更新日: 2019.06.19 その他暮らし

副業を始めたいと思った時に覚えておきたい注意点とは

副業を始めたいと思った時に覚えておきたい注意点とは
前回のコラムでは、自分のやりたいこと(フリーランス)を始める場合のライフプランについて考えましたが、いきなりの開業には、たくさんのリスクが潜んでいます。
 
今回は、仕事を辞めるというリスクをいきなりとることなく、今の仕事にプラスアルファして始める副業について考えてみましょう。
 

當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

副業を始めるときにしておきたいこと

今の仕事の内容にも給料にも満足であれば、通常、副業を考えることはないでしょうから、まず副業を考えるときには、「何のために」副業を始めるのか、考えておきましょう。
 
転職するための準備期間なのか、収入を少しでも多くしたいのか、しっかりとした理由がなければ、副業を始めたいと会社に申し出ても、なかなか会社も「はいそうですか」と言えず、承諾を渋るところもあるでしょう。
 
副業だから、会社に承認をとる必要はないという考え方をする人もいるかもしれません。ただ、勤め先にも言わず、いきなり副業を始めることはできません。
 
なぜなら、会社の就業規則で明確に副業禁止規定を定めている会社があるからです。現在のお勤め先にもし禁止規定がなかったとしても、副業を始めるということは上司に相談しておくほうがいいかもしれません。
 
今は過労や長時間労働による事件などにより、何かと働き方改革が叫ばれる時代です。もし副業をしている労働者が健康を害した時、会社の責任を問われることもありますので、あとで「会社が知らないうちに勝手に行った」と言われないためにも、会社に副業のことは伝えておきましょう。
 
黙っていればわからないと思うかもしれませんが、会社で住民税を徴収される方は、通知額を見て「どうしてこれほど住民税が高いのか」というところから発覚することもあります。
 

副業をしている人にもリスクはある

副業を始めると、生きがいも増えて収入アップ、とよいことづくめではありません。新たなリスクが発生するからです。
 
通常、会社の行き帰りにけがをし、通勤経路が通常の経路を外れていないのであれば、治療費は労災保険から給付されて、個人の負担は全額無料、そしてその後休業が続いて、4日以上になった時には、休んだ期間中には会社から給料が支払われない間、労災保険から一定額の休業給付がされます。
 
精神障害や、脳、心疾患についても労災保険の対象となることがあります。対象となるためには、認定基準があり、時間外労働についても取り扱いは定められています。
 
結論から言えば、副業をした結果、長時間労働となったとしてもそれぞれの労働時間は通算されません。また、もし副業先の怪我等で労働災害と認められたとしても、休業補償の対象となる賃金額は副業先の賃金額となります。
 
副業の方が賃金額は低い方が多いでしょうから、当然休業補償の額は少なくなりますし、本業の方も、有給が残っていなければ、そちらの収入が無くなる点には注意が必要でしょう。
 

副業を始めるときには、もう少し詳細を詰めておきたい

一つの会社でフルタイムの正社員として働いていると、もう一つの勤務先に、残業分を請求することができるかもしれません。
 
なぜなら労働者の労働時間は通算されるからです。前段で、労災の認定の際、複数の事業所の労働時間は通算されないと言いましたが、残業代は考え方が異なります。本業と副業の所定労働時間が8時間を超えてしまった場合には、本業から時間外手当を受け取れることがあるのです(下表参照)。
 
これは、本業の会社が副業のことを知っている場合です。こういった細かい点についても、副業を始める時に、会社と詳細を詰めておかないと、「言った。言わない」の争いになることがあります。
 

 
いずれにせよ、今はいろいろな働き方があると感じることが多くなりました。本業を持ちながらも、新規に独立開業をするための準備、もしくは本業は本業として、しっかりとした収入を確保しつつ副業で好きなことをする、と副業を始めるきっかけは様々です。
 
いきなり新規開業をするよりもハードルは低いでしょう。ただ、気軽に始めるとしても、問題が起こった時のために、しっかりとした知識を身につけておくことが自分を守ることにつながるといえるでしょう。
 
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 

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