がんより入院患者数の多い2つの傷病とは

配信日: 2019.05.08 更新日: 2019.06.12

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がんより入院患者数の多い2つの傷病とは
病気やケガで入院する可能性は誰でもあり、入院したら肉体的や精神的な苦痛だけでなく、治療費がかかったり会社を休んだりして経済的にも大きな影響を受けます。いつ病気やケガをするかは誰もわかりませんが、わからないからこそできる限りの準備をしておきたいものです。
 
そこで、今回は入院患者数から入院しやすい年齢や傷病等を調べてみました。
 
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

入院患者数は80歳代前半が最も多い

厚生労働省の患者調査では、入院患者に関する調査を詳細に行っています。
 
2019年3月に平成29年の調査結果が公表されましたので、そこからまずは年齢階級ごとの推計入院患者数をグラフにしてみました。年齢は「0歳」、「1~4歳」、5歳から89歳までは5歳刻みで、最後に「90歳以上」に分けてあります。
 

 
平成29年患者調査によると、全年齢の入院患者数は131.2万人となっています。大雑把に言えば100人に1人強が入院しているということになります。
 
年齢階級別にみると80歳~84歳が19.2万人で最も多く、2番目に多いのは85歳~89歳の18.1万人、その次が75歳~79歳の16.5万人となっています。
 
逆に患者数が最も少ないのは5歳~9歳の4,500人、次が10歳~14歳の5,100人、その次が1歳~4歳の6,700人となっています。患者数が最も多い85歳~89歳と最も少ない5歳~9歳では、患者数に40倍以上の差があります。
 
グラフを見れば一目瞭然ですが、一部の例外を除いて年齢が上がるにつれて患者数が累進的に増えています。生後間もない0歳や1歳~4歳が若干多いのは、まだ環境に慣れてないからではないでしょうか。
 
85歳~89歳や90歳以上の入院患者数が80歳~84歳よりも少ないのは人口が少ないからであり、同人数で比べれば90歳以上の患者数が最も多くなるでしょう。
 

男女共に入院患者数は減り続けている

次に入院患者数を1999年から2017年まで調べ、男女それぞれ患者数が増えているのかそれとも減っているのか確認してみました。
 

 
1999年(平成11年)から2017年(平成29年)まで7回の調査結果をみると、男女共に入院患者数は減少傾向にあります。男性は1999年の69.5万人から2017年には59.9万人へ約10万人も減っており、女性も1999年の78.8万人から2017年の71.3万人へ7.5万人減っています。
 
厳しい医療財政の中で入院の在り方が徐々に変わってきているのかもしれません。
 

がんの入院患者数は12.6万人

最後に入院患者数を傷病別に分けてグラフにしてみました。グラフでは入院患者数が特に多い傷病のみ載せてあります。
 

 
国民病とも言われている悪性新生物(がん)の患者数は12.6万人で、入院患者数全体の1割近くを占めていますが、実は悪性新生物よりも入院患者数の多い傷病が2つあります。
 
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害は入院患者数が15.4万人で最も多く、脳血管疾患が14.6万人で2番目に多くなっています。
 
ただ、この2つは入院患者数が大きく減っており、近い将来、悪性新生物を下回りそうです。入院患者数が9.7万人で4番目に多い骨折は入院患者数が増えており、こちらは近い将来、悪性新生物を上回りそうです。骨折が増えているのは高齢化の影響が大きいと考えられます。
 
3つのグラフから読み取れるのは、入院の患者数は年齢別では高齢者が多く、傷病別では4つの傷病(悪性新生物・脳血管疾患・統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害・骨折)が特に多いが、徐々に減ってきているということです。
 
若い世代であれば入院する可能性はかなり低いと言えますが、油断は禁物です。可能性は低くても経済的に困ることのないよう、安心できる備えをしておきましょう。
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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