更新日: 2020.02.07 その他暮らし
後悔しない賃貸物件探しのポイント(2) 物件情報はどこを見たらいい?
今はインターネットを利用して不動産探しをする人が大半です。ただし、インターネットの物件情報サイトをただ漠然と眺めていても、なかなかイメージは湧かないでしょう。初めて賃貸住宅を探される方は、どこをチェックすべきかわからない方もいると思います。
今回はインターネットを利用して物件探しを行うポイントとして、想定家賃からエリアの絞り込みの考え方をお伝えします。
執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、上級相続診断士、宅地建物取引士、宅建マイスター、西山ライフデザイン代表取締役
http://www.nishiyama-ld.com/
「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。
西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/
物件情報サイトはどこを使ってもよいが
インターネットが普及していなかった頃の不動産探しは、希望するエリアの不動産屋さんを訪ね、希望を伝え、条件に合いそうな物件を案内してもらい、その中から決めるというのが一般的な流れでした。今はインターネットが普及し、パソコンやスマホでも物件探しができるようになり、とても便利になっています。
インターネットに掲載されている物件は、それぞれの不動産業者が集めた情報を掲載しています。あたかも掲載されている物件は、その業者にしか紹介できないように見えますが、実際はそうではありません。
不動産業者だけが使う「レインズ」というサイトにほとんどの物件が掲載されており、物件情報サイトに掲載されている物件であれば、その多くがどの不動産屋さんでも紹介可能な物件です。
一方で、2月、3月は物件の回転も早いため、物件情報サイトに掲載されていても募集が終了してしまっている物件も少なくありません。逆に、物件情報サイトにはまだ掲載されていない物件もあります。
現在の募集状況は問い合わせて確認する必要があります。物件情報サイトで希望物件を絞り込みすぎても、その物件に申し込めるとは限らないことをあらかじめ理解しておいたほうがよいでしょう。
家賃とエリアからの物件を絞り込む
前回お伝えしたように、探し始める前に新生活をイメージして、許容できる家賃の予算を把握してから物件探しを始めます。家賃の設定があなたにとって適正を、不動産業者は教えてくれません。
家賃を見ると合わせて「共益費(きょうえきひ)」が設定されているケースが多いと思います。共益費というのは、家賃とは別にその物件の共用部(廊下やエントランスなどの共用スペース)の清掃や光熱費などの管理費用に充てられる費用です。家賃も共益費も毎月支払うお金ですので、共益費が設定されている場合は「家賃+共益費」で考えます。
インターネットで物件探しをする場合、物件の所在地、または鉄道の沿線、最寄り駅などから探す場合が多いでしょう。まず、想定家賃を意識しながら希望するエリアに、気に入りそうな物件があるかどうかをざっくり把握します。
例えば、急行や特急が止まる駅と各駅停車しか止まらない駅では家賃相場も違います。急行や特急が止まる駅の周辺には、繁華街や生活利便施設が集まっているなど、いろいろ便利な場合が多いでしょう。通学や通勤の際もドアtoドアの時間が短縮できることも魅力で、その分家賃相場も高くなります。
駅から近い物件と遠い物件も同じです。また、バス便になると朝夕のラッシュ時には渋滞が発生した場合に、予想以上に時間がかかってしまうこともあります。利便性を重視し、家賃相場の高いエリアで物件を探すと、希望していた面積や間取りの物件には手が届かないこともあります。
その場合には、エリアを変える、1つ隣の駅や駅から少し離れたところも候補エリアにする、ということも一案でしょう。
駅からの距離
物件情報には必ず駅からの距離が書いてあります。不動産情報で記載されている「徒歩○分」というのは、駅から歩いた場合の駅の入り口(改札ではなく駅の階段など)からの距離であることが一般的です。
80メートルを1分として計算していて、少し速足で歩いた感じの時間です。信号待ちなどの時間や、坂道や歩道橋などの階段なども考慮していません。駅からの距離が遠くなるほど、家賃の相場は下がる傾向にあります。住宅地の中などでは、駅から少し離れたほうが閑静である場合などもあります。
最終的には必ず物件を見るようにしましょう。インターネットで確認するだけでは不十分です。
ハザードマップの確認
台風や地震などの災害に強いかどうかというのも重要なチェックポイントですが、残念ながら物件情報には災害に関する情報がほとんど記載されていません。住みたいと思うエリアが災害時にどのようなリスクがあると考えられるかについては、自治体が公表しているハザードマップをチェックすることをお勧めします。
特に最近は大雨による水害リスクも高まっています。命にかかわる問題でもあります。住みたいエリアを絞り込む際には、必ず自分でチェックするようにしましょう。
不動産に掘り出し物はない
某不動産物件サイトのコマーシャルで、周辺の相場より安い物件が見つかるようなアピールをしているものもあります。しかし、不動産に「掘り出し物」はめったにありません。家賃が相場より安く設定されている物件には、それなりの理由があると考えるべきです。
貸主である大家さんとしても、この時期は入居希望者が多いため、人気のある物件は高めの賃料で募集しても決まる可能性が高いと考えています。もし掘り出し物があるとしても、2、3月には見つからないでしょう。
時期的に余裕があるのであれば、4月になってからのほうが有利な条件の物件が見つかりやすくなります。大家さんの立場で考えれば、なるべく空室は埋めたいと考えます。
3月末までに入居者が決まらなかった物件は少し家賃を下げたり、フリーレント(賃料が発生しない期間)を設定したりして、早く入居してくれる方を見つけたいと考えるためです。
まとめ
賃貸不動産は家賃と立地が重要ではありますが、同じ不動産は2つとなく、また住む人の価値観もいろいろです。物件探しの際は自分が求める優先順位を決めておくことが重要です。
今はインターネットなどでの情報収集は賃貸物件探しでは当たり前になりましたが、最終的には不動産業者とのやり取りが必要になります。この時期の不動産業者はスピード重視。同じエリアで物件を探すライバルもたくさんいます。物件探し競争に取り残されないようしっかり備えましょう。
次回は、「後悔しない賃貸物件探しのポイント」の最終回として、物件情報のより詳細な見方と内覧の際のチェックポイントについてお伝えします。
※2020/02/07 内容を一部修正させていただきました
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役