慌てて教育ローンを借りるケースも? 私立大学の入学費用は支払いのタイミングに注意!
配信日: 2021.10.14
そのため入学手続きの費用の一部を冬のボーナスで支払おうと漠然と考えていても、実際思っているより合格発表が早く、納付期限に間に合わず、慌てて教育ローンを借りるというケースもあります。大学の学費は金額だけではなく支払いのタイミングも把握しておきましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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私立大学の初年度納付金
私立大学の学費は国公立大学と違って、進学先の学部・学科によって大きく異なります。
文部科学省の調査(※1)によると、私立大学の初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費の合計)は、文科系学部約117万円、理科系学部約155万円、医歯系学部約480万円などとなっています。最も学費の安い文科系学部でも4年間で最低400万円程度はかかります。
入学手続き時納付金
大学の学費は、月謝制(月払い)はほとんどなく、学費を2回に分け、前期分を春、後期分を秋に支払うのが一般的です。まとまったお金が必要になります。
特に、初年度納付金のうち、合格時の入学手続き時納付金は、入学金だけではなく前期分の学費も合わせて支払うのが一般的です。文科系学部で70万円前後、理科系学部で100万円前後まとまったお金が必要になります。しかも、納付期限は合格後1~2週間以内と短期間です。早めの準備が大切です。不足分は奨学金を利用できないので教育ローンなどで賄います。
入学手続き時納付金を納付期限までに納付しないと、せっかく合格しても入学できませんので、いつまでに、いくら必要かを再度確認しましょう。
入試方法によって合格の時期が違う
入試方法には「総合型選抜(旧AO入試)」、「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」、「一般選抜(旧一般入試)」の3つの方法があります。
合格発表の時期は、「総合型選抜(旧AO入試)」が11月以降、「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」が12月以降、「一般選抜(旧一般入試)」は~3月31日となっています。
文部科学省の調査(※2)によると、入学者数の割合は、国立大学では、AO入試4.2%、推薦入試12.4%、一般入試・その他83.4%と、一般入試による選抜が中心であるのに対し、私立大学では、AO入試12.1%、推薦入試44.4%、一般入試・その他43.5%と、半数以上がAO入試と推薦入試による選抜です。
最も合格発表の早い「総合型選抜(旧AO入試)」では、11月には合格が決まるので、入学手続き時納付金を11月までに用意しておく必要があります。合格時には入学前にも関わらず、初年度納付金の大半を支払うことになります。
大学進学マネープランを家族で立てよう
大学進学に必要な費用は学費だけではありません。受験前には模試代やオープンスクール参加費用として交通費や宿泊費などもかかります。受験から合格までは、受験料や試験会場までの交通費・宿泊費、そして合格時に納める入学手続き時納付金などがあります。入学までには新生活の準備費用などもかかります。入学後は学費などが卒業までかかります。下宿生は新たに家賃などの生活費の負担も増えます。
支出項目ごとの金額を調べるとともに、支払いのタイミングを一覧表にまとめるといいでしょう。これらについて家族で情報を共有しましょう。
不足分は親が教育ローンを利用するか、子どもがアルバイトや奨学金で賄うのが通常です。親子で学費をどのように負担するか話し合うことが大切です。
出典
(※1)文部科学省「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
(※2)文部科学省「令和2年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。