更新日: 2019.05.17 その他暮らし
最大年間56万円を給付 キャリアアップを目指すなら知っておきたい給付金
このうち、専門実践教育訓練給付金の支給額と支給対象が1月から拡大しました。この給付金をキャリアアップに活用しましょう。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
2つの教育訓練給付金
まず、一般教育訓練給付金について説明しましょう。
一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)や被保険者であった人(離職者)が、厚生労働省の指定する一般教育訓練を受講し修了した場合に、本人自らが教育訓練施設に支払った教育訓練経費(入学料や受講料など)の一定割合に相当する額(上限あり)がハローワーク(公共職業安定所)から支給されます。これが、一般教育訓練給付金です。
情報処理技術者資格、簿記検定、介護職員初任者研修など、働く人の職業能力アップを支援する多彩な講座が指定されています。支給額は、専門学校などの指定教育訓練実施者に支払った費用の20%(上限10万円)です。ただし、4000円を超えない場合、教育訓練給付金は支給されません。
また、受講開始日に雇用保険の被保険者等であった期間が3年以上あることなどの要件があります。受講資格の有無など支給要件をハローワークであらかじめ確認しておきましょう。この支給要件の照会は来所または郵送のみとなっています(電話での問い合わせは受け付けていません)。
次に、専門実践教育訓練給付金の対象となる教育訓練は、業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする講座、専門学校の職業実践専門課程、専門職大学院など、中長期的なキャリア形成を支援する講座で、厚生労働大臣が指定したものです。
業務独占資格・名称独占資格の具体例として、助産師、看護師、准看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、臨床工学技士、救急救命士、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ師、はり師、柔道整復師、美容師、理容師、測量士(補)、電気工事士、建築士、海技士、航空運行整備士、保健師、調理師、栄養士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、製菓衛生師、キャリアコンサルタントなどです。
全国で、看護師は約240講座ありますが、航空運行整備士は1講座(千葉県)だけです。
業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする講座、専門学校の職業実践専門課程、専門職大学院などの講座や施設に関しては、厚生労働省のホームページで確認できます。「育訓練給付制度」で検索してみてください。
専門実践訓練給付金を受けるには、受講開始日前に訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があります。ただし、在職者の場合は、受講開始日前に勤務先の雇用保険の適用事業所の事業主が専門実践教育訓練を受講することを承認し、証明した場合は、この限りではありません。
専門実践教育訓練給付金が拡充
厚生労働省は、2018年1月より、専門実践教育訓練給付金の支給額と支給対象者を拡大しました。
●最大で受講費の70%、年間56万円(3年間168万円が限度)を給付
平成29年12月31日以前に受講開始した専門実践教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の40%(年間上限32万円)でした。また、専門実践教育訓練修了後、資格取得等をし、かつ修了した日の翌年から1年以内に被保険者として雇用された場合、教育訓練経費の20%を上乗せして合計60%(年間上限48万円)を受け取ることができました。
平成30年1月1日以降は、支給率について、教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が原則2年(資格の取得につながる場合は最大3年)給付されます。これは6カ月ごとに支給申請に基づいて支給されます。さらに、資格取得等をし、かつ修了した日の翌年から1年以内に被保険者として雇用された場合は20%上乗せして合計70%(年間上限56万円)を受け取ることができます。
●支給要件期間10年から3年に短縮
専門実践教育訓練給付金の支給対象者は、平成29年12月31日以前は、受講日時点で、「雇用保険の被保険者のうち、支給要件期間が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」「雇用保険の被保険者であった人のうち、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」となっていました。
平成30年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練を対象に、上記の支給要件期間が10年以上から3年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)に短縮されました。
●教育訓練支援給付金も拡充
失業中の人に支給する教育訓練支援給付金について、平成29年12月31日以前に受講した専門実践教育訓練支援給付金は、雇用保険の基本手当の日額の50%に相当する額でした。これが、平成30年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練からは、45歳未満の離職者のうち一定の要件を満たす人には、基本手当の日額の80%に相当する額が支給されることとなっています。
勉強中の生活費も支援してくれるのは助かりますね。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。