げとの直接表明はなかったようです。
・2007年から2008年にかけて新聞の全国各紙で活字が以前より大きくなり、その分だけ文字数や情報量は減りました。これも一種の値上げでしょうが、購読者には文字を大きくして紙面を見やすくしつつ記事内容の充実もはかる意図がアピールされました。
 

(3)そもそも量を減らしたことを知らせずに(あるいは知られずに)販売されている商品も少なくない

 ・日常使いの食品や日用品ほど、減量した事実が、売り場や商品自体の表示で告知されていないケースが多いような実感があります。このような実質値上げは、「ステルス値上げ」とも呼ばれています。
 ・仮にメーカーが公表していても、業界内や生産現地レベルでの認知にとどまり、個別の売り場などでは値上げが告知されないため、「知らせない」ケースとの違いが消費者にはわからない場合もあります。
 

まとめ

こうした実質値上げですが、食品や日用品のひと品目ごとの値段はさほど大きくなく、また、同種の商品すべてが「ステルス値上げ」となっているわけでもないので、その実感度はまだ肌身にしみるレベルではないのかもしれません。
 
しかし、平均減量10%の実質値上げ商品に、トータルで月々支払っている金額が、仮に1万円ならば、月々1100円あまりの値上げ負担をしているのと同じです。2万円ならば2200円あまりです。
 
商品の値段は【単価×量】で構成されているという意識で、商品が実質値上げされていないかどうかをチェックする視点は持っておきたいものです。そして単価面で高くなり過ぎと感じたら代替品に切り替えたり、使う量を調整して、家計のムダを省くような対処も検討すべきでしょう。
 
執筆者:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士