急増する子どものオンライン課金トラブル…相談件数は4年で倍以上に
配信日: 2021.10.06
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
急増する子どもの課金
国民生活センター令和3年8月12日 報道発表資料によりますと、子どもが保護者の許可なく課金してしまったというトラブルが急増しています。そのため、国民生活センターは子どものオンラインゲームの相談の概要と、それに対する高額課金を防ぐ方法について保護者への注意喚起を行っています。
(出典:国民生活センター令和3年8月12日 報道発表資料より 国民生活センターPIO-NETへの相談数)
資料から、2016年と新型コロナウイルス感染症対応で休校となった2020年の相談件数を比較すると、小学生は約4倍、中学生は約3倍、高校生は約2倍になっています。自宅にいても対戦できる、オンラインゲーム。通話をしながらできるものもあり、実際に集まっているゲームをしているような楽しさがあります。夢中になりますよね。
幼い子どもほど、やっていることに一生懸命になります。たかがゲーム、されどゲーム。勝ちたいですね。少しでも優位に立てるアイテムがあると、欲しくなりますよね。しかし、そのアイテムを手に入れるためには課金する、つまりお金を払う必要があるかもしれません。
保護者のアカウントを使わせない
未成年が保護者の承諾なしに契約した場合は、その契約を取り消しできる未成年取消権があります。
しかし、オンラインゲームで課金するときは、プラットホームのアカウントを通じて行われます。そのため、保護者のアカウントでログインしたスマホや保護者用のアカウントでログインした家庭用ゲーム機で、子どもが課金した場合でもアカウントの所有者(保護者)が決済を行ったとみなされます。
つまり、未成年者である子どもが保護者の承諾なしに保護者のアカウントでログインしても、また保護者のスマホを保護者の承諾なく勝手に使ってログインしても、プラットホーム側ではアカウントの登録者としか認識できないのです。
そのため、子どもが勝手に課金したとしても、登録者である保護者が課金したとされるので、取り消せない場合があります。よって、子どもが勝手に使わないよう、保護者のアカウントでログインできないようにパスワードを掛けておくことや、保護者のスマホを渡さないなど、保護者のアカウントを使わせないことがまず必要です。
子どもにスマホを渡すときは「課金を防ぐ」「課金に気付く」設定に
クレジットカードの登録をした場合、その端末ではそのカードでの決済が可能になります。1回だけのつもりで課金をさせても、クレジットカードの登録を取り消さない限りそれ以降も課金ができてしまうのです。
「課金」しようとするときに、パスワードが必要となる設定になっているか確認をしておきましょう。設定がされてない場合は、パスワードが必要となるように設定の変更をしましょう。また、スマホであれば、通信費と一緒に支払う「キャリア決済」も可能な場合があります。金額の上限を設定しておきましょう。
さらに、課金したら直ちにメールで知らされるように、設定をしておきましょう。課金のお知らせメールを、子どもが勝手に削除していた事例もあります。また、保護者が余り使わないアドレスで登録していて気がつかなかった事例もあります。保護者がよく使うアドレスや、子どもが使用する端末以外に設定しておくとよいでしょう。
ペアレンタルコントロール機能を利用する
課金についてよく分からないまま課金してしまった場合、親にしかられないように隠蔽(いんぺい)工作を行う場合もあります。家族でオンラインゲームの課金について話し合い、それぞれのご家庭でのルールを決めておきましょう。
子どものゲーム利用を管理、保護するための仕組み「ペアレンタルコントロール」を利用することで、子どものアカウントでの課金を制限できます。そして、子どもが現金やクレジットカードを持ち出すことがないように、きちんと管理をしておきましょう。
それでもトラブルや不安になった場合は、188(消費者ホットライン)に相談しましょう。
出典
国民生活センター令和3年8月12日 報道発表資料 「スマホを渡しただけなのに…」「家庭用ゲーム機でいつの間に…」 子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者