半年間の出張中、借りているアパートを内緒で友人に貸しても大丈夫?
配信日: 2019.06.13
では、そのどちらでもなく、友人に又貸し(転貸)する場合はどうでしょうか。今回は借りている部屋をこっそり又貸しした場合のお話です。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
急遽半年間の転勤を言い渡されたAさん。その間のアパートは?
Aさんはアパートの部屋を借りて一人暮らしをしていたのですが、勤務先から突然半年間の転勤を言い渡されました。転勤先は遠方にある地方であり、転勤中はまず部屋に戻ることはできません。
Aさんはその期間中の家賃を軽くするため、部屋を友人へ又貸し(転貸)して、そこで得た転貸料を家賃に当てようと思いつきました。
しかし、アパートの部屋はAさん自信が居住するために契約したものであり、友人へ転貸するために契約したものではありません。契約書にも「無断転貸は禁止」の旨規定されていました。
長期間にわたり部屋に戻れないからと、このまま友人へ転貸してしまっても問題はないのでしょうか。
無断での又貸しは契約解除の原因となるおそれがあります
結論から述べると、万が一Aさんが無断転貸してしまった場合、信頼関係の破壊を理由に、大家さんから契約を解除されてしまうおそれがあります。
なぜなら、賃貸借契約において賃借人(借りている人であり、本事例ではAさん)は賃貸人(貸主であり、本事例では大家さん)の承諾を得ないまま第三者へ転貸してはならず、無断での転貸があった場合、賃貸人は契約を解除できると民法で定められているからです。(民法612条1項、2項)
しかしながら、賃貸借契約は貸主と貸主の間の信頼関係に基づく契約です。
仮に無断転貸があったとしても、それにより信頼関係が破壊されたといえるほどの行為とみなされない限り、無断転貸を理由とする解除は認められません。(昭和28年9月25日最高裁判所第二小法廷)
ただ、特段の事情のない限り、原則として無断転貸は信頼関係を破壊するに足りる行為です。
今回の事例において、Aさんが転貸することについて特段の事情はありません。半年間程度留守にするという事情があるとはいえ、この程度では特段の事情とまでは判断されません。そのうえ契約で無断転貸は禁止されています。
このような理由から、Aさんがこのまま無断転貸を行ってしまった場合、信頼関係の破壊を理由として大家さんに契約を解除されてしまうおそれがある。という結論となるのです。
無断転貸は信頼関係を破壊する重大な違反行為です
原則として、無断転貸は貸主と借主の間にある信頼関係を破壊する行為です。その結果、民法612条1項および2項に基づき賃貸借契約を解除されてしまうおそれがあります。
契約によって転貸が禁じられているとなればなおさらです。借りている物件について、無断での転貸は絶対に行わないようにしてください。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士