更新日: 2021.09.22 その他暮らし

「超富裕層」と呼ばれる人たちは、日本にどのくらいいる?

執筆者 : 新井智美

「超富裕層」と呼ばれる人たちは、日本にどのくらいいる?
野村総合研究所の調査において、純金融資産保有額が5億円以上ある世帯を「超富裕層」と定義しています。
 
では、現在の日本にはそのような世帯がどのくらい存在するのでしょうか。また、超富裕層以下の富裕層などの実態についても併せて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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日本における超富裕層の割合は?

野村総合研究所の調査によると、現在の日本における純金融資産保有額が5億円以上の「超富裕層」の世帯数は8万7000世帯と、全世帯の0.16%を占めています。そして金融資産は超富裕層全体で97兆円となっており、世帯平均で約11億円の資産を持っているということになります。
 

■富裕層と超富裕層の違いは?

超富裕層とは、日本の総世帯を保有金融資産別に5つに分類した中の1番上に位置する層で、その下に位置するのが富裕層です。野村総研のデータによると超富裕層と富裕層の世帯数および保有資産総額には、以下のような違いがあります。
 

 

■超富裕層および富裕層の増加

同調査資料によると、超富裕層・富裕層の世帯数および保有資産総額ともに年々増加傾向にあります。また、新型コロナウイルス感染症拡大による景気の低迷によって、今後どのような変化が起きるか注目されています。
 
(出典:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」(※1))
 

超富裕層および富裕層における考え方の変化

このように、超富裕層および富裕層が増加傾向にあります。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大により、これらの層の投資や自身の生活に対する考え方に変化がみられています。
 

■投資に対する考え方

同調査によると、新型コロナウイルス感染症拡大による景気の低迷により、投資先を選ぶ場合でも、できるだけリスクの少ない商品を選ぶ傾向が強まっています。また、自分だけで運用先を選ぶのではなく、プライベートバンカーなどの専門家に資産管理を依頼する傾向がみられるようになってきています。
 

■生活に対する考え方

また上記と同時に、生活に対する考え方にも変化が生まれています。
 
本調査では、「個人資産のことよりも、所有する事業や法人の先行きが、以前よりも心配になった」と回答した方が53%と多くなっています。また、自身の健康や体力の維持・増進に関する興味が高まっているほか、家族とのコミュニケーションの機会を増やそうとする行動など、新型コロナウイルス感染予防を念頭に置いた生活スタイルへ変わってきつつあります。
 

二極化が進んでいる現状

では、本調査をもとに、現在の日本全体の保有資産における層別の世帯数、および保有資産総額を見てみましょう。
 

 
そして、注目したいのは、この調査の2年前の結果との比較です。2017年および2019年のそれぞれの層の世帯数、および保有資産総額の推移については以下のとおりです。
 

 
アッパーマス層を除いてそれぞれの世帯数は増加傾向にありますが、保有資産総額については、アッパーマス層・マス層ともに減少していることが分かります。このことは、日本における世帯の格差が二極化していることを裏付けているともいえます。
 
超富裕層・富裕層の資産総額が増えている一方、金融資産がまったくないという世帯も存在します。金融庁の調査によると、金融資産を保有していない世帯の割合は16.1%となっており、日本全体の2割弱の世帯が金融資産を保有していないことが分かっています。今後このような二極化の拡大しだいでは、政府の対応が注目されることとなりそうです。
 
(出典:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」(※1)、知るぽると「「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」/Excel資料『0002』」(※2))
 

まとめ

現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で困窮者世帯が増加しており問題視されています。超富裕層を含む、保有資産が多い世帯への増税も検討されていますが、併せて困窮者世帯への支援制度の早期確立も進められています。
 
ただし、保有資産が多い世帯は、はじめから資産を保有している場合だけでなく、早い時期から資産運用などを取り入れて資産を増やした世帯もあるでしょう。新型コロナウイルスの収束が見えないいま、自分のライフプランを明確にし、それに沿った資金計画を立てるともに、資産形成に取り組む姿勢が大切になってくるといえるのではないでしょうか。
 
出典
(※1)野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」(2020年12月21日)
(※2)知るぽると「「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」/Excel資料『0002』」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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