更新日: 2021.12.08 その他暮らし

40代の不妊治療。ポイントと注意点は?

執筆者 : 宮野真弓

40代の不妊治療。ポイントと注意点は?
晩婚化、晩産化に伴い、40~44歳女性が産んだ子どもの数は増加傾向にあります。40代の著名人の妊娠報道の影響などから、40代で不妊治療を始める人もいらっしゃるかもしれません。しかし、子どもを望む40代の誰もが問題なく妊娠・出産できるわけではありません。
 
そこで、40代で不妊治療を始める際に知っておきたいことや、注意しておきたいことをお伝えします。
 
宮野真弓

執筆者:宮野真弓(みやのまゆみ)

FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
https://fpoffice-minoria.jimdo.com/

年齢とともに妊娠率は低下、流産率は上昇

厚生労働省の「人口動態統計」(※)によると、第一子出産時の女性の平均年齢は1995年に27.5歳だったのが2017年には30.7歳になっています。また、40~44歳の女性が産んだ子どもの数は、1995年に1万2472人だったのが2020年は4万7899人と4倍近くになっています。
 
この数値だけを見ていると40代での出産は難しくないようにも見えますが、そうではありません。
 
日本産科婦人科学会が公開している「ARTデータブック2019」によると、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)による妊娠率は年齢とともに低下し、流産率は上昇します。
 
女性は生まれた時点で卵子の数が決まっていて、年齢を重ねるごとに卵子の数が減っていきます。そして数が減るだけでなく、年齢とともに卵子も老化し、質が低下していきます。卵子の数の減少や質の低下により、受精しない、または受精しても受精卵が育たない、着床しない、妊娠しても流産する確率が高くなるといったことが起こります。
 

助成金のリミットは43歳

不妊治療は高額なイメージがある人も多いと思います。体外受精や顕微授精は1周期あたり40万~70万円程度かかるのが一般的ですが、40代の不妊治療は年齢的な理由からさらに高額になる場合もあります。
 
そこで頼りになるのが、国が行っている「不妊に悩む方への特定治療支援事業」です。しかし、この支援事業には年齢制限が設けられており、助成対象となるのは、治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満の夫婦に限られています。
 
令和4年4月からは不妊治療に公的医療保険が適用されますが、やはり妻の年齢や治療回数に制限が設けられる見通しです。現在不妊治療中の人や不妊治療を検討している人は、最新の情報を入手するようにアンテナを立てておきましょう。
 

不妊治療後の生活をイメージして

40代前後で不妊治療を始める場合、収入が多い家庭もありますが、その分支出も多く、思ったほど貯蓄がないケースも見受けられます。40代の不妊治療は治療の初期から高額になることもあるため、治療開始までにある程度の貯蓄が必要です。
 
妊娠・出産した後は、子どもの養育費や教育費と住宅ローンの返済や自分たちの老後資金の準備が重なることも考えられます。また、年齢的に親の介護と子育てが重なったり、子どもが成人するのが自分の定年後という場合もあります。
 
不妊治療をしていると、妊娠・出産することがゴールになりがちですが、治療を終えた後の生活をイメージして、長期的に考えて家計を見直し、将来への資金の準備をする必要があります。
 
40代の妊活・不妊治療は、1日も早く始めることが大切です。一方で、将来を見据えた資金計画も必要になってきます。まずは夫婦そろって検査に行くこと、それと合わせて家計を見直し、お金の貯め時を逃さないことがポイントです。
 
出典
(※)厚生労働省「人口動態調査」
 
執筆者:宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者