【雇用保険の再就職手当とは?】もらえる金額や条件を確認しよう
配信日: 2021.09.16
あまり知られていませんが、早めに再就職すると雇用保険の再就職手当をもらえる可能性があります。再就職手当がもらえる条件や金額などの内容を知って、転職活動を成功させましょう。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
再就職手当とは? どんなときにもらえる?
失業した場合、次の仕事が見つかるまで安定した生活を送れるように、雇用保険から基本手当(失業給付)が支給されます。基本手当の給付日数は、雇用保険の被保険者であった期間や離職理由によって、90日から360日分の間で決められています。
基本手当は、ある程度まとまった金額になりますので、もらえる日数分はすべてもらってから再就職したほうが良いのではないかと思うかもしれません。
しかし、基本手当の給付日数を一定以上残して就職した場合、再就職手当をもらえる可能性があります。つまり、再就職手当は早期に再就職した人がもらえるお金です。ただし、下記のような条件があります。
(1) ハローワークに離職票を提出して求職の申し込みをした後、7日間の待期期間を経過した後、早期に安定した職業に就いた場合(事業を開始した場合も含む)であること
(2)就職日の前日までの失業認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が所定給付日数(受給資格決定時にもらえる日数)の3分の1以上あること
(3)退職した会社に再び就職したものでないこと。また、退職した会社と資本金・資金・人事・取引面で密接な関わりがない会社への就職であること
(4)正当な理由のない自己都合退職や懲戒解雇によって給付制限(基本手当がもらえない)期間がある場合、受給資格決定日から待機期間満了後の1ヶ月間は、ハローワークや人材紹介会社の紹介による就職であること
(5)1年を超えて勤務することが確実であること(契約期間が1年以下の契約社員や派遣社員も、更新の見込みがあれば対象となる場合がある)
(6)雇用保険の被保険者となっていること(自営業を開始した場合を除く)
(7)過去3年以内に再就職手当、または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
(8)受給資格決定(求職の申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
再就職手当、もらえる金額は?
再就職手当は一時金として支給されます。もらえる金額は、基本手当をもらえる期間がどれくらい残っているかで異なり、早めに再就職したほうがもらえる再就職手当は多くなります。
・基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上残っている場合
基本手当日額×所定給付日数×60%
・基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の2以上残っている場合
基本手当日額×所定給付日数×70%
ただし、再就職手当の計算の元となる基本手当日額には、上限額がありますので注意しましょう。上限額は年齢により異なり、毎年8月1日の「毎月勤労統計」の平均額により改定されます。令和3年8月1日から令和4年7月31日までの金額は下記のとおりです。
・離職時の年齢が60歳未満の方・・・6120円
・離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方・・・4950円
早期就職が決まったら、早めに再就職手当の手続きをしよう!
基本手当はありがたいものですが、早めに安定した職業に就くことができれば、給料はもちろん、再就職手当を一時金としてもらえる可能性もあります。
また、再就職手当は非課税というメリットもあります。キャリアの空白は少ないほうが仕事勘も鈍りません。基本手当にこだわらず再就職のタイミングを逃さないようにしましょう。
再就職手当の支給申請には、就職した日の翌日から1ヶ月以内という期限があります。本人が仕事を休めなければ、代理の方、または郵送でも提出可能です。もらえる場合は、早めに申請して手続きを進めましょう。
出典
厚生労働省「再就職手当のご案内」
厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)〜」
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー