更新日: 2021.08.26 その他暮らし

自宅が被災したときに取るべき行動は? 被災後に受けられる支援は?

自宅が被災したときに取るべき行動は? 被災後に受けられる支援は?
災害はいつ起こるか分かりません。ある日突然、自宅が被災するかもしれません。もしもの時に取るべき行動、被災後に受けられる支援などをご紹介します。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

被害状況の整理

近年、台風や集中豪雨、地震などの災害が増えています。まずは命を守る行動で安全確保が重要です。もし被災した場合は、直後にどうしたら良いのかも知っておくことは必要だと思います。
 
安全な場所から帰宅して、変わり果てたわが家を前にぼうぜんとたたずむ被災者の映像を見ることがあります。“もし自分だったら”と考えると気丈に振る舞える自信がないかもしれません。
 
取りあえず散乱した家財を元の位置に戻したり、気になるものを探したり、少しでも片付けを始めるのではないでしょうか。
 
しかし、ここで「ちょっと待った」なのです。実は「現状のまま」の写真を撮影しておくことが、後々の手続きにおいて重要になります。
 
写真の撮り方は、(1)屋外の4方向から撮り、浸水の場合は浸水の高さも分かるように撮ること、(2)屋内は被災した部屋ごとに撮影し、特に被害を受けた場所は詳細が分かるように撮影してください。
 
建物の躯体だけでなく、洗面台などの住宅設備や家電などの家財も撮影しておきましょう。
 

罹災証明書の取得

罹災(りさい)証明書は、災害による住宅の被害状況の程度を証明するものです。支援金や災害義援金の受け取り、税金などの減免、仮設住宅への入居申請、さらには保険金や復興のための融資申請などにも必要になります。
 
発行の窓口は市区町村です。申請すると、市区町村の職員が被害認定調査をして罹災証明書を発行します。被害調査の前に家屋などを修理した場合は、写真に加えて見積書(または領収書)も保管しておきましょう。
 


 
罹災証明書とは別に、被災証明書があります。これは住居以外の建物、塀、門扉などの付帯物、自動車や家財など、住居以外の被害の事実を証明するものです。被災した場合の休業証明など各種手続きに必要になります。こちらも市区町村が窓口です。
 

災害後に受けられる支援

公的支援には次のようなものがあります。
 

(1)被災者生活再建支援制度

被災者生活再建支援法が適用されると、支援金を受けることができます。
 
住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じた「加算支援金」があり、2つの合計額が支給額となります。世帯人数が1人の場合は、金額が4分の3です。現金で支給され、使途に制限はありません。
 
申請の窓口は市区町村です。申請には添付書類として、「基礎支援金」には罹災証明書や住民票、「加算支援金」には契約書(住宅の購入、賃借等)などが必要です。
 


 

(2)被災住宅の応急修理制度

居住する市区町村に災害救助法が適応された場合、半壊した住宅の居室、台所、トイレなど日常生活に必要な箇所の、応急修理の支援を受けることができます。支援限度額は1世帯当たり59万5000円です。
 
この制度は、都道府県や市区町村が修理業者に修理を委託して払うもので、被災者に直接支給はありません。
 

(3)障害物の除去

(2)と同様に災害救助法が適応された場合、住家の全部または一部に土砂などが流れ込み日常生活に支障をきたす場合、その除去費用の支援を受けることができます。費用の限度額は1世帯当たり13万7900円です。
 
こちらも事業者に払われますので、被災者に直接支給はありません。
 

(4)応急仮設住宅などの住まいのあっせん

災害救助法が適応されると、民間賃貸住宅を借り上げた「賃貸型応急住宅」や新たに建設される「建設型応急住宅」への入居があっせんされます。
 
以上、マイホームが被災した場合の支援制度をみてきました。これ以外にも、罹災証明書を交付されている人を対象にした融資制度「災害復興住宅融資(住宅金融支援機構)」があります。
 
また、災害により世帯主が負傷した世帯や、住居・家財に損害を受けた世帯には「災害救援資金の貸付制度(市区町村)」があります。いずれも融資・貸し付けですので、返済は必要です。また借り入れには条件があります。
 
被災者への支援や社会保険の免除や減免など、多くの申請は市区町村が担っています。独りで悩まずに、自治体の窓口に相談されることをお勧めします。
 
参考までに、災害救助法が適用された地域で被災され損害保険契約に関する手がかりをなくした場合は、日本損害保険協会「自然災害等損保契約照会センター」(0120-501331受付時間 平日9:15~17:00(祝日・年末年始を除く))で照会できます。
 
こういう情報も知っておくと安心です。
 
出典
(※1)内閣府 防災情報のページ「災害に係る住家の被害認定」
(※2)内閣府 防災情報のページ「被災者生活再建支援法の概要」
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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