更新日: 2020.09.16 その他暮らし

6月に改正された女性活躍推進法、何が変わった?新設されたプラチナえるぼしって?

執筆者 : 三藤桂子

6月に改正された女性活躍推進法、何が変わった?新設されたプラチナえるぼしって?
女性活躍に関する取り組みが特に優良な事業主に「えるぼし」の認定制度があります。
 
2020年6月、女性活躍推進法の一部が改正され、「えるぼし」認定企業のうち、さらに女性活躍に関する取り組みが優良な事業主には「プラチナえるぼし」が認定されます。
 
「えるぼし」「プラチナえるぼし」に認定された企業は何が変わるのでしょうか?
三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFP を設立。

社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。

また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。

https://sr-enishiafp.com/

女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)とは?

人生100年時代を迎える日本は少子高齢化が進む一方、労働力人口の減少が懸念され、男女問わず働き手の力が必要になっています。今回の注目するのは「女性の力」です。
 
かつての「夫が外で働き、妻が家庭を守るべきである」という時代を経て、現在は、女性の活躍が求められています。
 
一方で出産、育児、介護などにより離職もしくは就業を希望しながらも、働いていない女性が多いのも現状です。女性活躍推進法は多様な働き方を推進し、出産、育児、介護などと仕事の両立が法律により実現されるようになりました。
 
女性活躍推進法第1条では「自らの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること」とされ、女性が働きやすい環境と、長期的にキャリア形成をしていけるよう法整備されました(10年間の時限立法)。

女性活躍推進法改正!

女性活躍推進法では国や地方公共団体、民間事業主は、女性の活躍に関する状況把握と課題分析し、その取り組みについて事業主行動計画を策定、届出、周知、公表などを実施しなければいけません。今回女性活躍推進法が次のとおり改正されました。
 
1.一般事業主行動計画の策定義務が、常時労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大します(現在101人以上300人以下の事業主は努力義務)(2022年4月1日施行)
 
2.女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化
常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について次の各区分から1項目以上公表する必要があります(令和2年6月1日施行)
 
(1)区分:職業生活に関する機会の提供に関する実績(例:役員や管理職に占める女性の割合)
(2)区分:職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績(例:男女の平均継続勤務年数の差異)
 
300人以下の事業主について、情報公表は努力義務です(2022年4月1日から1項目以上の情報公表が義務化)。
 
3.特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設

「えるぼし」とは?

「えるぼし」は、女性の活躍を推進している企業を認定する制度です。女性活躍推進法に基づいて厚生労働省が実施しています。
 
「えるぼし」という名前には「さまざまな企業や社会の中で活躍し、星のように輝く女性への“エール”と、そんな輝く女性が増えていくように」という願いが込められています。
 
・Lady(女性)
・Labour(働く、取り組む)
・Lead(手本)
 
上記のほか、「L」にはさまざまな意味があり、「円」は企業や社会、「L」はエレガントに力強く活躍する女性をイメージしています(厚生労働省ホームページより)。

「えるぼし」認定を受けるには?

「えるぼし」認定を受けるためには、一般事業主行動計画の策定・届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する状況が優良である等の次の5項目の認定基準について一定基準を満たした場合に認定されます。
 

認定基準
  • 1 採用
  • 2 継続就業
  • 3 労働時間等の働き方
  • 4 管理職比率
  • 5 多彩なキャリアコース

 
「えるぼし」認定は評価基準の達成度合いによって3段階に分かれています(色と星の数が違います)。より高い段階を達成するほど女性の活躍に積極的に取り組む企業の証明となり、また評価の対象となります。
 
さらに2020年6月から従来の「えるぼし」認定企業のうち、特に優良な取り組みである等、「えるぼし」認定よりもさらに水準の高い、「プラチナえるぼし」認定が創設されました。

まとめ:「えるぼし」認定のメリット

「えるぼし」認定マークを取得する会社は以下のとおり、年々増加しています。
 
2016年12月31日現在 215社
2017年12月31日現在 499社
2018年12月31日現在 755社
2019年12月31日現在 992社
(厚生労働省「女性活躍推進法への取組状況」より)
 
事業主が「えるぼし」に認定されるメリットとして次のようなことがあげられます。
・認定の表示(優秀な人材の確保・採用につながる)
・公共調達における優遇措置(加点評価で有利になる)
・日本政策金融公庫の融資制度を低金利で利用できる
 
「えるぼし」認定制度は事業主側からだけでなく、働く側のメリットもあります。女性が働きやすい職場として就職先を選ぶ際、重要な基準となります。さらに男女が平等に活躍できるので、モチベーションの向上につながります。事業主側と働く側、双方のイメージアップになります。
 
女性活躍推進法の改正は、2020年6月から職場におけるハラスメントが義務化に伴い(中小企業は2022年4月1日)、ハラスメント対策の強化等の措置を講じています。
 
「えるぼし」認定制度を多くの人に知ってもらうことは、働きやすい職場環境づくりにつながります。就業先を選ぶ場合、企業イメージを知る際、「えるぼし」認定企業か参考にするのはいかがでしょうか。
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士


 

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