自己破産しても生活保護は受けられるの?
配信日: 2017.12.30 更新日: 2019.05.17
最高裁判所の司法統計をみると、自己破産者の数は年々減少していることが分かります。同じく、「平成29年版厚生労働白書」をみると、生活保護の受給者数も平成27年の3月をピークに減少に転じています。
どちらも減少の傾向にあるのは喜ばしいことですが、税金は高くなる一方、社会保障もまだまだ手薄い日本では、いつ誰がこのような事態に陥るか分かりません。
今回は、経済的な破綻者を救う「自己破産」について考えてみましょう。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
自己破産しても生活保護は受けられる
自己破産で借金を免除してもらったら、生活保護は受けられないんじゃないかと思う人もいるかもしれません。
しかし、自己破産と生活保護は別物。直接的な関係はないため、自己破産をした人が生活保護を受けることも可能です。
生活保護は社会保障の「最後のセーフティネット」と言われています。自己破産してもなお経済的に困窮している場合は、生活保護も視野に入れる必要があります。
自己破産することで生まれるデメリット
自己破産をすると全ての債務が免除される代わりに、いくつかのデメリットが生まれます。具体的に、どのようなことが起こるのでしょうか。
○資産が0になる。…手続開始時点での自分の資産は原則として全て債務の支払いに充てることになります。一方、収入について影響は受けません。
○官報に名前と住所が載る…官報は国が発行している新聞のようなもの。自己破産をするとこれに名前と住所が掲載されます。
○信用情報に記録される…信用情報機関に事故情報が記録されるので、クレジットカードやローンの審査に通ることが難しくなります。
○取締役が退任になる…自己破産者が「取締役」の場合、退任になります。ただ、その後また選任されることは可能です。
上記のような内容が主なデメリットですが、一番大きいデメリットは気持ちの問題だと言います。自分が自己破産をしたという事実に落ち込んだり、周りの人に知られているんじゃないかと疑心暗鬼になったりする人もいます。
自己破産できる基準は?手続きは自分でもできる?
自己破産が認められるのは「支払不能」となったとき、つまり自分の資産と収入で債務を返済しきれなくなったときです。資産と収入状況をみて、払いきれないと判断された場合は自己破産が認められます。
あまり多くはありませんが、月に10万円程度の収入しかなく、資産も無い場合は数十万円の負債でも自己破産するケースがあります。
自己破産は一般的に弁護士に依頼して行うことが多いですが、自分で手続きを行うという選択肢もあります。ただ、自分で行う場合はどうしても時間も手間もかかってしまうので、弁護士費用を用意することが出来るのであれば弁護士に依頼するのが無難です。
「自己破産」は履歴書に書く必要なし
転職・就職する際の履歴書に、自己破産をしたことは書かなくてはいけないのでしょうか。
実は、絶対に書かなくてはいけないわけではありません。強制ではないので、もし書かなかったとしても虚偽申告になるとはいえないようです。
しかし、銀行員など経済的な信用が必要な職業の場合は書く必要がある場合もあります。
ちなみに犯罪の前科については、基本的に履歴書に書くべきです。
自己破産は他人ごとではない。「破産法」は命を救うセーフティネット
自己破産を含む破産法は、経済的な破綻者を救うための法律です。この法律によって、金銭的な理由で自殺をする人の増加を防いでいます。
低所得による借金や浪費、ギャンブルだけでなく、突然の病気やケガに対する医療費、住宅購入の失敗など、身近なことが原因で自己破産に陥るケースもあります。自己破産は誰もが無関係とは言えません。
万が一、経済的に破綻してしまった場合は自暴自棄にならず、このようなセーフティネットがあることを覚えておきましょう。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:豊田 賢治 弁護士