更新日: 2021.08.06 キャッシュレス
キャッシュレスと家計簿アプリでラクにお金管理する方法って?
ここでは、キャッシュレス支払いと家計簿アプリを併用することによって実現できる、より便利なお金管理の方法を学んでみましょう。
ファイナンシャルプランナー CFP
家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。
日本のキャッシュレスの今
キャッシュレス支払いは、お金を支払う人と受け取るお店などの双方にとって便利なしくみですが、海外の主要国と比較して日本では利用者はそれほど多くありません。
2020年の経産省のデータ(※1)によると、全支払いのうちキャッシュレスが占める比率は2019年で26.8%になっています。これは、2016年時点でのイギリス68.6%、オーストラリア58.2%、アメリカ46.0%と比較しても相当低くなっています。
キャッシュレス支払いの方法は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済の4つの方法がありますが、2019年時点の支払い手段としてのウエイトと特長は図表1の通りです。
【図表1】
支払い方法 | 全支払中のウエイト | キャッシュレス支払内の比率 | 特 長 |
---|---|---|---|
クレジットカード | 24.0% | 89.7% | 後払い、与信審査あり |
電子マネー(プリペイド) | 1.9% | 7.1% | 前払い、与信審査なし |
デビットカード | 0.56% | 2.1% | 即時払い、与信審査なし |
QRコード決済 | 0.31% | 1.2% | スマホ決済、カメラ読み込み |
キャッシュレス決済計 | 26.8% | 100% |
経産省 2020年資料(※2)を元に作成
QRコード決済(PayPayなど)は、2019年の消費税改定の緩和策のポイント制で話題となりましたが、全体でのウエイトは低く、クレジットカードがキャッシュレス支払いの中心であることが分かります。
消費者にとってのキャッシュレスのメリットと課題
消費者がキャッシュレス支払いを選択するのは、以下のような便利さがあるからです。
・現金(小銭含む)を持ち歩く必要がない
・買い物の履歴がデータとして残る
・レジ待ちが少なくなる
一方で、キャッシュレス支払いの中でも最もウエイトの高いクレジットカードを中心に、次のような課題があります。
・使い過ぎてしまう
・セキュリティーが不安
・後日請求のため使用控え伝票の保存と請求書との照合が必要
そのほかに、1ヶ月の支出予算を現金の残高で管理している人にとっては、現金とキャッシュレス支払いの合計管理が面倒な場合もあるようです。
キャッシュレス支払いと家計簿アプリの併用
キャッシュレス支払いのこのような課題は、家計簿アプリとデビットカードの使用で解決できそうです。
家計簿アプリは、スマホやタブレットにインストールして、現金・電子マネー・QR決済・クレジットカード・デビットカードで支払った内容をレシートのカメラ読み込みや手入力で記録するものです。
費用項目が事前にテンプレートとしてあるので、数字以外の入力の必要はほとんどありません。毎月や年間の支出状況が費用項目別に集計されて出てくるので、少し快感を覚えるほど、簡単に家計簿ができ上がります。
キャッシュレス支払いと家計簿アプリの併用の仕方としては、「残高」に現金のほかに預金やチャージ後の電子マネー、QR決済残を含めることで、お金のトータル管理が可能になります。
また、クレジットカードの代わりにデビットカードを使うと、支払い後即時に預金から引き落としされますので、使い過ぎは起こりません。
家計簿アプリといっしょに使用することによって、リアルタイムの現金・預金残高管理ができるので、キャッシュレスの課題も解決できるのではないでしょうか。
まとめ
キャッシュレス支払いは、消費者にとってメリットや利便性があるだけでなく、受け取る側の事業者にとってもメリットの多いものです。
キャッシュレスに切り替えた結果、お金管理が複雑になって困っている人や、キャッシュレス切り替えするかどうかについて迷っている人の参考になれば幸いです。
[出典]
(※1)経済産業省「キャッシュレスの現状及び意義」(2020年1月)
(P1)【日本のデータは(※2)P8を使用】
(※2)経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会 第二回資料」(2020年6月23日)
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP