更新日: 2021.09.09 その他暮らし

電気プランの見直しの電話、検針票の情報を聞かれたけれど教えて大丈夫?

電気プランの見直しの電話、検針票の情報を聞かれたけれど教えて大丈夫?
ある日、A子さん(60歳)の自宅に、突然1本の電話がかかってきました。出てみると、◯◯電力関連の△△という業者でした。
 
◯◯電力は、この地方の大手電力会社で、A子さんも契約しています。「今、お宅では、月の電気代はおいくらでしょうか? 電気代がお安くなるプランがあります」と、業者は話し始めます。A子さんは、大手の◯◯のプランで電気代が安くなると思い、そのまま聞いていました。
 
途中、検針票の情報を聞かれたのでそのまま答えてしまいましたが、プランについては考える時間がほしいと電話を切りました。しかし、電気代の請求書が今までの電力会社とは別の△□電力会社に切り替わっていました。
「え?△□電力会社って何? 切り替える契約なんかした覚えがないのに、なぜ?」
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

検針票の情報を教えない

平成28年の電力の小売全面自由化から5年が経過、平成29年のガスの小売全面自由化から4年が経過しました。国民生活センターおよび各地の消費生活センター等ならびに経済産業省電力・ガス取引 監視等委員会には、電力・ガスの自由化にまつわるトラブルについての相談が、引き続き寄せられています。
 
令和2年12月22日、国民生活センター・消費者庁・経済産業省・ガス取引監視等委員会は、報道発表資料『電力・ガスの契約内容をよく確認しましょう』を公開し、消費者に注意喚起をしています(令和2年12月22日 報道発表資料より)。
 
検針票に書かれた情報は、「契約名義」「住所」「顧客番号」「供給地点特定番号」がありますが、これらの情報によって電力会社・ガス会社は契約を行っています。この『4つの情報』を切り替え先の会社に電話等で伝えれば、切り替えができてしまいます。前に利用していた会社へは、切り替え先が手続きします。
 
A子さん『4つの情報』を伝えたために、勝手に△△に切り替えをされてしまったのです。電話勧誘や訪問販売で検針票の情報を聞かれても、電力会社・ガス会社を変える気がない場合は、教えてはいけません。
 

どのように安くなるのか、条件を確認

電力会社やガス会社は、プランやどのように料金を算定するのかを、消費者を勧誘する際に説明しなければなりません。消費者も、格安プランの算定基準だけではなく、格安プランを利用するためにオプションに申し込むことが条件で適用される場合、格安プランが期間限定の場合等、条件を確認しておきましょう。また、中途で解約した場合の違約金が発生するかどうかの確認もしておきましょう。
 
他に、電気の検針システムがスマートメーターに変わると、電気料金が安くなる等の説明がされるケースもありますが、スマートメーターを設置しただけで電気やガスの料金が安くなるわけではありません。また、スマートメーターに取り換えるのは無料です。
 
また、スマートメーター設置作業に必要だからと検針票の情報を求められることもありますが、検針票の情報は設置には必要ありません。設置を理由に検針票の情報を聞き出すことに、注意が必要です。
 

契約してしまってもクーリング・オフ

A子さんのケースもそうでしたが、大手の電力会社やガス会社を名乗ってくることもあります。「◯◯関連の」「◯◯のほうから来ました」等、大手の会社の名前が出されると、つい信用してしまうかもしれませんが、身分証明書やユニホームで確認しましょう。
 
そして、検針票の情報を伝える前に、連絡してきた会社と新たに契約する会社の、社名・問い合わせ先を確認しておきましょう。社名も明かさない、連絡先も伝えないような会社に、決して検針票の情報を伝えてはいけません。
 
電話販売・訪問販売で契約をしてしまった場合でも、法律で決められた事項を記載した契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフが可能です(送り先は、切り替え先の電力会社です)。法定書面を受け取ってなくても可能です。早めに手続きしましょう。
 
アパート全体が電気メーターの交換と言われる場合には、まず大家さんに確認することが必要です。プランの変更を勧められたら、まず現在契約している電力会社確認することで間違いが防げます。そして、契約書面はちゃんと読んでから署名をしましょう。
 
そして、困った時はひとりで考え込まず、188(消費者ホットライン)、お近くの消費生活センターの他、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会 相談窓口(03-3501-5725)に相談しましょう。
 
(参考・引用)
国民生活センター 令和2年12月22日報道発表資料「電力・ガスの契約内容をよく確認しましょう」
国民生活センター 令和元年6月20日報道発表資料「契約先の事業撤退に伴う対応や勧誘での契約切り替えについてのお問い合わせが増えています」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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