更新日: 2021.08.22 家具・片付け
片づけの美学103 思い切って大量に処分したら、後から捨てたことを後悔
しかし、急激な変化の場合、「あれがない!」「どこにやったかな?」「捨てたのか、残したのか分からない」など、次第に「困った」ことが出てくるかもしれません。
モノを捨てたことで、困ったトラブルが増えると、「捨てなければよかった」という後悔のお嘆きにもつながることも。やっぱりモノを捨てると、後悔するの!?
問題なのは、捨て方なのです。正しい捨て方をすれば、モノを上手に捨てることができます。後悔しない方法で、モノを捨てたいですね。
執筆者:奥野愉加子(おくの ゆかこ)
美学のある暮らし 代表
整理収納アドバイザー認定講師。(photo:キャラバンサライ)
奈良生まれ。大学では生活環境学部にて建築やインテリアを学び、英国インターンや建築設計会社勤務を経て、2011年より愛知県で結婚生活をスタート。長男出産後、夫の赴任で2年間のドイツ生活を経験。帰国後の現在は建築家デザインの家で暮らす、5歳と2歳の男児の母。子育てがひと段落したら、建築や暮らしに関連するような仕事をしたいと考え、「一般社団法人ハウスキーピング協会」の整理収納アドバイザーの資格を取得。認定講師として資格取得のための講座を定期的に主催している。
<美学のある暮らし>
後悔する3つの捨て方
まずは、後悔しやすい3つのモノの捨て方を知って、反面教師にしましょう。3つの捨て方に共通するのは、「勢いで行動した」という点です。いろいろ考えず、「エイヤー」で物事を進めると、失敗する可能性があります。
裏を返せば、「ゆっくり」「地道に」が後悔しない捨て方だといえます。
(1)どっさり捨てると後悔する
一つずつ「使っている」「使っていない」でモノを仕分けると、案外時間がかかってしまいます。それが大量になると、相当な時間がかかってしまいます。
その上、分別は、「使っていない=捨てる・お別れする」ことになるので気持ちがとても疲れる作業です。そのため、「決める」ことが嫌になり、「もう全部捨てちゃう」という気持ちになってしまうことがあります。
嫌になる気持ちはとても分かりますが、「どっさり捨てる」はとてもリスキーな選択です。「決める」ことをせずに、「とにかく捨てる」作業だけをすると、後日「あれがない!」「あの中に紛れていた」というトラブルが起こりがち。
後悔をしないためには、決めるのが嫌にならない程度の小さい範囲だけを作業するようにしましょう。「10分で決められるだけ」など、ムリのない範囲、またやろうと思える範囲で決断していくと後悔せずに片づけができます。
(2)短期間で捨てると後悔する
「どっさり捨てる」と似ていますが、しっかり分別できたとしても、あまりに短期間に家じゅうを片づけるのはおすすめではありません。短期間でいろいろ片づけると、情報が多すぎて、記憶があいまいになってしまう可能性があるからです。
「〇〇はどこに置いたかな?」「捨てたっけ? 残したっけ?」と、トラブルが出てくることも。片づけた本人でさえ混乱するなら、他の家族はなおさら困ることが増えるでしょう。
モノを捨てて、収納の位置を変えたら、しばらく使います。すると、場所が定着して、置き場所忘れを防ぐことができます。家族に伝えるために、収納にラベルをつけるのもおすすめです。
(3)人に捨てられると後悔する
家族が片づけなくて困っているという家庭で多いのが、「夫がもう全部捨てて良いと言ったので」とのことで、妻が代理で処分するパターンです。全部捨てて良いと言っても、必要なモノが混じっている可能性も高いです。
本人でないと、「必要」「不必要」の分別は正確には分かりません。自分で捨ててしまった場合、あきらめもつきますが、人に捨てられると後悔だけでなく、「怒り」の感情まで出てくるのがとても厄介。「捨てていい」と言われても、人のモノは捨てないほうがいいでしょう。
後悔しない処分を目指して
片づけをするために、避けて通れない、「捨てる」という行為。捨てること自体に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。捨てることで後悔した経験があるのかもしれません。
使っているかどうかを1つ1つチェックすることが、後悔しない片づけです。時間はかかりますが、少しずつモノと向き合ってみませんか。
執筆者:奥野愉加子
美学のある暮らし 代表