更新日: 2021.07.30 その他暮らし
フリーランスとして独立! 開業資金や運転資金はどれくらい必要なの?
オフィスを借りるのか、自宅でできるのか。必要機器にはどの程度見積もっておけばよいのか。当面の運転資金はいくらあれば安心か……。
どのくらいの資金が必要で、どんなことを心がけ注意すべきかを見ていきます。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
「フリーランス」として事業を始めるにあたってのお金は必要ありません
会社を設立するのであれば、定款認証や法人の設立登記で必ず必要となる費用が発生しますが、フリーランスや個人事業主として開業する場合は、特に“この費用(手数料)が”必要というのはありません。
ただし、売買や仲介を行う不動産業を始める場合や、飲食店を始める場合等許認可にかかわるような業種を始める場合は、手数料や保証金等を支払う必要があります(例えば、新宿区で飲食店営業許可の場合の手数料は1万8300円かかります)。
また、1人で開業しようとしても資格等がなく事業が行えない場合、例えば上記のような不動産業を始める場合に、事業を始めたい人が宅地建物取引士を取得していないのであれば、資格等を保有している人を雇う(=給料や報酬の発生)必要があります。
とはいっても、資金ゼロで開業することはできません
上記のような許認可等が関係ない事業を始める場合であっても、当然開業資金は必要です。基本的に業種によって開業資金は大きく変わってきます。
例えば、コンサルタントや士業のような業種であれば、自宅の1室でパソコンとその周辺機器をそろえるだけで原材料や在庫を持つことはありません。
しかし、上記のような不動産業であれば、宅建業の条件として事務所が必要ですし、飲食店の場合はキッチンやシンクの要件がありますので、初期費用はコンサルタント等と比較すれば多額の費用がかかります。
また、店舗を運営するのであれば、店舗だけでなく、在庫も最初に仕入れる必要があります。
ほとんどの業種で必要になるものといえば、パソコンや複合機等の電子機器があります。もちろん、プライベート用のものを使うことも可能ですが、プライベート用と仕事用を兼用する場合は、全額経費に計上できません。
仮に仕事専用で購入するのであれば業種にもよりますが、最低でも20~30万円を見込んでおけばよいかもしれません。
ただし、この金額はあくまで一例です。パソコンとその周辺機器のグレードや機能等によっても異なりますので、希望している商品の値段を確認してから見積もりを出しましょう。
それ以外にも、広告宣伝費や細かな文房具等の消耗品費、雑費等が発生してきますので、ご自身が考えている業種を踏まえた上で資金を調達するようにしましょう。
運転資金は3ヶ月以上を確保できていますか?
では、事業開始前までに開業資金だけを調達しておけばよいわけではありません。開業後の日々の事業を行うために必要な資金、いわゆる「運転資金」も必要です。
上記の例の飲食店であれば、材料の仕入れ、前払いの家賃、光熱費等があります。
また、顧客へ商品やサービスを提供して売上が計上されても、すべてがその場で現金で支払われるわけではありません(クレジットカード決済や掛け売り等)ので、ある程度の手持ち資金が必要です。
そこで一定程度の運転資金が必要となってくるのですが、まずは一般的に開業後3ヶ月以内に必要な経費を想定するとよいでしょう。そのためには開業前にある程度精度の高い事業計画を立てる必要があります。
開業費用はどのように調達するの?
開業費用は大きく分けると開業者自身が個人的に所有している資金(自己資金)と、他から調達してきた資金に分けられます。前者はいうまでもありませんが、後者の例としては家族や親戚、友人からの借り入れ、金融機関からの融資が挙げられます。
金融機関からの融資には当然審査が伴います。その際に必要なのが事業計画書や資金繰り計画書等です。また、一定の自己資金がないと融資してもらえない場合があります。
運転資金を見誤らないように
「開業しよう!」と思うと、どうしても開業資金のほうに目が行ってしまうのは仕方のないことです。
しかし、事業というのは継続して行うことが大前提ですので、運転資金がどれくらい必要か、開業資金を見積もるのと同じかそれ以上に注意しなければいけません。
そのためには、事業計画が大切になってきます。金融機関からの融資を考えていない方でも、事業計画をきちんと立てた上で資金繰り表を作成し、開業準備をすることをお勧めします。
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表