更新日: 2021.12.17 子育て
経済対策、18歳以下の子どもに給付金は
政府としても低迷した経済を立て直すために経済対策を打ち出していますが、今回は、多くの方が注目していると思われる給付金について調べてみました。
※この記事は、令和3年(2021年)12月16日時点の情報を基に執筆しています。
執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
令和3年(2021年)11月19日に閣議決定された、岸田内閣の経済対策である「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」では、多くの項目の経済対策が盛り込まれています。
特に、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、子育て世帯を支援するための給付金に対して関心が高くなっているのではないでしょうか。令和2年は、国民全員に対して一律10万円の給付金がありましたが、今回は18歳以下の子どもを対象に10万円が給付されるということがいわれていました。
18歳以下の全ての子どもに給付金を支給するのか、それとも児童を養育している者の年収に制限を設けるのかが議論され、結果として、960万円の年収制限を設けることで合意となっています。
子育て世帯に対する給付金の内容
具体的な内容としては、児童を養育している者の年収が960万円以上の世帯を除き、平成15年(2003年)4月2日から令和4年(2022年)3月31日までの間に生まれた児童に対して、1人当たり10万円相当の給付を行うというものです。
この対策が決まった当初は、10万円相当が一度に支給されるのではなく、まずは先行給付金として子ども1人当たり5万円の現金給付を迅速に行うこととなっています。
その際、中学生以下の子どもに対しては児童手当の仕組みが活用され、申請をしなくても給付金が支給される「プッシュ型」という方法で令和3年内に支給が開始されます。残りの分は、令和4年春の卒業や入学、新学期に向け、子育てに関連する商品やサービスに使える5万円相当クーポンを基本として給付が行われます。
しかし、制度の見直しが行われ、来年からの5万円相当のクーポン券を現金で支給しても良いという方針になりました。さらにその後、年内に全額現金給付が認められ、年内に10万円の全額現金給付を表明する自治体が続出しています。
年収制限の対象は?
18歳以下の子どもに支給される給付金の対象として、児童を養育している者の年収が960万円以上の世帯が除かれましたが、この年収制限に不公平感が高まっています。
その理由については、迅速に給付金を支給するという目的で年収制限の対象が世帯ではなく、児童の養育者個人を対象にしているという点にあります。つまり、夫婦共働きの場合でも児童の養育者の年収が960万円未満であれば、子ども1人当たり10万円相当の給付金の対象世帯となるのです。
例えば夫だけが働き、妻は専業主婦という家庭で年収が1000万円の場合は支給対象外となる一方で、夫婦共働きで夫の年収が900万円、妻が500万円で世帯収入が1400万円という場合でも、児童を養育している夫の年収が960万円未満であるため給付金を受け取ることができます。
世帯全体で見ると年収が高い場合でも給付金の支給対象 となるケースがあり、中学生以下の子どもがいる場合は申請をしなくても先行給付金5万円が受け取れるのです。
児童手当の仕組みとは
児童手当は、中学生卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方が対象で、3歳未満は一律1万5000円、3歳以上小学校終了前は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円の支給があり、認定請求書の提出が要件となっているので国としても受給者(申請者)の管理や把握をしやすいのでしょう。
また、児童手当の年収制限も夫婦合算などの世帯収入ではなく、どちらかの年収が960万円程度を上回るような場合は一律5000円の特例給付に切り替わる制度となっているため、政府が令和3年内に先行給付金5万円の支給を目指すときに、世帯年収の確認は時間がかかると判断されたという形になります。
まとめ
今回の18歳以下の子どもに対する給付金は、年収制限に対して不公平という批判の声もあります。
迅速に支給するためという意図は分かりますが、収入が多い世帯を対象外とする主旨の年収制限が、世帯ではなく個人の年収を参考にするのには違和感が否めません。
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー