更新日: 2019.01.10 その他暮らし
現代社会において、喫煙者に居場所はないのか?お金とたばこの関係
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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当然だが、喫煙は医療費負担増をもたらす
20年近く前になりますが、検索したところ、東北大学大学院医学系研究科で発表されたレポートの中に、欧米の研究の引用がありました。「タバコを吸う人は、吸ったことがない人に比べて平均寿命が短いにもかかわらず、一緒の間にかかる医療費が男性で43%、女性で29%も高いという結果が得られた」そうです。
そのほかに、医療費が喫煙者はこのくらいかかっている、あるいは死亡率や入院日数などについても調査されていますが、予想どおりです。喫煙による人体への弊害については、小中学生の保険の教科書にも掲載されていますから言わずもがなです。
公共交通機関では居場所がないもののレストランは意外にも……
次は公共交通機関など、公共の場でスモーカーの居場所がどのくらいないかという点ですが、公共交通機関ではほとんど全面禁煙になっているため、かなり居心地が悪いでしょう。しかし、レストランでは意外と喫煙OKだったり、分煙、またはテラス席など、工夫しだいでは十分に喫煙場所を確保できそうです。
例えば大手レストラン検索サイト、『ぐるなび』で条件設定をしたところ、東京都では全面禁煙がざっと6,085件なのに対して、喫煙OKが14,000件、分煙は2,774件という結果でした。
究極は価値観の問題といえそう
現在、たばこの価格がこれだけ高騰して、手軽に買うのは難しくなっているにもかかわらず、喫煙を続ける人がいます。TPOや喫煙の健康に及ぼす影響を知りながらも、禁煙することによって余計にストレスが溜まって暴飲暴食に走り、生活習慣病を引き起こす、あるいは精神衛生上不健康になり作業効率が著しく低下するなど、マイナスの影響が甚大なのであれば、継続するのもクオリティ・オブ・ライフを維持する手段としては有効かもしれません。
喫煙とそのほかの嗜好の最大の違いは、まわりの人への影響といえそうです。高カロリーの食事をとっても、それ自体で他人に大きく迷惑をかけることはありませんが、喫煙という行為は他人に受動喫煙という医学的にも証明される形で悪影響を及ぼします。
「他人に迷惑をかけなければ、自分の意思で自分のやりたいことをやる」「公序良俗に反しない限り、基本的人権は尊重される」と謳われているとおり、禁煙、喫煙は自ら自由に選ぶことができます。こう考えてくると「お金とたばこ」というかたちで割り切れるものではなさそうです。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表