更新日: 2021.04.20 子育て
児童手当はそのまま貯金したほうがよい? それとも運用したほうがよいの?
銀行等で預貯金するべきなのか、運用して増やすということを考えるべきなのか、どうするのがよいか解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
児童手当を貯蓄にまわす方法
児童手当を子どもの教育資金に充てる方は多いです。「今のところ特に生活には困っていない」という世帯では、児童手当の分を手つかずのままにしていたり、将来かかる学費のために取り分けておいたりしている方もいるでしょう。
児童手当を貯蓄にまわすとき、考えられる方法としては以下のようなものがあります。
●預貯金……普通預金、定期預金、財形貯蓄など
●保険……学資保険、終身保険など
●投資……株式、投資信託など
どの方法もそれぞれメリット・デメリットがありますので、悩んでしまうかもしれません。それぞれの特徴を押さえて、ぴったりな方法を選びたいところです。
貯金? 運用? わが家はどの方法で貯蓄するべき?
児童手当の貯め方の主な3種類について、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
■預貯金の特徴
預貯金のメリットは、自分で使わない限り毎月積み立てしたお金が減る可能性がほぼないことです。保険や運用のように「元本割れ(投入した金額より最終的に受け取れる金額のほうが少ない状態)」にはなりません。ただ、その反面、お金がほぼ増えない点がデメリットです。
預貯金が向いているのは「安全重視」でリスクを取りたくない方や、ご自身でお金の割り振りを決めて毎月一定額を貯めていける方です。絶対に手をつけない貯金用口座を1つ用意して、そこに自動的に入金される仕組みを作るのがおすすめです。
■保険の特徴
保険のメリットは、万が一の際に保険金として資金を受け取ることができることです。一度契約しておけば保険料としてお金が引き落とされ、自動的に積み立てされていきます。
ほったらかしでも貯められますし、自分が支払った金額より最終的に受け取る金額のほうが多くなる保険も多いです。保険ですので、もし契約期間途中で親(被保険者)が亡くなった場合にも備えられます。
ただし、保険料の払い込みが終わるより前に解約してしまうと、ほぼ確実に元本割れします。なかには、保険によっては満期まで待ってもお金が増えないものもありますので、よく確認して加入する必要があります。そうした保険の場合、貯金や投資が自分でできる人にとってはメリットが少ないでしょう。
■投資の特徴
投資は、うまくいけばお金を増やすことができ、効率的にお金を貯められます。例えば、月1万円を18年間貯金(金利0%と仮定)すれば216万円になりますが、それを仮に、18年間、年3%で変わらずに運用できていれば約286万円になります(※)。
ただ、必ずしも利回りが一定というわけでもありませんので、その際のデメリットは、失敗すれば当初投資した金額が減る可能性もあるという点です。お金を増やすには、投資の知識を付けることも必要です。
できるだけ長い期間投資し続けたほうが、リスクを抑えやすく利益を生みやすいので、子どもが小さいうちから実践しておくのがおすすめです。つみたてNISAやジュニアNISAといった国の税制優遇制度を利用できます。
まとめ:家計の状況やお金の価値観に合う方法を選ぼう
児童手当を貯蓄にまわす場合、預貯金、保険、運用などさまざまな方法がありますが、「最良の方法」はその家庭ごとに違います。
また、どれか1つの方法に絞る必要はありません。例えば「預貯金80%、運用20%、基本的にリスクを抑えながらも増やすことも狙う」といったように組み合わせることもできます。
それぞれの方法のメリットやデメリットを知ったうえで、何をどれくらい実践するのがよいか考えてみましょう。
ちなみに、児童手当を全額貯蓄にまわすと、第1子1人あたり、およそ200万円になります。今もし子どもが高校卒業後に進学した場合、通う学校にもよりますが、学費として年間100万円程度はかかります。4年制大学なら卒業まで400万~500万円ほど必要です。将来に備えて計画的に貯蓄していきましょう。
(※)金融庁「資産運用シミュレーション」
(出典)
内閣府「児童手当制度のご案内」
文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査結果」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表