更新日: 2020.01.23 その他暮らし

1日70円で利用可能!? 環境にも優しいシェアリングサービスとは?

1日70円で利用可能!? 環境にも優しいシェアリングサービスとは?
「シェアリング・エコノミー」が、生活の身近な場面にどんどん登場しています。言葉で聞くと難しそうなイメージもありますが、要は【自前(自分の所有)にはせずに、必要なときだけお金を払って利用する仕組み】なのです。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

例えば、クルマでは?

その対象としてまず思い浮かぶのは「モノ」でしょう。例えば、クルマや自転車も今や時間単位や分単位で利用可能。クルマでいえば、これまでの使い方から次のようなステップで変化している感じです。
 

 
利用に関わる金額や時間の単位が、どんどん細分化されていく流れが実感できると思います。
 

傘にもシェアリングの仕組みが登場

こうしたシェアリング・エコノミーの仕組みは、「モノ」だけにとどまりません。ジャンル別に例示してみましょう。
 
<空間(場所)>
シェアオフィス、レンタルスペース、シェアハウス、民泊、時間貸駐車場
<スキル>
ベビーシッター、家事代行、「士」業ほか特定のスキル
<移動>
ライドシェア、食品配達
<お金>
クラウドファンディング
 
そして最近では、「傘」のような身近な雑貨までシェアリングの対象です。傘は雨が降っていれば差していきますし、雨予報が出ていれば折りたたみ傘などを持って出掛けます。しかし、外出先で急に雨模様になってしまい当面やみそうもないときは困りもの。
 
コンビニやドラッグストアでビニール傘を買うケースも多く、価格も数百円くらいからあって、まあお手軽です。とはいえ、ビニール傘がどんどん家に増えていくと保管場所にも限りがあり、捨てるにしても市区町村によっては骨組みとビニールの分解が必要なうえに粗大ごみ扱いになるなど、ひと苦労です。
 
こうした問題に着目して生まれたのが、「アイカサ」というサービス。運営会社のサイト(※)などによれば、大まかなポイントは次の通りです。
 
<借り方>
 ・「アイカサ」のサイトで駅名・エリア名・建物名などを検索するとマップが表示され、設置スポットや設置本数を確認できる。
 ・設置スポットで傘に付いたQRコードをスマホで読み込み、LINEの友だち登録と決済登録(クレジットカードなど)をする。
 ・スマホ画面に表示される暗証番号を傘の柄にあるダイヤルに入力すると、ロックが外れて利用できる。
 
<返し方>
 ・設置スポットマップで選んだ返したい場所にいき、設置された返却QRコードをスマホで読み込み、傘を畳んで返却する。
 
<利用料金>
 ・月末締め翌月1日払い。
 ・1日70円(24時間以内であれば、何回借りても定額)。
 ・同月内であれば、420円で課金がストップする使い放題。
 
駅、商業施設、飲食店舗、大学などで設置が進み、東京駅の周辺エリアで江戸時代の古地図をデザインした専用傘を置くなど、地域のPRもできる仕組みが取り入れられています。
 

どんなメリットが? そしてまとめ

利用者の視点からは、急な雨のときでも傘を買わずに、1日70円で気軽に利用できます。当日返さなくても追加料金は1日70円(同月内ならば上限420円)で済みます。急場しのぎに買ったビニール傘が増えすぎて処分しなければならないような手間もありません。
 
設置場所の提供者にとっては、雨の日を中心に集客ツールになるメリットがあります。借りる人と返す人の両方に来店してもらえるチャンスとなるのです。
 
利用サイトへの地図や広告の掲載料やシステム料として月額3000円程度のランニング費用負担はありますが、検索マップや運営アプリで店舗の広告やクーポン配布などが一部無料で利用できます。
 
運営会社のサイト(※)によれば、日本でビニール傘の消費量は年間8000万本もあります。その多くが急な雨でのその場しのぎだとすると、やむをえず買ってその後に捨てられてしまう総量を減らすことで、社会全体としてもプラスチックごみを減らす効果がかなり期待できるのです。
 
「傘」という文字は、カサを開いた状態のような象形文字です。その中に「人」が4人いるようにも見えますが、古いオリジナル字が簡略化されたもので、実際には「人4人」を象形したわけではありません。
 
でも、今回ご紹介したシステムは、ひとつのカサをいろいろな人が利用しあう仕組み。まさに、今の文字の象形イメージにとてもマッチしたものです。
 
生活にとても身近でしかも低額、そして環境にも優しい傘シェアリング。もしもタイミングとスポットがうまく合った場合には、一度利用してみてはいかがでしょうか。
 
出典:(※)株式会社Nature Innovation Group「アイカサ」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士


 

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