更新日: 2021.04.19 その他暮らし

「この缶ビールを飲んだら、14グラムのアルコール摂取」今まで、こんな視点でお酒を飲んでましたか?

「この缶ビールを飲んだら、14グラムのアルコール摂取」今まで、こんな視点でお酒を飲んでましたか?
「分っちゃいるけど やめられねぇ」。こんなフレーズから昔の歌が思い浮かぶのは、少し年をめした世代かもしれません。この歌の出だし「チョイト一杯の つもりで飲んで」とともに、お酒のある側面を語っているようです。
 
そんなお酒にこれから順次、意外とも思えるような表示がされていく流れです。今まで、こんな視点でお酒を飲んでましたか?
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

缶ビールの表示を見てみると

まずは缶ビールを実際に見てみましょう。缶には、例えば[アルコール分:5%、内容量:350ミリリットル]といった表示がされています。
 
この缶ビールを飲み干したときに、アルコール分をどのくらい摂ったかを考えるとします。そのまま「アルコール分5%のビールを350ミリリットル飲んだ」となって、アルコールの量のことまで細かく気にはしないのではないでしょうか。
 
アルコールの比重は約0.8なので、上記の「容量」を「重量」に換算すると[350ミリリットル×5%×0.8=14グラム]となります。しかし、「350ミリリットルのビールを飲んで14グラムのアルコールを摂った」とまで考える人は、あまりいないですよね。
 

「適度な」そして「健康リスクがある」アルコール量とは

「酒は百薬の長」ともいわれますが、飲みすぎは健康によくないことも事実です。この点に関して厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」として、「1日平均純アルコールで約20グラム程度である」とガイドラインを示しています(※1)。
 
これに対して、先述の350ミリリットルの缶ビールならば14グラムのアルコール摂取となります。追加で同じ缶をもう1本とか別のお酒を少し飲んだりすると、簡単にオーバーしてしまう数値です。
 
また厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高める飲酒量(純アルコール摂取量)の1日平均について、男性40グラム以上、女性20グラム以上と示しています(※2)。
 
適度な量、そしてリスクを高める量、いずれにも「これっぽっちなの」とか「普段、こんなこと考えながらお酒を飲んだりしていないよ」~こんな“意外感”を覚えた方も少なくないかもしれませんね。
 

アルコール量の表示は、時代の流れ

実は、政府は今年3月26日に「アルコール健康障害対策推進基本計画の変更について」を閣議決定しています。これによって、アルコールの度数だけでなく量も容器に表示することが酒類業界に求められることになるのです。
 
手にして飲んでいるお酒について、アルコールの「度数」とともに「量」を“見える化”することで、リスクを高める量などとの対比や認識をもっと促そうという趣旨です。これによって、例えば【図表1】のように意識が変わっていくのでしょうか。
 

 
お酒に含まれるアルコールの「量」は、先述の計算式のように「度数」からでも算出できなくはないですが、もっとすぐにストレートな“見える化”がされている印象です。
 
一方で、何だか買い物ゲームや持ち点消化ゲームをしているような気分になってきませんか。おカネや持ち点が尽きたら、そこでゲームオーバーになってしまうみたいな……。
 

まとめ

コロナ禍によって在宅時間そして“家飲み”の機会が大幅に増えたという指摘は、あちこちで聞かれます。回数が増える分への対応のため、ビールを新ジャンル(第三のビール)や缶チューハイに切り替えてコストダウンしている話もよく耳にします。
 
例えば350ミリリットル缶を月に25本飲む人がビール(1本200円)を新ジャンル(同140円)に替えれば、同じようなアルコール分と風味はキープして月々1500円の節約になります。
 
また以前にも書きましたが、同じ価格帯のお酒どうしならば高アルコールで酔いやすい「ストロング系」のチューハイが人気となっています。アルコール分5%でも9%でも、価格は350ミリリットルで1本140円くらい。同じ価格ならば9%のほうが倍近いアルコール分で酔いやすくておトク、なのかもしれません。一方で、「ストロング系」には健康被害などを危険視する意見も根強いようです。
 
アルコールが健康に及ぼす影響は、年齢、性別、体質などによっても異なりますが、アルコールの「量」を明示化しようという流れは、お酒と健康との間にいろいろな意味で以前よりも緊張関係をもたらすと思われます。
 
嗜好品の「たばこ」が、本人や周囲への健康面などの(悪)影響という切り口でたどってきた、ここ数十年での立ち位置の大きな変遷。似たような流れが、これから「お酒」にも及んでくるかもしれません。
 
[出典]
(※1)厚生労働省「健康日本21(アルコール)」~「アルコール」
(※2)厚生労働省「健康日本21(第二次)」~「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」 (該当箇所は117ページ)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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